君から届く声を、僕は守りたい

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近づく顔に彼女は目を閉じ待ち構え、僕も同じように目を閉じた時だった。

ドォォォンっと大きな破裂音が鳴り、ゴンドラが揺れた事に驚いた僕らは同時に目を開いた。

「……花火」
「……だね」

頂上付近にいる僕らの目の前には遮蔽物はなく、大輪を咲かせる花火は色鮮やかでとても綺麗だった。

「「あははっ!!」」

緊張感でいっぱいだったゴンドラ内に響くお互いの笑い声。
気づけばまた手をつなぎ、肩をくっつけ花火が上がる度に歓声をあげた。
花火も頂上から半分くらい下りてくる頃には終焉を告げるように連続で何発も上がり、そして終わりを迎えた。

残りの半分の時間は役について語り合った。
なんでも決まった役は二股をかけられた末に、捨てられた彼女役だそうで、その恨みから男性に迫るらしい。

前回のシンデレラといい、彼女には悪役っぽいのが合っているのだろうか。
『君らしい役だ』と告げると、また窓にぶつけられた…。


「色々あったね」
「……色々、ね」
「これから演技の練習がいっぱい入るから会えなくて寂しいけど、今はこうやって会えて良かった!」
「こちらこそ、夢の舞台はもうそこだね。僕は待ってるよ、君の声が聞ける日を」
「うん」

帰り道、僕はわざと早歩きで歩き、すたすたと彼女を置いていくそぶりを見せた。
最初は付いてくるが、次第に疲れたのか遅くなっていき、しまいには『そんなに焦らなくても終電には早いよ?』と告げてくる。

「そんなとろとろ歩く彼女なんていらないなぁ。他に誰かいないかな??」

キョロキョロと辺りを見渡した後、通りを歩く女性へと少し歩み寄っていく。

「ストーカーだ!」
「……気づいてよ。これ、練習なんだけど?」
「練習??……ぷっ」

盛大に笑ったかと思えば、走ってこちらにやってくるので僕は逃げた。

「僕はいろんな人と遊びたいんだ!一人だけだなんて窮屈で仕方ない!」
「無理無理っ!君を愛する人なんて世界中探したって私しかいないんだから諦めなさい!」
「絶対に嫌だ!君とは終わりだ!!」
「私は離れない!ずっと、ずっっと!!」

練習と言ったけど、なんだか違う気もした…。
でもこうやって過ごせるのも君がいるからなんだと思うと嬉しかった。
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