神殺しのなんでも屋〜身勝手な理由で異世界に巻き込まれ召喚された俺は神を殺して好き勝手する事にした〜

ミコガミヒデカズ

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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!

#34 自由都市では人より物に金がかかる

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 多少並んだがエスペラントの街に入る事ができた。どうやら人が入る分には大した料金を取らないらしい、その額は一人300ゴルダ、ゴルダとは黄金という意味もある通貨単位だ。感覚的には1ゴルダは1円くらいの感覚だろうか。

 俺とミニャが両脇を支えるようにしてロゼと三人街に入った。すぐに物陰に移動してキャタピラ式車椅子を出し彼女を座らせた。

 通貨を持っていなかった俺とロゼはミニャにお金を借りての入場となった。しかし彼女が言うには二人分の入場料600ゴルダはそこらへんでパンを買うだけですぐ消えてしまうような金額だと言う。

「パンってさっき街角で売ってたアレだよな?」

 俺は先程見かけたパンを思い出して言った。コッペパン…には程遠い物を思い出した。ふっくらからは程遠い、なんというか厚揚げみたいな見た目だ。ちなみにミニャによれば固く、歯触りは悪いらしい。パンを一口食べたら次は水を一口…、みたいな感じだそうだ。

 そんなパンが一個600円…いや600ゴルダか…。中々に物価が高く感じるがミニャによればそこまで高い感覚ではないらしい。

「うーん…。でも考えてみれば確かにそうか…」

 パンを作るにしても小麦を仕入れなきゃいけない、それだってトラックで運ばれてくる訳じゃないもんな。人力で運ばれてくるんだし、小麦を粉にするのも手作業だ…時間も手間もかかる。

 それに焼く為にはまきも必要だ。街の周りは沼沢地しょうたくち、枯れ枝がそこらへんで拾える訳ではない。街の外に出て沼沢地の先、森林に出かけていって拾ってこなきゃいけない。それに拾ってきたまきだって街に入る際に手数料がかかるかも知れない。そうなりゃ価格にも反映される。パンが高くなるのも無理からぬ事なのかな。

 ミニャによれば人より物の出入りに金がかかると言う。

「元々この街にはたくさん人がやってくるのニャ。寒村から働き口を求めてとか…、だから入場料を高くしたら人が入れニャい。だから入場料がそんなに高くないのニャ」

「へえ…。でも、そうだよな。人が集まらなきゃ働き手を確保するのも一苦労だ」

「その代わり、物にかかる手数料は割高ニャ。ギルド会員じゃなかったら取引所での売り買いに手数料が取られるみたいニャ」

「取引所?」

 俺も商売人だからな。ちょいと取引所という単語に興味がわいた。名前からして物が集まる場所のようだし。

「うん、この街の中心にある広い広い市場みたいなモンだニャ。そこに食べ物から雑貨、布や皮とか色んな物が集まるのニャ。もちろん色んな地方の産物とかもニャ。商人はそれを買って店に出したり、職人は物を作ったりするのニャ」

「なるほどなあ。ちなみに手数料ってどのくらいなんだろう?ミニャ、知ってる?」

「知ってるニャ。4分の1だニャ」

「4分の1だって!?取引所で売り買いすると25パーセントも取るのか!?」

 街の人なら知っているらしいが商業ギルドに属さない人が物を買う時には購入額に25パーセントを上乗せした価格が、売る時には販売額の25パーセントが引かれた額が支払われるとの事。

「うわあ…高いな」

「だけどギルド会員なら手数料いらニャいからね。だから商家の人は取引所で売り買いするのニャ。それにありとあらゆるものが集まっているからニャ、みんなここに来るのニャ」

 そういうものか…、そんなやりとりをしながら歩いて数分、街の入り口からほど近い場所に大きな建物があった。

「ここが冒険者ギルドニャ。ボクは小さな頃にここで登録したんだけどエスペラントは商人の街、商隊の護衛とかが多くて駆け出しの子供じゃ任せない仕事ニャ。あまり良い仕事がなかったからボクはすぐ他の町に移ったのニャ。だからね…」

 ミニャは久々にエスペラントに戻ったという事もあり冒険者活動の拠点を動かす手続きをしたいのだと言う。そんな訳で俺達は昼過ぎの冒険者ギルドに足を踏み入れたのだった。

 



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