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意外
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ゆっくりと抱きしめているユーリを見て、本当にいてくれて良かったと思っていた…。
でも、マリーが起こした問題についてはしっかりと問い詰める必要があると思い…
「ねぇ、マリー。アカデミーで何をしたの?
ちゃんと私にいいなさい」
ユーリに抱きしめられ穏やかな顔だったマリーだが、私の言葉に反応すると背中に回していた手を徐々に離し、腕をだら~んとさせ、肩を丸めていた。
そして小さく呟くが私には聞こえず、つい『ちゃんと言って!』と声を上げてしまった。
「リーネ、そんな風にいったら喋らなくなるわよ」
「分かってるけど、大事なことだから。
さぁ、マリー。何があったの?」
俯くマリーはそんな怒る感じに言う私から逃げるようにユーリの後ろに回り、背中から顔を少しだけ出し泣きそうな表情を見せてくる。
目にはいっぱいの涙が見てとれ、ちょっとまずいかな…と思ったが、グッと抑え、もう一度だけ言った。
「…いまのお母様には言いたくない」
ユーリの背中をギュッと掴んで恐怖を露わにしているマリーを私はつい睨んでしまい、それをユーリに諭されなんとか気持ちを落ち着かせようとしたが…
「お母様なんて大嫌い!」
捨て台詞を吐き、ユーリの背中から離れていくと急いで部屋の扉へとかけていき出て行ってしまった。
「ちょ、ちょっと!」
すぐに追いかけようとするがユーリは立ち上がり私の前に立ち塞がると首を振り、『あなたが行ってもいまは無理だから…』と言い、私を残してマリーを追いかけていった。
ポツンと1人になった私は苛立ち軽く右足を上げると床に足を叩きつけた。
「お前は母親として失格だな」
見るとブライスが扉を開け不適に笑いながらはいってくる。
マリーを泣かせたのはどいつだ…と思ったが、いまの私も似たような物だから何も言えなかった。
「な、何か用?」
「少し話がある、俺の部屋に来い」
「話し…ここではダメなこと?」
「…大事な話だ、とりあえずついて来い」
大事な話、としか言わず、すぐに扉に向きを変えて出ようとする。
しかしついてくる気配がない私に対し、先程マリーを部屋に押し込んだときのようにこちら側を見てくる。
その目は『早くしろ』と訴えているように見えた。
マリーについてはユーリに託すとして私はブライスの後についていく事にした。
そして、久しぶりに入るブライスの部屋。
アカデミー時代に初めて入り、婚姻を結んでからは邪魔になるかと思い遠慮していた部屋。
子供の時には背が届かず読まなかったんだろう。
本棚の上の方は手付かずだったのに、今ではその最上段の棚にある本が抜かれ、机に置かれている。
(難しそうだな…)
本のタイトルを見ても私には難しそうであったが、一つだけ目を引いた…。
それは人の気持ちについて書かれている本。
ブライスの性格では読むような内容ではないがそれが目につき、私はそこにだけ目がいってしまっていた。
でも、マリーが起こした問題についてはしっかりと問い詰める必要があると思い…
「ねぇ、マリー。アカデミーで何をしたの?
ちゃんと私にいいなさい」
ユーリに抱きしめられ穏やかな顔だったマリーだが、私の言葉に反応すると背中に回していた手を徐々に離し、腕をだら~んとさせ、肩を丸めていた。
そして小さく呟くが私には聞こえず、つい『ちゃんと言って!』と声を上げてしまった。
「リーネ、そんな風にいったら喋らなくなるわよ」
「分かってるけど、大事なことだから。
さぁ、マリー。何があったの?」
俯くマリーはそんな怒る感じに言う私から逃げるようにユーリの後ろに回り、背中から顔を少しだけ出し泣きそうな表情を見せてくる。
目にはいっぱいの涙が見てとれ、ちょっとまずいかな…と思ったが、グッと抑え、もう一度だけ言った。
「…いまのお母様には言いたくない」
ユーリの背中をギュッと掴んで恐怖を露わにしているマリーを私はつい睨んでしまい、それをユーリに諭されなんとか気持ちを落ち着かせようとしたが…
「お母様なんて大嫌い!」
捨て台詞を吐き、ユーリの背中から離れていくと急いで部屋の扉へとかけていき出て行ってしまった。
「ちょ、ちょっと!」
すぐに追いかけようとするがユーリは立ち上がり私の前に立ち塞がると首を振り、『あなたが行ってもいまは無理だから…』と言い、私を残してマリーを追いかけていった。
ポツンと1人になった私は苛立ち軽く右足を上げると床に足を叩きつけた。
「お前は母親として失格だな」
見るとブライスが扉を開け不適に笑いながらはいってくる。
マリーを泣かせたのはどいつだ…と思ったが、いまの私も似たような物だから何も言えなかった。
「な、何か用?」
「少し話がある、俺の部屋に来い」
「話し…ここではダメなこと?」
「…大事な話だ、とりあえずついて来い」
大事な話、としか言わず、すぐに扉に向きを変えて出ようとする。
しかしついてくる気配がない私に対し、先程マリーを部屋に押し込んだときのようにこちら側を見てくる。
その目は『早くしろ』と訴えているように見えた。
マリーについてはユーリに託すとして私はブライスの後についていく事にした。
そして、久しぶりに入るブライスの部屋。
アカデミー時代に初めて入り、婚姻を結んでからは邪魔になるかと思い遠慮していた部屋。
子供の時には背が届かず読まなかったんだろう。
本棚の上の方は手付かずだったのに、今ではその最上段の棚にある本が抜かれ、机に置かれている。
(難しそうだな…)
本のタイトルを見ても私には難しそうであったが、一つだけ目を引いた…。
それは人の気持ちについて書かれている本。
ブライスの性格では読むような内容ではないがそれが目につき、私はそこにだけ目がいってしまっていた。
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