全てを失った私を救ったのは…

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夜道の出来事

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「あるんでしょ?」

私の問いに渋々頷き認めた。

「それで、どこ?」
「……知ってるんだろう、お前も。なら聞く必要など無いはずだ。さっさと解放しろ」

「いいや、あんたの口で言いな。そしてちゃんとあるかどうか確認してからじゃないと解放などしない」

ジャックさんがいつの間にこちらへと来ており、詰め寄っていく。

「……ジャックさん」
「大丈夫、いまは殺りませんよ。……さぁ、さっさと吐いたらどうなんだ?」

しばし黙った後、ファーラスはゆっくりと胸に手を入れると一つの鍵を見せてきた。

「それは?」
「……屋敷の裏から入るための鍵だ。お前はニコルに見せてもらった事はないのか?」

見せてきた鍵は先端が二手に分かれており、長い年月が経っているのか、錆が所々付いていた。

「私は見た事ない」
「そうか。……お前、嘘ついたな」
「……別に」

どうやら見抜かれたようだが、今となってはもうどうでも良かった。
それさえ知れれば……。

「で、どうします?今から……」

「何を企んでいるか知らんが、辞めとけ。あっという間に捕まりお前達…死ぬぞ」
「やれるものならやってみろ、目的を達成するまで死なん」
「ふっ、勝手にしろ」

闇雲に屋敷に行っても捕まるだけだ。
もう少しファーラスから屋敷での警備の配置や手薄になる時間を聞き出そうと質問を私はし始めた。

「その場所から入ったらどこに出るの?」
「玉座の間近くだ」
「玉座……」
「あそこか……ならエリスまでも近いな」

「なんだ、お前はニコルに用があるんじゃないのか?」
「あるが、あんなのよりエリスだ」
「エリス?あぁ、あの小さいやつか。……ん?そうか、やっと思い出した。お前、あいつと付き合ってるんだってな。ローズから報告を受けた」
「あぁ、そうだ。俺はエリスと付き合っていた。それをあんたがニコルに密告したせいで追い出された!」
「……何を勘違いしてるか知らんが、俺は何も言ってない」
「惚けるなっ。ちゃんと聞いたお前がニコルに言い、そして……」
「誰から聞いたんだ、それは」
「……イリーナ」

その名を聞いて私はドクンと心臓がなった。
イリーナ……、味方だと思ってたのにいつの間にか裏切り、ニコルの懐に入っていった。

「イリーナ、昔からそうだったんだ……」

呟くようにいう私に二人は目線を送ってきた。

「なんだ、イリーナがお前に何かしたのか?」
「……別に」
「ふっ、どうせ寝取られたんだろう?女なんだから良くある事だ」

ファーラスは的確にそこを突いてきた。
その通りであるため私は何も言い返せずにいた。

「なんだ、図星か?はははっ!?おめでたいやつだな。あれだけお前を惚れ込んでいたのに掌を返してイリーナと」

高笑いをするファーラスに私は……。

「うるさいっ」

私は飛びかかっていた。

「おいおいっ、今度はお前か。だが、お前など」

私はファーラスの両手首を掴み、押し倒そうとしたが、非力な私はいとも簡単に押し返され、今度はこっちが尻餅をつき押し倒されそうになっていく。

「ははははっ!弱いな、お前は。だから捨てられるんだ!」
「だ、黙って」
「黙ってられるか、愉快だ!まさかこんな日がくるとはな」

笑いつつ更に私を押してくるファーラスの手をジャックさんが止めに入った。

「やめろ、あんたじゃないにしても俺は許した訳じゃない。離せ」

掴み合う手を引き離すと不穏な空気が流れていく。

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