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誓い
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「葵はとんでもないもんを背負ってたんだな・・・」
樹がポツリと言った。
「ああ、俺達には想像すら出来ないな・・。」
二人は言葉少なめに病院を後にした。
葵は一人病室に居た。
(光明を守るなんて言って、私のした事は傷付けただけだった。ただ、光明の笑顔を守りたいだけだったのにあんな辛そうな顔をさせてしまった。)
ため息をついてサイドテーブルを見る。
テーブルの上の紙を手にすると、淡い光を放ちながら蝶が現れた。
蝶は葵の周りをヒラヒラと舞った。
「ふふっ。慰めてくれるの?」
優しい表情で眺めていると、病室の入口の方に飛んでいった。
視線を移すと、そこには光明が立っていた。
「こう・・めい?」
「・・・・。」
「・・・中に入りなよ?」
光明はゆっくりとドアを閉めると葵の側に来た。
「・・・紗羅ごめん。俺、紗羅の気持ち全然わかってなかった。ずっと辛かったよな?あんな現実突き付けられて一人で背負って・・。俺は紗羅に甘えてばっかりだった。」
「そんな事ない。光明が居たから私は頑張れたんだよ?私の方こそごめんね?光明の気持ちも考えないで結局傷付けただけだったね。」
「違う!俺が勝手に勘違いしたんだ。紗羅は俺を『桐生光明』として生きていける様にしてくれたのに!」
葵は光明の頬に手を伸ばした。
「だって、貴方の両親が付けてくれた名前でしょ?光明から両親だけじゃなく名前まで奪う事なんて出来るわけない。」
「紗羅っ!!」
光明は葵を抱きしめた。
「ありがとう。感謝してもしきれない。これからも会いに行っても良いかな?・・・『世良葵』に!」
「・・・っつ、もちろんだよっ!」
病室の入口には司が居た。
どうしても葵の様子が気になって戻って来ていたのだ。
(良かったな、葵。)
今度こそ本当に病院を後にした。
葵の退院の日。
司が迎えに来ていた。
「先生。お世話になりました。」
「お大事にして下さいね。」
医師や看護師に見送られて帰路につく。
帰りの車の中、大きな公園が目に留まる。
「・・・ねぇ司。ちょっとここ寄っていかない?」
葵が公園を指差す。
「いいよ。寄っていこうか。」
公園の桜並木を二人で歩く。
桜も満開を過ぎ既に散りはじめていた。
「・・・ねえ?ここの公園覚えてる?」
「ああ、もちろん。」
「この公園で初めて司と樹に出会ったんだよね。あれからもう5年か・・・早いね。」
「そうだな・・・。」
司をチラリと見て、桜を見上げる。
「今年はちゃんと桜が見られなかったなぁ、、。司や樹や夏希にはいっぱい心配かけちゃったね。ごめんね?」
「葵が無事にこうしてここに居る。それだけで十分だよ。」
「・・そっか、、ありがとう。」
突然風が吹いて散り始めた桜の花びらが一斉に空に舞うと、雨の様に葵と司に降り注ぐ。
「わぁ、綺麗!!ねえ、知ってる?桜の花ビラを掴めると幸せになれるんだって!」
「初耳だな。」
はしゃぐ葵を目を細めて見つめる。
葵が手のひらを広げると一枚の花ビラが舞い落ちてきた。その花ビラをソッと握った。
「来年も・・・来年も一緒に桜を見よう?」
笑顔で司に語りかけた。
「来年・・・?」
「そう、来年も再来年もその次の年もずっと司と桜を一緒に見たい。ダメ・・かな?」
「駄目な訳ないだろ!!ずっと、ずっと一緒に見よう。」
「うん。」
司は葵を抱きしめた。
ライスシャワーの様に、桜の花ビラが舞っていた。
樹がポツリと言った。
「ああ、俺達には想像すら出来ないな・・。」
二人は言葉少なめに病院を後にした。
葵は一人病室に居た。
(光明を守るなんて言って、私のした事は傷付けただけだった。ただ、光明の笑顔を守りたいだけだったのにあんな辛そうな顔をさせてしまった。)
ため息をついてサイドテーブルを見る。
テーブルの上の紙を手にすると、淡い光を放ちながら蝶が現れた。
蝶は葵の周りをヒラヒラと舞った。
「ふふっ。慰めてくれるの?」
優しい表情で眺めていると、病室の入口の方に飛んでいった。
視線を移すと、そこには光明が立っていた。
「こう・・めい?」
「・・・・。」
「・・・中に入りなよ?」
光明はゆっくりとドアを閉めると葵の側に来た。
「・・・紗羅ごめん。俺、紗羅の気持ち全然わかってなかった。ずっと辛かったよな?あんな現実突き付けられて一人で背負って・・。俺は紗羅に甘えてばっかりだった。」
「そんな事ない。光明が居たから私は頑張れたんだよ?私の方こそごめんね?光明の気持ちも考えないで結局傷付けただけだったね。」
「違う!俺が勝手に勘違いしたんだ。紗羅は俺を『桐生光明』として生きていける様にしてくれたのに!」
葵は光明の頬に手を伸ばした。
「だって、貴方の両親が付けてくれた名前でしょ?光明から両親だけじゃなく名前まで奪う事なんて出来るわけない。」
「紗羅っ!!」
光明は葵を抱きしめた。
「ありがとう。感謝してもしきれない。これからも会いに行っても良いかな?・・・『世良葵』に!」
「・・・っつ、もちろんだよっ!」
病室の入口には司が居た。
どうしても葵の様子が気になって戻って来ていたのだ。
(良かったな、葵。)
今度こそ本当に病院を後にした。
葵の退院の日。
司が迎えに来ていた。
「先生。お世話になりました。」
「お大事にして下さいね。」
医師や看護師に見送られて帰路につく。
帰りの車の中、大きな公園が目に留まる。
「・・・ねぇ司。ちょっとここ寄っていかない?」
葵が公園を指差す。
「いいよ。寄っていこうか。」
公園の桜並木を二人で歩く。
桜も満開を過ぎ既に散りはじめていた。
「・・・ねえ?ここの公園覚えてる?」
「ああ、もちろん。」
「この公園で初めて司と樹に出会ったんだよね。あれからもう5年か・・・早いね。」
「そうだな・・・。」
司をチラリと見て、桜を見上げる。
「今年はちゃんと桜が見られなかったなぁ、、。司や樹や夏希にはいっぱい心配かけちゃったね。ごめんね?」
「葵が無事にこうしてここに居る。それだけで十分だよ。」
「・・そっか、、ありがとう。」
突然風が吹いて散り始めた桜の花びらが一斉に空に舞うと、雨の様に葵と司に降り注ぐ。
「わぁ、綺麗!!ねえ、知ってる?桜の花ビラを掴めると幸せになれるんだって!」
「初耳だな。」
はしゃぐ葵を目を細めて見つめる。
葵が手のひらを広げると一枚の花ビラが舞い落ちてきた。その花ビラをソッと握った。
「来年も・・・来年も一緒に桜を見よう?」
笑顔で司に語りかけた。
「来年・・・?」
「そう、来年も再来年もその次の年もずっと司と桜を一緒に見たい。ダメ・・かな?」
「駄目な訳ないだろ!!ずっと、ずっと一緒に見よう。」
「うん。」
司は葵を抱きしめた。
ライスシャワーの様に、桜の花ビラが舞っていた。
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