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黎明譚 【5】
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「堯之さん。この後時間ありますか?」
「・・ええ。大丈夫です。」
「沙羅。お父さんは堯之さんと少しお話があるんだ。お母さんの所に行ってなさい。」
沙羅は倉橋の目を見つめる。何かを感じ取ったのかコクリと頷いた。
「うん。良い子だ。」
倉橋は沙羅を降ろすと走って家の中に消えていった。
✡✡✡✡✡✡✡✡
先程の庭に面した部屋ではなく、屋敷の奥の部屋に通された。
「さぁ、どうぞ。」
促されるまま腰を下ろす。
「ふふっ。聞きたい事が沢山あるって顔ですね?何でも聞いて下さい。」
「さっきの生き物は何なんだ?」
「ああ、あれは生き物であって生き物ではないです。八咫烏と言って私が創り出したものなんです。」
「八咫烏って、神話とかに出てくる?それに創り出すって・・?」
「よくご存知ですね?あれは、私が使役している式神なんですよ。」
「使役?式神?」
「ご覧になった方が分かりやすいですよね?」
そう言うと、倉橋は懐から御札のようなものを取り出した。
「これは霊符というものです。」
何か呪文の様なものを呟くと倉橋の持っていた霊符が淡い光を放ちはじめた。
フワリと浮くとそこに八咫烏が姿を現した。
「なっ・・!」
目の前で起きた事が信じられなかった。
突然現れた八咫烏はそのまま障子をすり抜け羽ばたいて行ってしまった。
「・・・あんた何者なんだ?一体。」
「私は、陰陽師なんです。」
「陰陽師?」
「ええ。・・・主に占術、占いのような事をしています。」
「・・・。さっきの八咫烏も占いに使うのか?」
「ふふっ。いいえ。やっぱり堯之さんは察しが良いですね?」
「『メイ・ロン』とはどんな繋がりがあるんだ?」
「繋がりなんてありませんよ。ただ、向こうが私を取り込みたいだけです。日本の政財界に影響力のある私をね・・・。」
「・・・。」
「私の話し信じられませんか?」
「いいや。俺は自分の目で見たものしか信じない。あんたがそう言うならそうなんだろうな。」
一瞬目を見張ったが、直ぐに目元をほころばせた。
「堯之さん。ありがとう。」
✡✡✡✡✡✡✡✡
部屋を出ると、沙羅が待っていた。
「沙羅?どうしたんだ?」
心配そうな顔で二人を見上げた。
「大丈夫だよ。堯之さんは・・。」
「ほんとう?」
「ああ。お父さんが嘘を言った事がある?」
ふるふると顔を横に降った後、堯之の顔をジッと見つめた。
何故か沙羅に見つめられると心の内を見透かされる様で落ち着かない。でも、それが嫌ではなかった。
しゃがんで目線を合わせる。
「大丈夫。お父さんの事ちゃんと信じてるから。何も心配はいらないよ?」
「おにいちゃん、お父さんとお友だちになった?」
「ああ。」
そこでやっと笑顔が浮かんだ。
「・・ええ。大丈夫です。」
「沙羅。お父さんは堯之さんと少しお話があるんだ。お母さんの所に行ってなさい。」
沙羅は倉橋の目を見つめる。何かを感じ取ったのかコクリと頷いた。
「うん。良い子だ。」
倉橋は沙羅を降ろすと走って家の中に消えていった。
✡✡✡✡✡✡✡✡
先程の庭に面した部屋ではなく、屋敷の奥の部屋に通された。
「さぁ、どうぞ。」
促されるまま腰を下ろす。
「ふふっ。聞きたい事が沢山あるって顔ですね?何でも聞いて下さい。」
「さっきの生き物は何なんだ?」
「ああ、あれは生き物であって生き物ではないです。八咫烏と言って私が創り出したものなんです。」
「八咫烏って、神話とかに出てくる?それに創り出すって・・?」
「よくご存知ですね?あれは、私が使役している式神なんですよ。」
「使役?式神?」
「ご覧になった方が分かりやすいですよね?」
そう言うと、倉橋は懐から御札のようなものを取り出した。
「これは霊符というものです。」
何か呪文の様なものを呟くと倉橋の持っていた霊符が淡い光を放ちはじめた。
フワリと浮くとそこに八咫烏が姿を現した。
「なっ・・!」
目の前で起きた事が信じられなかった。
突然現れた八咫烏はそのまま障子をすり抜け羽ばたいて行ってしまった。
「・・・あんた何者なんだ?一体。」
「私は、陰陽師なんです。」
「陰陽師?」
「ええ。・・・主に占術、占いのような事をしています。」
「・・・。さっきの八咫烏も占いに使うのか?」
「ふふっ。いいえ。やっぱり堯之さんは察しが良いですね?」
「『メイ・ロン』とはどんな繋がりがあるんだ?」
「繋がりなんてありませんよ。ただ、向こうが私を取り込みたいだけです。日本の政財界に影響力のある私をね・・・。」
「・・・。」
「私の話し信じられませんか?」
「いいや。俺は自分の目で見たものしか信じない。あんたがそう言うならそうなんだろうな。」
一瞬目を見張ったが、直ぐに目元をほころばせた。
「堯之さん。ありがとう。」
✡✡✡✡✡✡✡✡
部屋を出ると、沙羅が待っていた。
「沙羅?どうしたんだ?」
心配そうな顔で二人を見上げた。
「大丈夫だよ。堯之さんは・・。」
「ほんとう?」
「ああ。お父さんが嘘を言った事がある?」
ふるふると顔を横に降った後、堯之の顔をジッと見つめた。
何故か沙羅に見つめられると心の内を見透かされる様で落ち着かない。でも、それが嫌ではなかった。
しゃがんで目線を合わせる。
「大丈夫。お父さんの事ちゃんと信じてるから。何も心配はいらないよ?」
「おにいちゃん、お父さんとお友だちになった?」
「ああ。」
そこでやっと笑顔が浮かんだ。
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