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「な、……何してるの!!」
私の大声に二人は慌てふためきソファから落ちた衣服を取り身支度を整えようとしていた。
「透っ!」
彼である透は白いTシャツを着るなり、テーブルに置かれた黒縁メガネを掛け、私の方へと目を向けてくる。
「……」
だが、私の顔は鬼のような形相でいるため、何も言えず、隣でいそいそと着替える女性へと寄っていった。
一方、女性は白シャツのボタンの掛け違いなど気にせず、出口である玄関へと向かおうとするが、行くためにはこのリビングを通らなければならず、その前には私が仁王立ちで行手を阻んだ。
「……何も言わずに去る気?」
「あっ。……いや、その」
女性は顔を赤めつつ、目は一向に合わせようとしない。
当たり前か。
こんな状況で清々しい顔を見せ『お邪魔しました』なんて言えるはずも無い。
だから私は女性が着るシャツの後ろ襟を掴み、再びソファへとズルズルと引いていった。
「お、おい。由紀……」
透が小さな声で私を静止させようとするが、私はお構いなしに引き、ブンッと振り払うと女性はソファへと座らされた。
「……あなた、名前は??」
「……」
掛け違えたシャツの前部分を掴みつつ、ブルブルと震えながら黙る仕草に、私はもう一度問いた。
「名前、分からないはずないでしょ?自分のなんだから」
冷たく言い放つ私の声に、女性は先程よりも震えだし、啜り泣きを始めていく。
「泣きたいのは私の方よっ!!!」
私は女性が座る側にあったベージュのクッションを思いっきり叩き出し、ズイッと顔を近づけていった。
「もう止めろよっ、由紀!」
両脇の下に腕を入れ強引に引き剥がすように、後ろへと引かれていく。
「今すぐこの手を離して!!」
「ダメだ。……ちゃんと話すから」
二人はソファの下にちょこんと座り、私は行儀が悪いと思いつつもテーブルに座り、足を組んで見下ろしていく。
「……で、透。話すんでしょ?早くしてくれない?」
「そ、その。こいつは……」
吃りつつ隣の女性に目をチラチラと移しつつ、こめかめ辺りにはツーッと汗が垂れていた。
「ごめんなさいっ!」
吃る透より先に女性が口を開き、目の前で土下座をして謝る姿勢を見せてきた。
何度も何度も頭をこつこつとぶつけ平謝りする姿に、透は口を半分開きつつも何も言わずそれを見ていた。
「……謝るより、私が知りたい事言ってくれない??」
「あのっ、私……」
「いや、お、俺が言う」
「じゃあ早くして」
「……こいつは、えっと、俺の後輩で、その」
顔を真っ赤にして見上げつつ私に答え始める透は先程よりも汗が吹き出し、口なんてもうカサカサだ。
喉も乾いているのか、上手く声も発せない状況に私は大きく息を吐いた。
「何年?」
「えっ?」
「だから何年浮気してるのかって事。……いまさら惚けようとしても無駄」
「……さ、三年」
「はぁ!!!」
私は透の告白を聞くや否や、その頭に足を振り下ろしていた。
私の大声に二人は慌てふためきソファから落ちた衣服を取り身支度を整えようとしていた。
「透っ!」
彼である透は白いTシャツを着るなり、テーブルに置かれた黒縁メガネを掛け、私の方へと目を向けてくる。
「……」
だが、私の顔は鬼のような形相でいるため、何も言えず、隣でいそいそと着替える女性へと寄っていった。
一方、女性は白シャツのボタンの掛け違いなど気にせず、出口である玄関へと向かおうとするが、行くためにはこのリビングを通らなければならず、その前には私が仁王立ちで行手を阻んだ。
「……何も言わずに去る気?」
「あっ。……いや、その」
女性は顔を赤めつつ、目は一向に合わせようとしない。
当たり前か。
こんな状況で清々しい顔を見せ『お邪魔しました』なんて言えるはずも無い。
だから私は女性が着るシャツの後ろ襟を掴み、再びソファへとズルズルと引いていった。
「お、おい。由紀……」
透が小さな声で私を静止させようとするが、私はお構いなしに引き、ブンッと振り払うと女性はソファへと座らされた。
「……あなた、名前は??」
「……」
掛け違えたシャツの前部分を掴みつつ、ブルブルと震えながら黙る仕草に、私はもう一度問いた。
「名前、分からないはずないでしょ?自分のなんだから」
冷たく言い放つ私の声に、女性は先程よりも震えだし、啜り泣きを始めていく。
「泣きたいのは私の方よっ!!!」
私は女性が座る側にあったベージュのクッションを思いっきり叩き出し、ズイッと顔を近づけていった。
「もう止めろよっ、由紀!」
両脇の下に腕を入れ強引に引き剥がすように、後ろへと引かれていく。
「今すぐこの手を離して!!」
「ダメだ。……ちゃんと話すから」
二人はソファの下にちょこんと座り、私は行儀が悪いと思いつつもテーブルに座り、足を組んで見下ろしていく。
「……で、透。話すんでしょ?早くしてくれない?」
「そ、その。こいつは……」
吃りつつ隣の女性に目をチラチラと移しつつ、こめかめ辺りにはツーッと汗が垂れていた。
「ごめんなさいっ!」
吃る透より先に女性が口を開き、目の前で土下座をして謝る姿勢を見せてきた。
何度も何度も頭をこつこつとぶつけ平謝りする姿に、透は口を半分開きつつも何も言わずそれを見ていた。
「……謝るより、私が知りたい事言ってくれない??」
「あのっ、私……」
「いや、お、俺が言う」
「じゃあ早くして」
「……こいつは、えっと、俺の後輩で、その」
顔を真っ赤にして見上げつつ私に答え始める透は先程よりも汗が吹き出し、口なんてもうカサカサだ。
喉も乾いているのか、上手く声も発せない状況に私は大きく息を吐いた。
「何年?」
「えっ?」
「だから何年浮気してるのかって事。……いまさら惚けようとしても無駄」
「……さ、三年」
「はぁ!!!」
私は透の告白を聞くや否や、その頭に足を振り下ろしていた。
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