全てを失った私を救ったのは…

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両親の異変

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扉にはもうすでにメイドと数名の衛兵が待ち構えており、今すぐにでも出発ができるように準備されていた。
二頭の芦毛の馬が並び、それを引く馬車はピカピカの黒塗り、大きさも大人が四人座れる程の物だ。

「さぁ、乗れ」
「乗れって……なんで急にそんな迎えに。それに挨拶って」
「顔合わせだ。俺には両親はもういないからな、会うのは俺くらいだ。ローズの意見など俺は聞かん、……もういいだろう」

有無を言わさずに馬車へと押し込み、すぐに扉を閉め鍵を掛けられた。
どうやら中から開けられないように鍵は外のみのようだ。

「……ではニコル様」
「あぁ」

衛兵は荷馬車を操作する使用人に合図を出すと、バシッと手綱を馬に当て、ゆっくりと動き出していく。
動く荷馬車がニコルの前を通過する時、私は必死に開けるように扉を叩くが、動き出した荷馬車を見るなり屋敷内へと戻る姿を目にした。



***



動き出し、中から開ける事が出来ない状態のまま敷地内を抜けた時、私は諦めがついた。
もう生家に行くまでは開けてもらえないな、と。
そう思い、馬車内で大人しく座ることにした。

荷馬車内は真っ赤で、座る椅子もだが、その椅子に至っては座ると自身のお尻が軽く沈み込む感じになり、屋敷の部屋の椅子とはえらい違いだ。
そんな椅子に座りつつ、ゴトゴトと生家へと向かい、しばらくすると街並みが見えてきて、2日ぶりなのに何故か新鮮な感じがした。
こんな馬車に乗っているからだろうか…。
街行く人も通るこの馬車に目を送り、中には手を振る子供もいた。

そして……


ガチャっと鍵を開ける音をした後、扉が開かれた。

「どうぞ、リース様」
「……どうも」

降りた先には私の生家。
色の違う木をつぎはぎに貼り合わせ、隙間がチラホラと見える家。
そんな隙間に風は入るたびにビュービューと乾いた音が鳴り、虫なんて年中入り放題だ。
とてもじゃないが、人に見せれる様な家じゃないなと改めて思った。

「リース!?」

そんな私を両親は出迎えた。
だが、すぐにこの黒塗りの荷馬車に慄き、私に歩みよる足を遅くしていった。

「リース様のご両親ですね。ニコル様の命で来ました。
……こちらを」

衛兵は一枚の紙を両親に手渡し、それを見るなり両親はみるみると顔色を変えていき、紙から目を離すと私を見てきた。

「な、何が書いてあるの?」

私はついその紙が気になり、近寄るが両親は『ダメだ』と一括し、寄る事を拒んできた。

「なんで?それ、ニコルからでしょ?私が見てもいいのでは?」
「だ、ダメだ。……リース、お前はニコル様と婚姻を結べ。いいな?」
「どうして!?まだ会ったばかり」
「関係ない!?必ずしろっ!?」

怒る父に迫ろうとするなり、衛兵が間に入り、『時間がありますので』とだけ言う。

「時間って、なに?その紙には何が?」

「すぐ用意してきます。お待ちを!?」

両親は身支度をするため慌てて家へと戻っていき、その手にはあの紙がくしゃっと握りしめられていた。

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