陛下!私、好きな人が出来ちゃいました、だから私を諦めて下さい?!

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愛おしさとバレた嘘

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「んっ…」

思わず吐息が漏れてしまった。
ニックさんはゆっくり、そして優しく唇を重ねてきた。
全然違う…陛下と…。
強引に舌を入れてくる陛下とは真逆で、舌は入れてこず、ソフトに重ねるのを繰り返している。

「待って…これ以上はダメです」

顔を赤くして、私をしっかりと見つめるニックさんが少し愛おしくなってしまっている。
一度離した唇をもう一度重ねようとしている。
これ以上したら本当に許してしまいそうになるから私はニックさんの唇の前に手を置き、キスを阻止した。

「辞めましょう…父が心配して探しに来てしまう…」

少し物足りない様な雰囲気を作られ、申し訳なさが生まれるが、王宮の近衛兵が探しに来たら、嘘がバレてしまう。それだけは避けたいと考え、部屋を出る旨を伝えた。

「暗いので送ります」と隣を歩くニックさんをどうにかして、私が王女と言う事をバレずに帰るかを必死に考える。
しかし…日が落ち、だいぶ時間が経っても帰らない私を心配して、やはり近衛兵達が私を探しに街の至るところを走り回っている。

「おい、お前、ソマリア様を知らないか?」

近衛兵達は私の名前を出し、街行く人達に聞き回っている。
そして、私達の近くにも兵は来て、ニックさんに尋ねている。私は見つかったらマズいと思い、ニックさんの後ろに身を隠す様にした。
しかし、日々私の近くを警護する兵であるため、私の顔を見るや、目を見開き、ニックさんを押し除けた。

「ソマリア様!」

あっさりとニックさんに私の正体がバレてしまった。アリスが偽名である事と、この国の王女であることが…。
「貴様がソマリア様を誘拐していたんだな!」と声を上げ、ニックさんを縛り上げようとする。

「待って!この人は私を誘拐した訳じゃないです。助けてもらったんです。だから縛らないで」と必死に擁護しようとしたが、騒ぎを聞きつけた近衛兵達が続々と集まってきて、口々に「ソマリア様」と言う。

私の必死の説得も通じず、近衛兵達はニックさんを縛り上げ、王宮に連行していった。
「さぁ、ソマリア様、こちらの馬車にお乗り下さい」と促され、渋々乗り、王宮に戻った。



「おぉ、ソマリア、無事だったか…心配したぞ。何処をほっつきおったんだ。ん…お前、ドレスが切られているじゃないか!」

周りがざわつき始めている。玉座に座る父の前で縛り上げられ、座らされているニックさんに容赦ない言葉が浴びせられている。殺せ!や引きずり回すしかない!とか様々だ。

このままでは、助けてもらった人から強姦魔にされてしまうと思ったので、ニックさんの前に立ち、何故こうなったか、そして、ニックさんに助けてもらった経緯を皆に分かる様に説明した。

父を始め、執事や執務官達は静かに私の話を聞き入れ、ニックさんに非がない事を認めてくれた。

「事情は良くわかった、しかし、こんな時間まで帰さないのはいかがなものかと思う。今晩は牢屋で過ごしてもらう」
「そんな…」

非がないと認めつつ、牢屋にいれると言う父の言葉に強い憤りを覚えた。しかし、それに意を唱えたら更に悪い方向に物事が進みそうになるから、グッと我慢をし、牢屋に連れて行かれるニックさんを私は見つめ続けた。


「無事で何よりです、お嬢様。怖い思いをされたと思います、暖かい紅茶を用意しました。飲んで落ち着いてください」
私の一件は王宮内ではもう誰もが知った形になっている。
当然ニックさんが牢屋にいる事も。
謝らなくては…と思い、用意した紅茶もそこそこに部屋を出ようとする。が、給仕が扉の前に立ち邪魔をする。
「どいて下さい、用があるので」といっても「皇帝様に何があっても今晩は部屋からは出すな」と命令されていると返された。
父は私が牢屋に行くだろうと先読みし、厳令を出していた。
「トイレです」と言っても必ず1人が付き、出入りを確認する徹底ぶり。

こんな調子じゃ謝るのは不可能と思い、解放される明日1番に謝る事にし、この日は仕方なく休む事にした。
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