落とし主は私の未来の旦那様

mock

文字の大きさ
1 / 2

1

しおりを挟む
「あの、落としましたよ?」

日曜の昼下がり、私ー水野由紀みずのゆき、25歳は目の前を歩く長身の男性が落としたハンカチを拾い、声を掛けた。

右にくるりと振り返り、向けた顔はとても端正な顔立ちをしており、肌も白く、日に当たるとよりその白さが際立って見えた。

「ありがとうございます」

落ち着いた声で返答をし、受け取るため差し出された手の指は細長く、これまた綺麗だった。

(……芸能人?)

思わずそう思い、拾ったハンカチを渡すのを忘れ、少しだけその手をじっと見ていた。

「……あの?」

ハッと我に返り手渡すと、その男性は歩いていた方向へと去って行った。

「……誰?」
「分からない。でも、……綺麗だった」

一緒に街をぶらついていた親友の住野唯すみのゆいの問いかけに私は去っていく男性の方ばかりを見ていた。

「おやおや、まさかの一目惚れ??」

茶化すかの様に話す唯は茶髪の長髪を、去った男性と私を交互に見るたびに揺れ動かしていた。

「違うって!」
「まぁね。だって由紀には透がいるもんね」

唯は私の彼である立花透たちばなとおるの名を挙げていく。

「そういえば、透とは付き合って何年?結構長いよね?」
「3年、かな」
「へぇー。じゃあそろそろ結婚の話も出てくるかもだね。その時はちゃんと呼んでよね!」
「決まったらね」

唯とはその後少ししたら別れ、自宅マンションへと帰った私は鍵穴にキーを差し込むと違和感を覚えた。

(……開いてる?)

左に回した時にする音がしない事と引っかかりがなくすんなり動いた事により頭の中がざわついた。

部屋のキーを持っているのは私自身ともう一人、彼である透だけだ。

「まさか……」

あって欲しくない事実を確かめるため、音を立てずに扉を開くと、リビングから男女が愛し合ってる声が私の耳に届いてきた。

「嘘、でしょ……」

すぐにリビングの扉を開けると、急に開いた事にびっくりした透とショートカットの女性がソファで裸になり抱き合ってるシーンを目撃してしまった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】リゼットスティアの王妃様

通木遼平
恋愛
 リゼットスティアという美しく豊かな国があった。その国を治める国王も美しいと評判で、隣国の王女フィロメナは一度でいいから彼に会ってみたいと思い、兄である王子についてリゼットスティアに赴く。  フィロメナはなんとか国王にアピールしようとするが国王にはすでに強引に婚姻に至ったと噂の王妃がいた。国王はフィロメナに王妃との出会いを話して聞かせる。 ※他のサイトにも掲載しています

侯爵様の懺悔

宇野 肇
恋愛
 女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。  そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。  侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。  その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。  おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。  ――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。

incurably

優未
恋愛
幼い頃のちょっとした事故が原因で婚約を結んだマークとエリナ。ほとんど目立たない傷で責任を取ってもらうのは申し訳ない。何とか穏便に婚約解消を目指すエリナに対してマークは……。

ウインタータイム ~恋い焦がれて、その後~

さとう涼
恋愛
カレに愛されている間だけ、 自分が特別な存在だと錯覚できる…… ◇◇◇ 『恋い焦がれて』の4年後のお話(短編)です。 主人公は大学生→社会人となりました! ※先に『恋い焦がれて』をお読みください。 ※1話目から『恋い焦がれて』のネタバレになっておりますのでご注意ください! ※女性視点・男性視点の交互に話が進みます

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

おにょれ王子め!

こもろう
恋愛
レティジアは公爵令嬢で、王子フリードの婚約者。しかし現在、フリードとの関係はこじれまくっている。 見た目は気が強そうだが実は泣き虫なレティジアは人知れず毎日涙を流し、フリードはなんだかイライラしている。 そんな二人の前に現れるのは……!

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

側近女性は迷わない

中田カナ
恋愛
第二王子殿下の側近の中でただ1人の女性である私は、思いがけず自分の陰口を耳にしてしまった。 ※ 小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

処理中です...