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後ろは向かない絶対に
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「陛下、ありがとうございます。お受けして頂いて」
膝をつき、項垂れている陛下に私も膝をつき、同じ目線で感謝を述べた。
先程流した自分の血で出来た水溜りの場所に膝をついているため、着ている薄いピンクのドレスをより濃い赤色が広がっていく。
ドレスがダメになるとかは一切頭に無い。
それ以上に破棄を受け入れてくれた陛下の気持ちが嬉しかった。
「感謝などいらん。早く行け、目障りだ」
「はい。陛下、お元気で」
頭を下げ、スッと立ち上がり、父に破棄を報告した。
あっという間の婚約破棄成立に父は頭に手を抱えながらテーブルに俯している。
「なんでそうなる…」と呟いているが、それを冷ややかな目で見てしまう。
「ごめんなさい」と父に告げた後、私は欅の間を出ようとする。
「ソマリア様、いいのね?陛下を私が…」
と王女が言うが、それは前に決めたはずではと思ったので、ただ頭をコクンと頷くだけで何も言葉は発しなかった。
欅の間を出て、門までの長い廊下を歩き、「終わった…私はもう一人なんだ」と思ったら不意に笑ってしまった。
あんなに考えていた婚約破棄があっさり決まりすぎて怖かったけど、もう縛られる要因は無い。
今すぐニックさんに会いに行こう。そして、あなたと進みたい…。
外に出て、ブラックさんが私に気付く。
「ソマリア様、お出かけで?」
「いえ、私はもしかしたらもう王女ではないかもしれません、全部…終わりましたから」
終わった、と言う言葉に全てを察し、「頑張りましたね」と一言言ってくれた事がなにより嬉しく、ブラックさんに抱きついた。
「大きくなりましたね、ソマリア様」と何年振りかの抱擁を喜んでくれるブラックさんに「はい、今までありがとう」と感謝を告げ、自分の歩きたい道を進みますと決意を口にする。
「えぇ、あなたは自分で決めた道を進んでくだされ。さぁ、早くあの方の下へ」
「はいっ」
門を出て、私はニックさんの家に走り始めた。
1分でも早く会いたい…。いや、今の自由になった私を抱きしめて欲しい、そんな気持ちだった。
膝をつき、項垂れている陛下に私も膝をつき、同じ目線で感謝を述べた。
先程流した自分の血で出来た水溜りの場所に膝をついているため、着ている薄いピンクのドレスをより濃い赤色が広がっていく。
ドレスがダメになるとかは一切頭に無い。
それ以上に破棄を受け入れてくれた陛下の気持ちが嬉しかった。
「感謝などいらん。早く行け、目障りだ」
「はい。陛下、お元気で」
頭を下げ、スッと立ち上がり、父に破棄を報告した。
あっという間の婚約破棄成立に父は頭に手を抱えながらテーブルに俯している。
「なんでそうなる…」と呟いているが、それを冷ややかな目で見てしまう。
「ごめんなさい」と父に告げた後、私は欅の間を出ようとする。
「ソマリア様、いいのね?陛下を私が…」
と王女が言うが、それは前に決めたはずではと思ったので、ただ頭をコクンと頷くだけで何も言葉は発しなかった。
欅の間を出て、門までの長い廊下を歩き、「終わった…私はもう一人なんだ」と思ったら不意に笑ってしまった。
あんなに考えていた婚約破棄があっさり決まりすぎて怖かったけど、もう縛られる要因は無い。
今すぐニックさんに会いに行こう。そして、あなたと進みたい…。
外に出て、ブラックさんが私に気付く。
「ソマリア様、お出かけで?」
「いえ、私はもしかしたらもう王女ではないかもしれません、全部…終わりましたから」
終わった、と言う言葉に全てを察し、「頑張りましたね」と一言言ってくれた事がなにより嬉しく、ブラックさんに抱きついた。
「大きくなりましたね、ソマリア様」と何年振りかの抱擁を喜んでくれるブラックさんに「はい、今までありがとう」と感謝を告げ、自分の歩きたい道を進みますと決意を口にする。
「えぇ、あなたは自分で決めた道を進んでくだされ。さぁ、早くあの方の下へ」
「はいっ」
門を出て、私はニックさんの家に走り始めた。
1分でも早く会いたい…。いや、今の自由になった私を抱きしめて欲しい、そんな気持ちだった。
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