45 / 106
新たな事実
しおりを挟む
その後ブライスはライオネス家の屋敷には戻って来なかった。
一週間、一ヶ月…。
そして半年経ったある日…
「ブライス様…。お帰りなさいませ」
出迎えたロータスさんは現れたブライスを見るなり少し挙動不審だった。
いくらブライスが不在のライオネス家でも私達がバラした事実は伝わっているのでどんな処分が下されるのかとビクビクしている様子だ。
「久しぶりだな、ロータス。
…だが、聞いてはいる。後で俺の部屋に来い。いいな」
「…はい」
扉を開け久しぶりに入る屋敷は変わっておらずいつもの感じに廊下を歩いていく。
そして向かった先は…。
「リーネ」
やはりノックもなく入ってくるのはいつもの通りだ。
半年ぶりにみるブライスは口元や顎に髭を生やし、すこし頬は痩けた感じだった。
「なにか用?半年も音沙汰もなくいきなり来るなんて」
「すまない」
「…なぜ戻ってきたの?アリスと上手くやっているんじゃ?
それにもうあなたの子が生まれたはず。
それなのにここに来るなんて。
やっぱり生まれたから改めて離縁して欲しいというつもり?
私は前にもいったけどする気は無いから」
半年前の出来事があってからの私は昔の様な弱くビクビクした気持ちの持ち主では無かった。
あれだけ対峙したら怖かったブライスにも堂々と話しをしている。
今の感じでは私の方が立場が上の様でもあった。
「…」
「黙らないで、何度言おうと私はしない。
あなたが居なくてもマリーは私がしっかり育てるので安心して」
「違う、そうじゃない」
「違う?」
「あぁ…頼む、話を聞いてくれ」
ブライスは私に対し深く頭を下げてきた。
それは体を90度になるくらいに曲げ、深く…。
そんな態度を取るのは初めてではないだろうか…。
今までは傲慢で私に対しては常に上から。
全ては自分の思い通りにならないと不機嫌になる『お子様』の様な人が今、こうやって頭を下げ話しを聞いて欲しいとお願いしてくる。
それにビックリして言葉を失ってしまった。
「…今いいか?」
ブライスが戻ってきたのはお昼頃、ちょうどマリーもアカデミーに行っており不在であるのでタイミングとしては申し分ないが、いきなりの『話し』に少し戸惑いが出てしまった。
「頼む、聞いて欲しい」
頭を戻し私を真っ直ぐにみるその目は何かを決意しているような目でもあった。
避けていい場面ではないな…と思い、承諾し頷いた。
「それで…話って?」
ブライスは部屋にある椅子には座ろうとせず立ったままで話しをしようとした。
でも言いづらいのか私の問いに無言であった。
少しの間、私もブライスも何も話さず黙って時を過ごした。
風が窓に当たりガタガタという音だけが部屋に入ってくる。
強めに吹く風が窓を更にガタガタと音をさせた後、ブライスがようやく口を開き始め私に話し始めた。
「アリスの子は死んだ…」
「えっ…」
「嘘じゃない、昨日亡くなった。そして…」
ゆっくりと話し始めたブライス。
そこには願い焦がれた子が亡くなったという事実。
でも話しはそれだけでは無かった…。
一週間、一ヶ月…。
そして半年経ったある日…
「ブライス様…。お帰りなさいませ」
出迎えたロータスさんは現れたブライスを見るなり少し挙動不審だった。
いくらブライスが不在のライオネス家でも私達がバラした事実は伝わっているのでどんな処分が下されるのかとビクビクしている様子だ。
「久しぶりだな、ロータス。
…だが、聞いてはいる。後で俺の部屋に来い。いいな」
「…はい」
扉を開け久しぶりに入る屋敷は変わっておらずいつもの感じに廊下を歩いていく。
そして向かった先は…。
「リーネ」
やはりノックもなく入ってくるのはいつもの通りだ。
半年ぶりにみるブライスは口元や顎に髭を生やし、すこし頬は痩けた感じだった。
「なにか用?半年も音沙汰もなくいきなり来るなんて」
「すまない」
「…なぜ戻ってきたの?アリスと上手くやっているんじゃ?
それにもうあなたの子が生まれたはず。
それなのにここに来るなんて。
やっぱり生まれたから改めて離縁して欲しいというつもり?
私は前にもいったけどする気は無いから」
半年前の出来事があってからの私は昔の様な弱くビクビクした気持ちの持ち主では無かった。
あれだけ対峙したら怖かったブライスにも堂々と話しをしている。
今の感じでは私の方が立場が上の様でもあった。
「…」
「黙らないで、何度言おうと私はしない。
あなたが居なくてもマリーは私がしっかり育てるので安心して」
「違う、そうじゃない」
「違う?」
「あぁ…頼む、話を聞いてくれ」
ブライスは私に対し深く頭を下げてきた。
それは体を90度になるくらいに曲げ、深く…。
そんな態度を取るのは初めてではないだろうか…。
今までは傲慢で私に対しては常に上から。
全ては自分の思い通りにならないと不機嫌になる『お子様』の様な人が今、こうやって頭を下げ話しを聞いて欲しいとお願いしてくる。
それにビックリして言葉を失ってしまった。
「…今いいか?」
ブライスが戻ってきたのはお昼頃、ちょうどマリーもアカデミーに行っており不在であるのでタイミングとしては申し分ないが、いきなりの『話し』に少し戸惑いが出てしまった。
「頼む、聞いて欲しい」
頭を戻し私を真っ直ぐにみるその目は何かを決意しているような目でもあった。
避けていい場面ではないな…と思い、承諾し頷いた。
「それで…話って?」
ブライスは部屋にある椅子には座ろうとせず立ったままで話しをしようとした。
でも言いづらいのか私の問いに無言であった。
少しの間、私もブライスも何も話さず黙って時を過ごした。
風が窓に当たりガタガタという音だけが部屋に入ってくる。
強めに吹く風が窓を更にガタガタと音をさせた後、ブライスがようやく口を開き始め私に話し始めた。
「アリスの子は死んだ…」
「えっ…」
「嘘じゃない、昨日亡くなった。そして…」
ゆっくりと話し始めたブライス。
そこには願い焦がれた子が亡くなったという事実。
でも話しはそれだけでは無かった…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
119
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる