神殺しのなんでも屋〜身勝手な理由で異世界に巻き込まれ召喚された俺は神を殺して好き勝手する事にした〜

ミコガミヒデカズ

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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!

#40 カヨダは何屋?

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「どこのギルドに入るか…か」

 こんかに細かい…、20も業種があるとは考えてなかったので正直困っている。俺のスキル『創造神の後継』はそれこそ何でも作れてしまう。

「ねーねー、それならボクは料理屋が良いと思うのニャ」

 最初に口を開いたのはミニャ。

「カヨダの作るごはんは最高ニャ!だから料理屋が良いと思う!」

「それを否定はしないが…」

 今度はロゼだ。

「カヨダの作る武器こそ真骨頂、扱いやすく性能も申し分ない。ミニャも使って分かっているはず…」

「ニャッ!?そ、それはそうだけどぉ…」

「加えてカヨダは建築もできる。料理屋…、肉が食べられるのは捨てがたいが他の業種の方が単価は高い。そちらにすべき」

 単価の高さか…、それは考えてなかったな…。だけど今んトコ建てたのはドームハウスだぞ。利用者いるか…?まあ、バンズゥは珍しそうにしてたが…。

「…そうだ、限定しないというのはできないだろうか。つまりはどんな物を売っても良いみたいな…」

「えっ?」

 ギョッとした顔で俺を見た受付嬢のリンコさん。

「例えば俺がパンも売る、料理も売る、武器を売る…なんてしたらそれこそ三つのギルドに入らなきゃならないんだよな?」

「そうなります、仮に製パンのギルドの会員でしかないのに武具を売ったりしたら…」

「衛兵にとっ捕まる…だったよな」

「ええ」

「だけど、この街には商いを手広くやっている人もいる。それこそ港に船を乗り付けて品物をやりとりするような…」

 そこで俺は考えた、このランクが上がれば色々な事ができるこの商業ギルドのルール、あれだけ高額な年会費を払ってまでやろうという奴がいるんだから…。

「おそらくそういった船は船倉に余裕なんか空けない…、積荷を満載して航海するはずだ。例えば毛織物を目当てに仕入れに行ったけど満足に集まらなかった、だから代わりに茶葉とか香辛料を積んで…みたいにな。だけど、そうなれば予定外の仕入れになる。そのあたりから考えれば業種に縛られない部門に所属するんじゃないか?」

「た、確かにありますが…」

「じゃあそれで」

「ニャー!それならカヨダはなんでも売る事が出来るニャー!」

「ちょ、ちょっと待ちぃ!?」

 お!?受付嬢の口調が変わったそ。こっちが素の口調だろうか。

「さっきから聞いとったらなんや色々やる言うてるけど商売あきないそんなアマいモンやないで!自分、何やるつもりやねん!?」

「ん?あー、そうだな。この街に来るまでの旅でやった事あるのは料理して、武器作って、家建てて…あと街に入ってからはケガ人の手当てか」

「うんうん、カヨダのご飯はすごいのニャ!この街に来るまで毎日がご馳走だったのにゃ!」

 ミニャが自慢げに言った。

「失礼やけど、その…アンタ」

「ボク?」

 リンコはミニャを見ながら言った。

「そうや、その首から下げてるプレート…冒険者証やんな?せやから冒険者やろ?」

「そうニャ」

「そのアンタが街に来るまで食べたモンが美味いっちゅうんやろ?つまりは旅の空の下で食べたモンが…」

 リンコがその様子を創造しながら言っているのだろう、時折目線が上を向いた。

「そんなん保存食…、干し肉を上手い事煮てとかそんなトコやろ?武器言うたって今まで使つこうてたんが壊れたから間に合わせで石斧でもこさえて…、家ゆうても雨よけに木の枝とか葉っぱとかで囲いでもしたんちゃうん?手当てかてなんや…ケガした冒険者に布でも巻いたとかくらいやないの?」

 一気にリンコが早口でまくし立てる。そして息継ぎの為にスウ~ッと息を吸い込み再び口を開く。

風呂敷ふろしき広げるのもええ加減にしとき!悪いコト言わん、料理得意とか言うんやったら料理屋ギルドに入ってスープ煮るか肉でも焼いて辻売つじうりでも始めるんや。それでランク上げて上手く行ったら少しずつ手を広げるべきや!」

 うん、まあ確かに。素人が思いつきでアレもコレも…よくある失敗するパターンだ。しかし俺には創造のスキルがある、それもただ物を作るだけじゃない。この異世界の物品と比べて圧倒的に品質が良い。

 食べ物だってそうだ、ここに来るまでに見かけた道端で肉を焼いた物を売っている人がいた。それは肉の切り身に軽く塩を振った感じで、ちょうりまえの肉もあったが大きな葉っぱに乗せているだけだった。常温で置いている為だろう、表面の色が変わり始めていた。冷蔵庫の無いこの世界、それが当たり前なんだろうけどアレじゃ肉質にいたみが出るだろうしニオイも出るはずだ。

 …そうか、だから香辛料が必須なんだ。そして香辛料はこのあたりでは採れない…長い航海…はるばる海を越えて輸送してくるんだから。

 肉を食うのは誰でもする事、しかし臭い肉は嫌。そこで求められるのが香辛料、だけど舶来物だ。一粒でいくらと金貨が舞う高額商品だ。使えるのは王侯貴族に大商人くらいのものか。

 だけど俺にはストレージもある、新鮮なまま肉を収納しておけるし各種調味料もある。武器だってセラミック製の武器も作れたし…。その品質は鋼より良いとされる魔鉄…俺に馴染みある名前で言えばステンレスか、そのステンレスよりはるかに切れ味に優れている。

 …うん、一つの業種しかできないより全業種に対応できる方が良いな。

「お言葉ありがたいが…、俺も思いつきで言っている訳じゃない」

 嘘です、ホントは思いつきです。

「実際手広くやるつもりだから…」

「ほなら、アンタどっかの大店おおだなで修行して仕入れの伝手つてもあるから独立しようっちゅうんか?」

「いや、その経験はない」

「じゃあ、どこか名のある料理店でとか…貴族かランクの高い商人が来るような…」

「それも無いな。少なくとも高級店も大衆店も…屋台は…一度だけ」

 高校の文化祭、模擬店でだけどな。

「アカン、アカン、ナメたらアカン!売れるニオイがまったくせえへん!」

「だけど登録は出来るんだろ?」

「出来るけどエエ事ないで。幅広く商売あきないできるけどギルドや市場で売り買いする時の手数料は軽減かるうならへんのやで!軽減かるうなるんはBランク以上や!」

 ふうん…Bランクか。評議会に出られる以上の人だけが免除、いわゆる大商人だけが恩恵を受けられるのか。下の者は吸い上げられるだけ…、これは日本もここエスペラントも一緒らしい。だが俺にはストレージもあるからどこかで何かを街の外で大量に採取しても収納できるし持ち込みの手数料もいらない。それに手に入らない素材だってMPマテリアルポイントによる素材の創造もできるからギルドや取引所で仕入れなくても良いんだし。最悪、他の人が街に持ち込む荷物を有料でストレージに入れて街の出入りをする運び屋をしたって良い訳だ。

「問題ない、加入させてくれ」

「やめとき!!」

 俺が良いと言ってるのにリンコが受け付けない、そんな押し問答をしていたら受付の奥からでっぷりとした体型が特徴的な中年男が現れた。

「何してるんや自分、デカい声出して。奥まで響いとったで」

「オリガル議長…」

 振り向いた受付嬢リンコがやってきた人物の名を口にした。議長…、って事は評議会のトップか、これがAランク商人…。

「何をそんなにモメてたんや?」

「実は…」

 リンコが事情を説明した、するとオリガルはすぐに反応した。

「そらアカン!何言うてるんや!」

「ですよね、私はこちらの方の事を考えて…」

 あっ、リンコの口調が改まったものに戻った。

「違うがな!なんでご希望通りにしたらへんのや!このニイさんは業種ごとの所属にせえへんと商業ギルドに入ろ言うんやろ、ありがたい事やないか!ワイらの所属仲間が増えるんやで!ほらっ、ちゃっちゃと手続き準備を始めてんか」

「は、はい!」

 リンコが慌てて準備を始めた。一方でオリガル議長は笑顔でこちらを向いて話しかけてきた。

「すんまへんな、あんさん。今からすぐやるよってに。せやけど、ただ待ってるいうんも芸の無い話や。せやからこれでも書いて待っててくんなはれ」

 そう言って評議会のトップ、オリガル議長は自ら俺に申し込み用の羊皮紙を手渡してきたのだった。

……………。

………。

…。

「行ったか…」

 先程までのフレンドリーな口調から一転、オリガル議長はギルドを後にするカヨダという男と同行者三人を何の感情もこもっていない声で呟いた。浮かべていた笑顔も嘘のように消えている。

「あ、あの議長。なんで商業ギルドそのものへの所属を認めたんです?」

 リンコが恐る恐るといった感じで尋ねる。

「ん?分からへんのか?」

「はい、駆け出しですらないド素人…天職ジョブが商人ってだけの人に…」

「だからエエんやないかい」

「えっ…?」

 リンコは驚いた声を上げた。

「ああいう天職ジョブが商人ってだけですぐに一旗上げられる…そう思うとるような奴が一番のカモなんやないかい」

 オリガルはにやりとした笑みを浮かべる、それは企みがあるような悪い笑みであった。

「手広くやる、確かにエエ。せやけどそれはそれができるだけの地力があってこその話や。あんなポッと出にそんな事出来る訳あらへんやないか」

「じゃ、じゃあなんで…?」

「決まってるやん、手数料や」

 当たり前やろとばかりにオリガルは言った。
 
「業種別ギルドやなく商業ギルドに入るウマミなんてBランク以上やないとあらへんがな。仕入れしたって満額の手数料がかかるんやで、そしたらそれはどこに入るんや?ここや、ここ!商業ギルドにやないかい。割引せんで手に入る手数料…クゥ~ッ!!たまらんがな。」

 ぺしん、ぺしんと禿げた頭を叩きながらオリガルは笑いが止まらんといった感じで上機嫌で言った。

「よう覚えとき、ああいうんは早晩…にっちもさっちもいかんくなる。そんで食い詰めたトコを買い叩くんや。そうすりゃ奴隷商にゼニ払わんでも安う使い倒せる奴隷のいっちょ上がりや。若い女も二人連れとったし上手い事いけば借金のカタにとってもっと稼げる。ゼニはな、こうやって稼ぐんや」

 鼻息荒くオリガルは言った。だが、それを悪く言う者はこの建物内にはいない。それはここが商都とも呼ばれる自由都市エスペラント、金の多寡たかがその者の価値と言われる商人の街だからだ。

 しかし、このオリガルにしてもリンコにしても知らなかった。加代田敏夫の事を…。創造神の力を奪った…こと物品に関しては神の中でも随一の力を持つその存在の事を…。






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