全てを失った私を救ったのは…

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生家

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荷造りを終え、屋敷の扉を出ると衛兵が三人待っており、その後ろには馬車が用意されていた。
もうこの家には関係なくなった私が乗る物では無いと思い、断るが衛兵はニコルの指示だと言う。

「あの、指示でも私は……」
「ダメです。従って貰わないと私達が罰を受けます。……さぁ」

衛兵が扉を開け、乗るようにした時、後ろから声をかけてくる人物がいた。

「あら、お帰り?ネズミ、……いや、ドブネズミだったかしら?ねぇ、エリス」

やはり傍らにはエリスもいた。

「ローズ……」
「まぁ、やっぱりあなたなんかがこのフィリス家には似合わなかったって事ね。お兄様はもうすっかりイリーナに夢中よ。だからここには来ない」

「……嫌味な奴」

私は聞こえないように呟き、無視するように乗ろうとした。
でも、ローズはそんな私に更に声をかけてくる。

「あらあら、紙にサインした人は違うわね、潔いわ」

その言葉に私はエリスを睨みつけた。

「また、見てたの?」
「はい、しっかりと」

閉じた部屋の様子を見るための方法はもう一つしかない。
窓だ。
まさかそこまでして私の動向を知りたいなんて怖いくらいだ。

「なんて書いたかなんて何となく分かるわ、でもそれを今いうと泣いちゃいそうだから止めてあげる、感謝しなさい」
「うるさいっ!?」
「あー、怖い怖い」
「さっさとどこか行って!」
「はいはい、行きますわよ。私はラルフとこれから熱い夜を過ごすんだから」
「……あなたも私みたいに捨てられればいい」
「なによっ!?」

怒るローズは私に詰め寄ろうとするが、衛兵がそれを止め、引き離すように馬車はゆっくりと動き始めた。
馬車の窓から見えるローズは声を張り上げて何か言ってるようだが全く聞こえなかった。




馬車は屋敷を離れ、街中を進んでいく。
この馬車を見て住人はこちらを見てくるが、今乗ってるのはもう何も関係ない『ただ』の女だ。

視線から隠れるように蹲り、やり過ごしていく。
そしてある場所に馬車は止まり、私は蹲った体を起こすと見慣れない建物が目に入った。
不思議に思ってる私を置き、扉が開き衛兵が降りるように告げてくる。

「あの、ここは?」
「……あなたの生家ですが?」
「えっ」

言われてみれば確かにこの風景は見覚えがあるが、佇む建物は私が知ってる建物ではなかった。
古い木でチグハグに組んで出来た家が私の知る生家だが、今あるのは頑丈な赤茶の煉瓦で出来た家。

「あの……違うと思います。私の家は木ですから」
「いいえ、ここです。……そういうなら入ってみてください」

私は言われるがままに煉瓦の壁に造られた木の門を開け中へと入っていった。

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