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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!
#41 その頃、勇者達はダンジョン新エリアに向かい…
しおりを挟むカヨダが商業ギルドへの加入手続きを終え、今度はミニャのエスペラント冒険者ギルドへの活動本拠移籍の為に街の外に出ようとしていた。移籍する方法はいくつかあるが一番手っ取り早いのは…。
「なるほど、モンスターを三匹討伐か」
「うん、それを手土産に移籍ができるみたいニャね。移籍金を払うのが一番早いと言えば早いんニャけど」
「そりゃもったいない、討伐してくれば手に入ったモノによっちゃ買取までしてくれるってのに。まあ、討伐したモンスターを持ち帰る時は任せてくれ」
「カヨダならそう言ってくれると思ったニャ」
そんなやりとりをしながら加代田敏夫達三人がエスペラントの街を歩いている頃…。グランペクトゥから来た勇者一行、ルキイ達四人組は自由都市エスペラントからほど近いダンジョンにやってきていた。
「あ~、クッソだりぃな」
相変わらずだらしなく着崩した高校の制服を着ている無二の勇者ルキイがぼやく。異世界に来て頑なに制服を着続けているのはこの世界の衣服が気に入らないからだ。それというのもこの世界の一般的な衣服は麻で作られる。
麻は丈夫だが着慣れていない人間にはその肌触りがなんと言うか、極端にゴワつくように感じるものだ。ルキイも、他の三人もまた麻で出来た布地を不快に感じていた。麻以外の材料の衣服なら木綿で作られた衣服もあるにはある。だがその衣服ですらもまた彼らにすれば着心地が悪い。
なぜなら異世界では地球のような機械による大量生産をしていない、ほとんど全て手作業による生産だ。例えば布地を縫い合わせる為の針も爪楊枝ほどではないがかなり太い物だ。それに多少比例して糸もまた太い。それで出来上がってくる衣服は日本人的感覚で言えば柔道着のような肌触り、丈夫ではあるが伸縮性がなくルキイ達には我慢ならない着心地だった。
それゆえに他の三人も制服とカーディガンなど日本から自らと共に異世界に渡ってきた物を使用していた。グランペクトゥ城の使用人に下着やワイシャツを洗濯させたが良い香りがする洗剤も肌触りが良くなる柔軟剤もない手洗いである、着心地が悪くなったとピイナとメロの二人の女子は事あるごとに文句を言っている。ルキイとジュライは彼女達ほどではないがはやり不満には思っていた。しかし、地球産の衣服はそれしか持っていない。我慢して着るしかないのだ。
ちなみに巻き添えで転移してきた加代田敏夫は手に入れた創造の能力で着替えを入手していた。さらに言えば同行者であるロゼやミニャの分も作っていた。部屋着として、あるいは森で筏を作る為の木の伐採をした時にジャージがそれに当たる。
「まあ、とりあえずそのダンジョンでゲットしたお宝売ってよ…、良い服でもなんでも買えば良いじゃねーか」
「あー、でも宝石はあーしが欲し~」
「アクセも~」
女子二人は得られるかも知れないと貴金属や宝石が欲しいようだ。そんな会話をしていたら馬車が止まった。
「お?ダンジョンてやつに着いたか?じゃあサクッと行くか、お宝ゲットによォ!」
無二の勇者ことルキイが楽勝だとばかりに立ち上がる。
「新発見エリアだっけ?」
「守ってんのが変な陰キャっぽい幽霊みたいなヤツなんでしょ?ぶっとばしちゃえば終わりじゃん」
初めての実戦だが、至高の聖女メロと真理追究の賢者ピイナは全く恐れるような様子はない。
「だな。俺ら四人、持ってる魔法とかは全部ソイツにスゲえ効くらしいじゃん。ワンパンだ、ワンパン!!」
聖拳士のジョブを得たジュライもまたちょっとタバコを買いに行くといったくらい簡単だといった様子で気負いもない。
「んじゃ、行くべ」
四人はルキイを先頭に馬車を降りダンジョンへと入っていった。勇者サマのお通りだ、ダンジョン入り口付近や中の通路にいた多くの冒険者達に道を空けろと言いながら。
□
次回、勇者達は?
そして同じようにダンジョンに向かったカヨダ達は?
第42話はざまあ回、「勇者達の敗走と超楽勝ダンジョン攻略」
お楽しみに。
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