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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!
#33 街に到着、そしてロゼの左足は…?
しおりを挟む狼の獣人達の集落を出てから三日目、俺達は自由都市エスペラントにたどり着こうとしていた。もっとも筏に乗ったまま直接街に乗り付けようと言う訳ではない。街の数キロ手前で陸に上がり、徒歩で向かった。
「これは…。なんとも…」
大きな都市、それが自由都市エスペラントの第一印象。そのエスペラントに近づくにつれ見えてくる光景に俺は圧倒されていた。高い壁は見るからに丈夫そうであり、その外側をルーヤー川を引き込んで作った濠がさらに囲い鉄壁の防御だ。さらにさらにその濠の外は沼沢地、その中を盛り土して人や荷物が通る為の街道が整備されている。
(自由都市…、どこの勢力にも国家にも属さない商業都市。海と良港を持ち、様々な人や物が集まる。そうなれば当然金も動く…、しかしそうなれば狙う勢力が出てくる。自分の所に組み込もうと…、だから自由都市の人々は自衛の力を持とうとしたのか…)
日本の戦国時代、堺の町がまさにそうだ。経済力をバックに傭兵を雇い自治を守ってきた。…間違いない、このエスペラントもきっと同じ。商売が盛んな街…、いやいやここはまさに乱世の城も同じだ。
そんな事を考えている俺や元々無口なロゼとは対照的に生まれ故郷に戻ってきたミニャはロゼのキャタピラ式車椅子を押しながらも元気いっぱいだ。
「どうどう、エスペラントは?大きな街だニャあ?そこらへんの国の王都よりでっかいのニャ!それはね、あちこちから人が集まってるからなんだニャ。それに人族だけじゃニャいんだよ、色んな種族が集まってるニャ」
「色んな種族かあ」
「うん!エルフだニャあ、ドワーフだニャあ、それからね…」
ミニャの話によれば商人達の活動も盛んだが、同時にそれに付随する様々な事で多くの人や物や金が動いているのが察せられた。
「さあさあ、早く行こうニャ!ボクも帰ってきたのは久しぶりだからね、街の様子を見たいのニャ!」
エスペラントの街の門の様子が見えるくらいにまでの距離に来た。人も荷馬車も行列だ、中には見慣れない感じの人もいる。まさに色々な所から集まって…だ。
「そう言えばロゼの車椅子、あれも街の入場料金を取られるかもだニャあ」
「え、どういう事だ?」
思い出したようにミニャが車椅子の事を話題にした。
「うん、実はね街に入るのに場車とか荷車は人が入るより割高な料金を取られるのニャ。あと、馬とかも…。商人ギルドの会員なら馬や車の入場料は免除になると聞いた事があるけど…」
ああ、なるほど…。人の入場料は元より、荷物にも持ち込みに金がかかるのか。その為の馬、その為の荷車だもんな。そういや先日の狼の獣人の集落で里長が自由都市では何をするにも金が抜かれると愚痴ってたな。
「それなら…。カヨダ、ミニャ」
「なんだ、ロゼ?」
「どうしたのニャ?」
不意に口を開いたロゼに俺とミニャが視線を向けた。
「支えて」
そう言うとロゼが車椅子の肘掛けに両手をついて体を持ち上げる。ぐぐぐっと力を込め体を浮かせると右足を地面につき立ち上がった。そして再生途中の左足は軽く地面に添えるだけ…、そんな体勢でロゼが車椅子から立った。慌てて俺はロゼの左側から肩を組むようにして彼女を支える。ミニャは右側に回った。
「収納を…、カヨダ」
相変わらず抑揚のない声でロゼが告げた。だが、その体は微妙に震えている。
「三日前まではまるで動かなかった私の足、今はここまで…。しばらくは大丈夫、車椅子の収納を…、そうすれば車椅子の入場料は発生しない」
「む、無理するな、ロゼ」
「そうだニャ!」
「大丈夫、早く街へ。中に入ったらカヨダ、また車椅子を出して」
ロゼはどうしても立つ事をやめない、だから俺とミニャがしっかり支えて街に入る事にしたのだった。
□
次回、カヨダ達は街に入り…。
第34話『自由都市では人より物に金がかかる』
お楽しみに。
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