君から届く声を、僕は守りたい

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「来てくれてありがとう」

数年に一度の大雪が降るとも言われたクリスマスの日、僕らは有名テーマパークの入り口前で待ち合わせた。
心踊る音楽と甘いポップコーンの匂いが漂うこの場所で、次々と僕らの横を人々が通り過ぎていく。
家族や友人、その中でもやはり多いのはカップルの姿だ。
特別な日を待ち侘びたかのように寄り添い歩く姿を尻目にお互い向き合い立ち止まっている。

「どうして、ここに?」

不思議だった。
あれだけ落ち込んだ様子を見せていたのだから、静かな場所を選ぶと思っていたが、その真逆。
楽しそうな人達に囲まれたこの場所はより苦痛を受けそうなのに、彼女はここを指名した。

「君の言いたいことはわかるよ。『おかしい』でしょ。でも、私はここに来たかった、君と」
「えっ」
「はい、これ」

彼女は一枚のチケットを渡してきた。
それはこの先にある入場ゲートを通るための物。

「でも」
「今日は一日付き合ってほしい。ちゃんと話したい事もあるから」

その言葉にどくんと大きく心臓が鳴った。
嫌な事が瞬時に頭によぎり、渡されたチケットを落としてしまう。

「大丈夫?」
「あ、……うん」
「いこう。ここに立っていると邪魔にもなるし」

先を歩き出す彼女を僕は重い足取りで追っていった。

入場ゲートを抜けると、より楽しそうな人達の笑い声やアトラクションの恐怖からの悲鳴が聞こえてきた。
僕は少しキョロキョロと周囲を見てしまっていた。
正直あまり得意とは言える場所ではなかったから。

「ガリ勉くん」
「えっ!」

彼女は僕に手を差し出してきた。
それはまるで早く繋いでくれと言わんばかりに…。
でも、渋る僕に気付いたようだ。

「………ごめん。私達、そうじゃないよね」

何度も腕を掴まれた事はあるけど、お互いの手と手を重ねた事は一度もない。
だって僕らはそんな関係じゃない。
役者を目指すものと練習に付き合う者。
それ以上の関係を超える事は望んでいないから。

「……こっちこそ」

差し出した手を引っ込めた彼女は、とりあえず巡ろうと促し、僕はそれを了承した。

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