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子ども

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本を夜遅くまで読んで夜更かしをしているのだろうか、ブライスの目の下は軽く茶色のクマが出来ていた。

「本、そんなに読むなんて…」

「あ?いいだろうが、為になるなら読まない手はない。お前は読んだりしないのか?だから教養がないんだ…」

先程のマリーの件を出してきて、私を激しく非難してきては難しそうな本を一つ手に取り、これでも読んでマリーをしっかりさせろ。と私の前に差し出してくる。
それは親子の絆に関する本であり、いまのお前には足りないから必ずだ、と強く言う。

差し出された本を受け取るが、正直読んでみたいとは思わなかった。それよりも私が気になるのは…。

「…その本は?」

気になっていた本を指差し問うが、積まれた本の後ろに隠すように移動され、『話だが…』と話題を変えられた。

(なんでその本を隠す?なにか見られたらまずい事でも?)

話すブライスを見るより隠された本にばかり目線が言ってしまった。
それを見たブライスは積まれた本の上を思いっきり叩き怒りだす。
『ちゃんとこっちを見ろ!?』と…。

部屋に響く大声に慄き、目を瞑り少しだけ顔を右に背けたのち、ゆっくり開きながら戻していくとブライスは椅子に座り私の事を見上げていた。
でも何も言わず…。

しばし黙り続けているので私も何も言えずお互いが見合っていたが、ブライスがゆっくりと口を開いた。

「…お前、いまいくつだ?」

「え…いくつってあなたと同じ。28だよ、それがどうかしたの?」

「そうか…もうそんな歳になったか…」

感慨深げに言うが、いまお互いに28だった。
歳が離れている訳でもないのに突然言うその言葉に驚くというより、何故?という気持ちのが強かった。
そう思っている私に対し、ブライスは下を向き置かれた本に目線を落としては考え込んでいるようにも見えた。
そして、ボソリと『28か…』と言う。

「なに?ハッキリと言って!28だよ。なにか問題でもあるの?」

「…お前、子は欲しくないか?」

「子ども…?」

「あぁ、そうだ、それも男だ」

私を見ずに下を向いたまま言うその言葉は私にとって嬉しいと思える物でもあった。
普段は職務などに忙しくこの部屋に入る事さえ躊躇している。それに共に寝る事さえここ数年無かったからだ。

もうそういうことはないのだろうと思っていた時にこの言葉。

「も、もちろん。あなたの子なら私は!」

すぐに答えないと気が変わるのでは…と焦り、すぐに答えたが、ブライスから返ってくる返事は意外な物で私の頭は一瞬真っ白になった…。
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