君から届く声を、僕は守りたい

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別れてからの日々は淡々と過ぎていき、夏を迎えた。
付き合っているとはいえ、すぐには会えることのできない距離。
初めての恋が遠距離恋愛だなんて予想だにせず寂しい気持ちでいる僕の気持ちを払拭させてくれたのは彼女からのメッセージだった。

【やっほー!全然連絡できなくてごめんね。
でも君も送ってくれていいんだよ?
あっという間に夏だね。夏といえば君に負けたあの日を思い出してしまうよ。次こそは!】

不満と決意を述べるメッセージにクスッと笑い、返信をした。

【それはごめん。でも君に負けるつもりは無いよ。仮にアスファルトの上でも逃げ切って見せる】 

【おっ!言ったなぁ。その言葉確かめにいってやろう!】

プロになり初めての夏、彼女は休暇を利用しこっちに戻るつもりだと教え、久しぶりに顔が見たいから夏休みである今を選んだらしい。

そしてお盆近くのある日、僕は駅へと向かった。
雲ひとつない晴れ渡った昼、風も少なくジリジリと照らす太陽の日が地面に当たり陽炎を作っていく。

「暑い……」

年々暑さが厳しくなっていくなと感じつつ、ペットボトルの水を何度も口に付ける。
待ち人はまだ到着していない。
まぁ……僕が早く来過ぎたせいでもあるんだけど。

駅の改札口を何度も確認していると、見覚えのある顔が映り、少しだけ目を大きくする。

「出迎えご苦労!」
「……僕は君の家来じゃないよ」
「あははっ!そうでした。ごめんなさい」

軽く謝りつつ目の前に現れた彼女は、少し大きめの鞄を二つ持つ。
だけど、塗られたファンデーションと薄いピンク色のチークにより、ぐっと大人びた感じに見え、化粧によって印象が変わるということをまざまざと僕に見せつけてくる。

少しだけじっとその顔を見ていると、片方の鞄を下ろし、その眼前に手をひらひらとさせてくる。

「生きてる?それとも久しぶりにあった私に見惚れちゃったかな??」
「い、生きてるよ。もちろん」

我に返るが否定しない事に、うんうんと大きく頷いてくる。

「会うのは半年ぶりくらいだもんね。寂しくて寂しくて枕濡らしたでしょ!」
「……それ以前も聞いたよ。君の事だから初めて言ったと思っているだろうけど僕はちゃんと覚えている」
「へへーん、私だってちゃんと覚えているよ」
「そうかな?だって君は麦わら帽子を……」

みなまで言わせる前に彼女は僕の口を塞いできた。

「まぁまぁ、前のことはそこまでにして、とりあえず行こう」
「行くってどこに?」

会う日と時間だけは教えてもらっているが、会った後の行動は何一つ教えてもらってない。
その際の彼女の行動は、僕の予想を超える事がほとんどだ。

「まずはこっち!」

下ろした鞄を僕は持ち、駅を後にするとすぐにあるレンタカーショップへと足を踏み入れていく。
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