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家に向かう道中には坂となっている場所がある。
以前彼女と図書館に向かう際にも通ったが、あの時はスピードを出し過ぎて怖くなり、ブレーキを強めにかけたがなかなか止まらず焦った顔を見せた僕の事を盛大に笑っていた。
そんな坂道を登っていると前方にショートボブ姿の女の子がいた。
かばんを後ろ手に持ちながら、背を丸め歩くその姿はどこか寂しげな様子にも見えた。
近づく足音に気付いたのか、足を止め、振り返ってくる。
しかし、逆光となっており顔がハッキリと分からなかったので、日を遮ろうと手を翳し影を作って確認しようとした。
「私だよ、ガリ勉くん」
聞き慣れた声の主は彼女だった。
「……じゃないかなと思ったよ。この道を通る子は僕が知る限りで他にはいないし」
「そっか。でも後ろから気配を消して近づいてくるのは卑怯かな。一瞬ストーカーかと思って逃げる準備しちゃったよ」
背を丸めていたのは走るためか。
「僕はそんな事しない」
「あははっ!確かに!君は恋とか全く興味なさそうだし」
「失礼な。一応僕だって男さ」
「へぇ……。じゃあ初恋の人は?」
「……眩しいから答えたくないな」
「あっ。また逃げた!!」
彼女は僕の方へと近づいてくると、翳していた手を掴み下ろしてくる。
「これで眩しくないでしょ?」
隣に立った彼女はニヤニヤしており、これは早く答えろって言っているのだろう。
「質問してきたのは君だ。だから……」
ニヤニヤしていた顔が、スーッと元に戻っていく様子を見るとどうやら正論だって気付いたようで、今回は僕の勝ちだ。
僕から一歩先に歩み始めるのでそれを追うように後を続く。
「……私の初恋は小学生の時。
体育でドッジボールをしていたんだけど、どんどんボールを当てられ、味方が減っていき、私ともう一人の子となった。
ボールが内野と外野を行き来しているからそれに合わせて動いていたら転けてしまって、そこを狙われた。
で、当てようと投げられたボールをスッと前に出て受け止めてくれたの。
あの時はドキッとしたなぁ。多分あれが初恋なんだと思う」
「……」
話し終えるとすぐに『それで、君は?』と聞いてきそうだと身構えたが、追従はなく彼女は日に手を翳していく。
でも全部を防ぐ事はできず、手の間から光が射し込み短くなった髪を光らせ、僕の瞬きを止めさせる。
目の前にいる彼女はスポットライトを浴び、光り輝くあの時の女性演者…いや、それ以上だった。
「髪を切ったのは、決意のため?」
手を下ろすと、軽く微笑みを浮かべうなずいてくる。
「急だったから皆びっくりしていたけど、君は違うね」
「……教えてくれたから」
「うん」
その後、お互い無言で坂を登っていくと不意に足を止め、僕とは逆の方に視線を移していく。
同じように目を向けると塗装されず石ころが散乱する階段があり、上へと視線を向けていくと鳥居が見えた。
「神社?」
「うん。……寄ってもいいかな?」
僕はゆっくりと頷き、了承した。
「ありがとう」
階段を登り切ると、急に厳かな雰囲気に包まれ鳥居をくぐる前で背筋を伸ばし、姿勢を正す。
彼女もまた姿勢を正すと、一礼し、鳥居を越えるとまっすぐ歩いていった。
そして賽銭箱の前で足を止め、一枚の硬貨を入れると本殿鈴を鳴らし手を合わせ始めた。
以前彼女と図書館に向かう際にも通ったが、あの時はスピードを出し過ぎて怖くなり、ブレーキを強めにかけたがなかなか止まらず焦った顔を見せた僕の事を盛大に笑っていた。
そんな坂道を登っていると前方にショートボブ姿の女の子がいた。
かばんを後ろ手に持ちながら、背を丸め歩くその姿はどこか寂しげな様子にも見えた。
近づく足音に気付いたのか、足を止め、振り返ってくる。
しかし、逆光となっており顔がハッキリと分からなかったので、日を遮ろうと手を翳し影を作って確認しようとした。
「私だよ、ガリ勉くん」
聞き慣れた声の主は彼女だった。
「……じゃないかなと思ったよ。この道を通る子は僕が知る限りで他にはいないし」
「そっか。でも後ろから気配を消して近づいてくるのは卑怯かな。一瞬ストーカーかと思って逃げる準備しちゃったよ」
背を丸めていたのは走るためか。
「僕はそんな事しない」
「あははっ!確かに!君は恋とか全く興味なさそうだし」
「失礼な。一応僕だって男さ」
「へぇ……。じゃあ初恋の人は?」
「……眩しいから答えたくないな」
「あっ。また逃げた!!」
彼女は僕の方へと近づいてくると、翳していた手を掴み下ろしてくる。
「これで眩しくないでしょ?」
隣に立った彼女はニヤニヤしており、これは早く答えろって言っているのだろう。
「質問してきたのは君だ。だから……」
ニヤニヤしていた顔が、スーッと元に戻っていく様子を見るとどうやら正論だって気付いたようで、今回は僕の勝ちだ。
僕から一歩先に歩み始めるのでそれを追うように後を続く。
「……私の初恋は小学生の時。
体育でドッジボールをしていたんだけど、どんどんボールを当てられ、味方が減っていき、私ともう一人の子となった。
ボールが内野と外野を行き来しているからそれに合わせて動いていたら転けてしまって、そこを狙われた。
で、当てようと投げられたボールをスッと前に出て受け止めてくれたの。
あの時はドキッとしたなぁ。多分あれが初恋なんだと思う」
「……」
話し終えるとすぐに『それで、君は?』と聞いてきそうだと身構えたが、追従はなく彼女は日に手を翳していく。
でも全部を防ぐ事はできず、手の間から光が射し込み短くなった髪を光らせ、僕の瞬きを止めさせる。
目の前にいる彼女はスポットライトを浴び、光り輝くあの時の女性演者…いや、それ以上だった。
「髪を切ったのは、決意のため?」
手を下ろすと、軽く微笑みを浮かべうなずいてくる。
「急だったから皆びっくりしていたけど、君は違うね」
「……教えてくれたから」
「うん」
その後、お互い無言で坂を登っていくと不意に足を止め、僕とは逆の方に視線を移していく。
同じように目を向けると塗装されず石ころが散乱する階段があり、上へと視線を向けていくと鳥居が見えた。
「神社?」
「うん。……寄ってもいいかな?」
僕はゆっくりと頷き、了承した。
「ありがとう」
階段を登り切ると、急に厳かな雰囲気に包まれ鳥居をくぐる前で背筋を伸ばし、姿勢を正す。
彼女もまた姿勢を正すと、一礼し、鳥居を越えるとまっすぐ歩いていった。
そして賽銭箱の前で足を止め、一枚の硬貨を入れると本殿鈴を鳴らし手を合わせ始めた。
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