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地下
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「違う?当たり前ですが。
あなたはもうこの家から出た身、帰ってくるなど思っていなかったので寧ろ迷惑ですよ。
さぁ、突っ立ってても意味がないので歩いて下さい。
もうブライス様の部屋をお忘れですか?」
「分かってます!」
突っかかってくるロータスさんに私はイライラが募り当たり散らしていく。
そんな様子を見に来たメイド。
私を見るなりヒソヒソと陰口を言われているようだ…。
廊下を歩き、ブライスの部屋の前に立ち、取っ手を持つが上手く引けない。
気持ちが尻込みしてしまい、それ以上引けずにいた。
「またですか?いいかげんにしてもらいたいですね」
見かねたロータスさんは私に体当たりし、取っ手から手を外すと、すぐに扉を開け中にいるブライス、そしてユーリと私は対面した。
「遅いな、お前は。早く入れ」
またロータスさんは背中を押して部屋へと入れ、今度はすぐに扉を閉め、その近くで待機をしていく。
張り詰めた空気の中、私は二人とまたこうやって会うとは思わなかった。
「立っているのも辛いだろう?そこに座れ、リーネ」
いつもみたいな傲慢さは鳴りを顰め、ラークさんから命懸けで逃げてきた私を優しく扱ってくる。
それは『異常』とまで言えるくらいな感じだった。
「いや、私はここで…」
ブライスが私に優しさを見せる時なんて何かあるに違いない、それは私が今まで接してきた中で覚えたこの人の性格。
だから私はブライスの優しさをやんわりと断った。
ふんっと鼻息を飛ばすブライスに対し、今度はユーリが私の方へとやってきた。
「リーネ」
名を呼ぶユーリは穏やかそうな表情で語りかけてくるが、腹の中は今、何を思ってるんだろうか…。
先程言ってた屋敷に連れてきた後については、まだ私は知らない。
「ユーリ、教えて。屋敷に来た私をどうするつもり?」
「…」
軽く首を振るユーリは何も言わなかった。
だが、明らかにさっきの穏やかな表情は変わり段々と曇っていく…。
「黙るのはもう無しにして!
私をずっと裏切っていたくせに。あなたもブライスもハッキリと言ったらどうなの?!」
ブライスの部屋に響く私の大きな叫び。
こんな態度をとっていれば部屋にいるロータスさんが止めに入るとこだが、それは無く。
椅子に座り見ていたブライスが立つとユーリに近づき、私に言う。
「言ったはずだ、ユーリのお腹には俺の子がいると。
そいつをビックリさせるな。
ハッキリ言えといったな、いいだろう、お前はな…」
目でロータスさんに合図を送ると、バンっと扉を開けた。
そして中に入ってくる人。
いつの間に用意していたのか…複数の警備員が私を取り囲み腕を掴むと押さえつけ床に膝まつかせてくる。
「な、なに、これ!」
「リーネ、お前はこの屋敷の地下で幽閉する。
そして、そのまま出すつもりはない」
「何故?どうして?!」
「お前は罪を犯した、だから捕まえ、幽閉する。
それだけだ」
「意味が分からない!なに、罪って!」
何故…どうして…と繰り返す私の言葉にうんざりした感じで頭を掻くブライス。
それに寄り添うユーリは優しくブライスの体に触れている。
「…お前は俺を脅し、脅迫をした。
ありもしない狂言を翳し俺を侮辱した罪だ」
「…ありもしない狂言?私はそんな事してない」
否定する言葉を口にする私にブライスはおもむろに机に向かうと一枚の紙を私の前に見せてきた。
「これがそうだ、思い出したか?」
見せてきたのはユーリが私に教えた不正の証拠を示す紙。
「これ…」
「思い出したか、こんな嘘に踊らされて勝ち誇ったような顔で言ってきたよな。
俺がどんな気持ちかも分からずに…」
「ブライス様…」
そっと手を握るユーリ。
それを握り返すブライスは少しだけ落ち着きを取り戻したようにも見えた。
「…分かったか、これがお前の罪だ。
おい、早くこいつを地下に連れてけ!目障りだ!?」
ブライスの号令で私は立たされ部屋を後にしようとする。
しかし、激しく抵抗をする私を押さえつけるのに悪戦苦闘する警備員達。
そんな時、ブライスが近づき、もう無理だという状況を理解させるため頬を叩いてきた。
あなたはもうこの家から出た身、帰ってくるなど思っていなかったので寧ろ迷惑ですよ。
さぁ、突っ立ってても意味がないので歩いて下さい。
もうブライス様の部屋をお忘れですか?」
「分かってます!」
突っかかってくるロータスさんに私はイライラが募り当たり散らしていく。
そんな様子を見に来たメイド。
私を見るなりヒソヒソと陰口を言われているようだ…。
廊下を歩き、ブライスの部屋の前に立ち、取っ手を持つが上手く引けない。
気持ちが尻込みしてしまい、それ以上引けずにいた。
「またですか?いいかげんにしてもらいたいですね」
見かねたロータスさんは私に体当たりし、取っ手から手を外すと、すぐに扉を開け中にいるブライス、そしてユーリと私は対面した。
「遅いな、お前は。早く入れ」
またロータスさんは背中を押して部屋へと入れ、今度はすぐに扉を閉め、その近くで待機をしていく。
張り詰めた空気の中、私は二人とまたこうやって会うとは思わなかった。
「立っているのも辛いだろう?そこに座れ、リーネ」
いつもみたいな傲慢さは鳴りを顰め、ラークさんから命懸けで逃げてきた私を優しく扱ってくる。
それは『異常』とまで言えるくらいな感じだった。
「いや、私はここで…」
ブライスが私に優しさを見せる時なんて何かあるに違いない、それは私が今まで接してきた中で覚えたこの人の性格。
だから私はブライスの優しさをやんわりと断った。
ふんっと鼻息を飛ばすブライスに対し、今度はユーリが私の方へとやってきた。
「リーネ」
名を呼ぶユーリは穏やかそうな表情で語りかけてくるが、腹の中は今、何を思ってるんだろうか…。
先程言ってた屋敷に連れてきた後については、まだ私は知らない。
「ユーリ、教えて。屋敷に来た私をどうするつもり?」
「…」
軽く首を振るユーリは何も言わなかった。
だが、明らかにさっきの穏やかな表情は変わり段々と曇っていく…。
「黙るのはもう無しにして!
私をずっと裏切っていたくせに。あなたもブライスもハッキリと言ったらどうなの?!」
ブライスの部屋に響く私の大きな叫び。
こんな態度をとっていれば部屋にいるロータスさんが止めに入るとこだが、それは無く。
椅子に座り見ていたブライスが立つとユーリに近づき、私に言う。
「言ったはずだ、ユーリのお腹には俺の子がいると。
そいつをビックリさせるな。
ハッキリ言えといったな、いいだろう、お前はな…」
目でロータスさんに合図を送ると、バンっと扉を開けた。
そして中に入ってくる人。
いつの間に用意していたのか…複数の警備員が私を取り囲み腕を掴むと押さえつけ床に膝まつかせてくる。
「な、なに、これ!」
「リーネ、お前はこの屋敷の地下で幽閉する。
そして、そのまま出すつもりはない」
「何故?どうして?!」
「お前は罪を犯した、だから捕まえ、幽閉する。
それだけだ」
「意味が分からない!なに、罪って!」
何故…どうして…と繰り返す私の言葉にうんざりした感じで頭を掻くブライス。
それに寄り添うユーリは優しくブライスの体に触れている。
「…お前は俺を脅し、脅迫をした。
ありもしない狂言を翳し俺を侮辱した罪だ」
「…ありもしない狂言?私はそんな事してない」
否定する言葉を口にする私にブライスはおもむろに机に向かうと一枚の紙を私の前に見せてきた。
「これがそうだ、思い出したか?」
見せてきたのはユーリが私に教えた不正の証拠を示す紙。
「これ…」
「思い出したか、こんな嘘に踊らされて勝ち誇ったような顔で言ってきたよな。
俺がどんな気持ちかも分からずに…」
「ブライス様…」
そっと手を握るユーリ。
それを握り返すブライスは少しだけ落ち着きを取り戻したようにも見えた。
「…分かったか、これがお前の罪だ。
おい、早くこいつを地下に連れてけ!目障りだ!?」
ブライスの号令で私は立たされ部屋を後にしようとする。
しかし、激しく抵抗をする私を押さえつけるのに悪戦苦闘する警備員達。
そんな時、ブライスが近づき、もう無理だという状況を理解させるため頬を叩いてきた。
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