全てを失った私を救ったのは…

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対処

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威嚇を続けるキースを宥めようとベットから降り、手を出すとその手を引っ掻いてきた。

「いたッ」

さっきまでの懐いた感じは何処へ……と思ってしまうくらいの変貌だ。
フー!っと声を出すキースにわたしは手をこまねいた。

(……もしかしてジャックさんを悪く思ったから?)

ずっと一緒にいるジャックさんを悪く思った私に敵意を感じたのかと思い、私は身を低くしキースに謝った。

「……なにしてるんですか?」

床に這いずる様な格好でキースと向き合う私にジャックさんは目を向けてくる。

「いや、あの、その……これは」

言い訳を考えても良い案など出ず、最後は黙り込んでしまった。

「なんだか一緒にいて面白いですね、リースさんは。ずっとコイツとだけだったから寂しさもありましたけどそれも無くなりそうです」
「そ、そうですか……」
「えぇ。……さぁ、起き上がって寝ましょう」

炎が消された部屋には月の光がうっすらと入るが、炎よりも弱く、顔をしっかりと認識するほどでは無かった。

威嚇していたキースもジャックさんが宥め、床に眠り込んでいく。
私もベットを借り、横になるが、隣に男性がいる事が気になり背を向けて寝れず、ずっとジャックさんの方を見ていた。


ーーーーーー


夜も更けていき、木の葉がサワサワと騒ぐ音といまだに鳴く鳥の声。
そして吹き抜ける風の音。
さらに、隣ではジャックさんが寝息を立てキースを自身の胸の中へとしまっている。

一方の私は寝れず、目を閉じては開きを繰り返し夜が更けるのを待った。
すると、部屋の近くでコト…っと音が聞こえた。
明らかに今までに聞いた音では無かった。

気になり恐る恐る隙間から覗くと人間らしい動く物が見えた。

(……えっ、だれ?)

動物では無さそうだ。
辺りを見渡しながら何かを探している様子に見える。
声を漏らさないように口を両手で塞ぎ、目で追った。

その時、私とその物の目が合った気がした。
瞬間的に目を隙間から外し、ジャックさんの方を向いた。

ガサガサガサっ

こちらにやってくる音が段々近づいてくる。
恐怖心から私はベットから抜け、ジャックさんの肩を必死に揺らし起こし始めた。

「起きて、起きてくださいっ!?」

「……なんですか、こんな夜中に。まさか……よば、」
「そんな事しませんっ。誰か来ます!?」

音は扉のすぐ側までやって来た。

察したジャックさんは私にベットに隠れるように指示し、自身は部屋の隅に置かれた木の棒を取りに行った。

そして……

相手が開けて来るより先にジャックさんは外へと立ち向かっていった。

「ぎゃあぁぁっ!?……やめ!?」

男性の声だ。
それもジャックさんのでは無い。
悲鳴が部屋、そして森に響き、それを聞いた鳥達は一斉に飛び立っていった。

「や、……やめ、て」

男性の悲痛な叫びが消え、シーンとなりベットに隠れていた私はゆっくりと顔を出した。
開きっぱなしの扉の向こうには血だらけのジャックさんに倒れている男性。

「血……」

持ち出したのは木の棒だったはずなのに、何故?
振り返り、私のことに気づくジャックさんの手元にはキラリと光る短剣が握られており、足元には木の棒の欠片が落ちていた。
そう……あれは棒ではなく、ナイフだった。

ゆっくり中へ入ってくるジャックさんに恐怖を感じ壁へと逃げた。

「えっ……まさか、殺し……」

私の言葉にジャックさんは振り返った後、顔を戻すと頷いた。

「ど、どうして?」
「アイツは頻繁にこの辺で盗みを働く輩です。いつもなら懲らしめるだけですが、今日は……」
「どういう事?」
「……あなたがいるからですよ。もし犯す様な事にもなったらと思い、いっその事」

持ったナイフを見ながら語ってくる。

「そんな人殺しなんて……」
「危険なんです、ココは」

ジャックさんの言動より、今まさに目の前にいる人に一番恐怖を覚えた……。
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