神殺しのなんでも屋〜身勝手な理由で異世界に巻き込まれ召喚された俺は神を殺して好き勝手する事にした〜

ミコガミヒデカズ

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第3章 絶望の獣と対峙するミニャ

#25 サモンが来るぞォォ〜

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《前文》

 なんて言うか…、にしんが来るぞ~みたいな感じですかね。



「サモンが来るぞォォ~」

「支流側に上って来たァァ!」

 切羽せっぱ詰まったような声が方々から聞こえてくる。俺達が上陸した地点から森の奥に進めば進むほどその傾向は顕著だ。やがて木組みの柵に囲まれた場所が見えてきた。

「あそこが彼らの集落のようだな。ミニャ、入らないように横を抜けて行こう」

「分かったニャ!みんな、あっちの方に集まっているみたいだニャ!」

 そう言ってミニャがさらに森の奥の方を指差した。

「間違いない、沢山の人の生体反応がある」

 ロゼがミニャの言葉を裏打ちする。

「行ってみよう」

 やがて喧騒が増してくる。

「あ、網を張れ!!少しでも遡上そじょうするのを防ぐんだ!」

「く、くそぉッ!なんだって今年はこんなに数が多いんだ!」

 ワーワー!!ザワザワ!!

 混乱ここに極まれりといった感じでそこかしこにいる人々から怒号のようなものが上がっている。

「手の空いている者は手近なサモンをぶっ叩け!女でも子供でも出来んだろ!」

「やれーッ!逃がすなァ!」

「一匹でも多くれ!死んだ奴はそれ以上動かんッ!そうすれば後から取り除きゃ良いんだからよ!」

 異様な光景であった。

 狼の獣人達が老若男女集まってこちらに背中を向けて何かをしている。よく見れば川岸のような場所で手に持った棒や太い木の枝を川面に向かって叩きつけている。

「ここは下ってきたルーヤー川に流れ込む支流の川のようだな…、彼らは何をしているのか…」

 俺がそう言いながら様子を見守っていると近づいてくる者がいた。

「後をついてきたのか…」

 里長であった。

「あれは何をやっているんだ?ここからじゃよくは見えないが…。モンスターじゃないのか?」

 狼の獣人達は慌ててはいるが別に猛獣を相手にしている訳ではないようだった。もしそうならば非戦闘員であろうなんて言わないだろうし…。

「下流から召喚されし悪魔サモンが上って来たのじゃ…」

 里長が言った。

「サモンとか言うヤツが上ってきたというのは聞いたが…、そりゃあ一体なんなんだ?襲ってくる訳じゃなさそうだが…。彼らの邪魔はしないからどんな奴か見ても良いか?場合によっちゃそのサモンとかいうヤツ…、木の棒で殴る手助けをしても良いし」

「…好きにするが良い」

 里長がそう言ったので俺は川面を叩いたり網を張ったりしている集団から数歩分だけ上流に回り状況を確認する事にした。フットワークも軽くミニャが走っていく、続く俺と後ろにはロゼ…、そして監視でもするつもりか里長がついてきた。

 ばしゃっ!!ばしゃばしゃっ!!水音がする。

「あっ!おさかニャだニャ!!」

 川面の様子を見るなりミニャが声を上げた。

「魚だって?」

「うん!ほら!」

 ミニャが指差したそこには川面を埋め尽くすような…、何千何万という川魚の群れであった。



「なんか見覚えのある形してるけど…、鑑定!!」

 俺は川面に浮いていた狼の獣人が木の棒で殴ったであろう魚を調べてみることにした。たちまちその情報が頭に入ってくる。

◼️ サモン ◼️

 ヒマだった創造神シルクハットンが地球内、日本という地域にいた魚、サケを参考にして創造した魚。日本にいる鮭とほぼ同様の特徴を持つ。
 この世界における(日本産)外来生物。

「サーモンじゃねえかよ!!いや、サーモンとは別物か、鮭だからな。つーか外来生物問題ッ、異世界ここにもあるのかよ!」

 思わず声に出してツッコミをしてしまう。

「なあ、なんでこれが集落の危機なんだ?鮭が…、いやサモンか…、それが大量に遡上しているだけじゃないか」

 俺がそう言うと里長はムッとした顔付きとなり声をあららげた。

「何も知らんのか!?この魚が大量に川を上れば水がけがれるのだ!この川の水は我らが命をつなぐ飲み水ぞ!そんな川をサモンが大量に泳いでは…その水を飲むとたちまち病気になるのだ。腹を焼かれるような痛みに襲われ衰弱し、やがて死んでいく…。さらにはそれが我らのかてとなり生活のとする鳥や獣にも及ぶのだ。鳥や獣もまた同様にこの川の水を飲むからの」

 寄生虫だろうか?確か鮭って生食しちゃいけないんだよな。そういや創造神シルクハットンは日本にいる鮭を参考にして作ったと鑑定では書かれていたな。そうなると食用になるのだろうか?

 ピコン!

 鮭について食用かどうか気になると同時に新たな文面が視界に浮かぶ。

◼️ サモン(追記) ◼

 食用可能、美味しい(日本人的味覚で)。日本で漁れる鮭と同様の味わいがする。

 あ、そうですか。なら色々と使い道がえる美味しい魚じゃないですか。

「なあ、里長さとおささん。あんた達はこのサモン、食べたりしないの?」

 俺の尋ねた言葉に里長はギョッとした(魚だけにね)表情を浮かべた後、口を開いた。

「食えない事はないが…、我らにはこのサモンに対して忌避感きひかんの方が先に立つ。先程言った通り病を招くだけでなく災いも招くのだ」

「災い?」

「そうだ。サモンはそれ自体も我りに害を及ぼすが、さらには災いをも招くのだ。ゆえに百害あって一利なし、唾棄だきすべき存在なのだ!」

唾棄だきって…。食べたら良いのに…」

「我らは狼の部族たみ、肉を好むがサモンはどうにも…。どうしても食べなければならぬと言うなら他に食料が無い時に仕方なく…せいぜいそういった時じゃ」

「じゃあ、このサモンはどうするんだ?」

「もうすでにある程度の数は上流に行かれてしまったが残るものは何がなんでも行かさぬつもりじゃ。一匹残さず捕まえて大きな穴を掘り何者も手が出せぬように地中深く埋めてしまうのじゃ」

「この数を?そりゃ無理だ!何千何万だぞ!」

「やらねばならんッ!!」

 里長が吠えた。

「…やらねば集落さとが危ないのじゃ」

 苦しそうに里長が言った。

「分かったよ…、手を貸してやる」

「なんだと…?」

 真意分かりかねるといった表情で俺を見る里長。

「サモンを捕まえるのはともかく、誰も手が出せないような穴を掘るなんてどれだけ時間と手間がかかるか知れたモンじゃない」

 そう、この異世界は魔法はあるようだが代わりに機械などは発展してないような気がする。だとすれば穴を掘るにしたってブルドーザーみたいな重機はない、全て人力だろう。そうなるととんでもない負担となるだろう。

 それなら収納してしまえば良い、穴を掘る手間もいらず時間経過も無いから腐ったりもしないだろう。そう考えて俺は川面に向かって手を伸ばした。そこには腹を上にしてプカリと浮いたサモン、それを見ながら心の中で念じた。

 亜空間物質収納ストレージ!!

「えっ!!?」
「なんじゃと!?」

 俺と里長が同時に声を上げた。

「サ、サモンが消えおったァァ!!」

 叫んでいる里長、そして俺は…。

「撲殺されて浮いていたサモンだけじゃなく周囲のヤツまで収納した…。こ、この亜空間物質収納ストレージ…生きてるものも収納できるのか…。は、はは…」

 生きているものまでも収納してしまう能力に驚きを隠せないでいた。



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