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第2章 奮闘する王子様
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致命的に、何かがおかしい。まず、フィリップの挙動だ。セイラにだけ微笑みかけていたらしいが、その割に表情筋が硬すぎる。そして、何よりも、
「この件について、フィリップ王子は頑なに再調査を拒んでおられた。」
すっかり真顔に戻ったクロードは、神経質そうな顔を訝しげに歪める。
「ああ、あいつきっちりしてるから、こういうの、絶対に嫌いだと思うんですよね……」
宙を仰ぎながら、エドガーは思考を巡らせる。その眉間には、似合わない皺がくっきりと刻まれている。
「……」
執務室が沈黙に満ちる。
フィリップの性格は、身体に刻まれた性格と、周囲の反応からおおよそ察しがついた。神経質、公明正大、冷静沈着ーー真実の愛(笑)というやつを見つけたらしいので、冷静さは多少削げても仕方ないだろう。しかし、様々な書類や案件から垣間見える彼の仕事ぶりは、杜撰さとは無縁だ。
『犯罪は、その者の生涯に影響を与える。疑わしきは罰するな。罰するならば、正当な証拠を示せ。』
彼の記憶の中の言葉だ。捜査に私情を挟むことは、一切赦さない。
『資料は隅々まで見られると思え。民の税を使い、国家を動かすのだ。失敗は絶対に許さん。』
仕事については、一切の妥協がない。そんな彼が、
「あんな杜撰な捜査、するかなあ……」
頬杖をつく。
「そうだな。あまり考えられんのだ。」
クロードは思案顔で返す。エドガーは、騎士団の訓練に駆り出されてしまった。
「お前らは止めなかったの?」
頬杖をついたまま、傍に立つクロードに目を向ける。
「……いいや。」
腕を組んだまま、俯く。大雑把なエドガーはともかく、クロードまで欺くことができたのだろうか。
「やっぱり、気付かなかったの?」
「……」
太郎の問いかけに、クロードは力なく項垂れるだけだった。
またしても、執務室の扉がノックもなく開く。
「ねえ、フィリップ……!」
やはり、入ってきたのはセイラだった。
「……どうしたんだ?」
吐きたい溜息を呑み込み、太郎は硬い表情筋を一生懸命動かす。クロードは思いっきり後ろを向いて、セイラの肩は少しだけ跳ねる。
「実は、これ……」
セイラは、恐る恐る小さなバスケットを差し出す。上掛かった布を捲くると、そこには
「……何、コレ?」
小さな瓶が、数本並んでいた。
「これは、滋養強壮薬で……」
ああ、所謂エナジードリンクだ。太郎は察する。前の世界で、自分が飲み過ぎていた、あの……
「今日、お部屋で待ってるね……きゃっ!」
セイラは耳打ちしてくる。それを、思わず振り払う。
「お前っ……うっ……」
この前、流石にフィリップとエカチェリーナとの婚約は解消されていない筈だ。それなのに、誘惑……? 思わず怒鳴ろうとすると、途端に頭痛がした。そして、
「おい、大丈夫か!?」
慌てるクロードの声を最後に、世界は一度、暗転する。
「この件について、フィリップ王子は頑なに再調査を拒んでおられた。」
すっかり真顔に戻ったクロードは、神経質そうな顔を訝しげに歪める。
「ああ、あいつきっちりしてるから、こういうの、絶対に嫌いだと思うんですよね……」
宙を仰ぎながら、エドガーは思考を巡らせる。その眉間には、似合わない皺がくっきりと刻まれている。
「……」
執務室が沈黙に満ちる。
フィリップの性格は、身体に刻まれた性格と、周囲の反応からおおよそ察しがついた。神経質、公明正大、冷静沈着ーー真実の愛(笑)というやつを見つけたらしいので、冷静さは多少削げても仕方ないだろう。しかし、様々な書類や案件から垣間見える彼の仕事ぶりは、杜撰さとは無縁だ。
『犯罪は、その者の生涯に影響を与える。疑わしきは罰するな。罰するならば、正当な証拠を示せ。』
彼の記憶の中の言葉だ。捜査に私情を挟むことは、一切赦さない。
『資料は隅々まで見られると思え。民の税を使い、国家を動かすのだ。失敗は絶対に許さん。』
仕事については、一切の妥協がない。そんな彼が、
「あんな杜撰な捜査、するかなあ……」
頬杖をつく。
「そうだな。あまり考えられんのだ。」
クロードは思案顔で返す。エドガーは、騎士団の訓練に駆り出されてしまった。
「お前らは止めなかったの?」
頬杖をついたまま、傍に立つクロードに目を向ける。
「……いいや。」
腕を組んだまま、俯く。大雑把なエドガーはともかく、クロードまで欺くことができたのだろうか。
「やっぱり、気付かなかったの?」
「……」
太郎の問いかけに、クロードは力なく項垂れるだけだった。
またしても、執務室の扉がノックもなく開く。
「ねえ、フィリップ……!」
やはり、入ってきたのはセイラだった。
「……どうしたんだ?」
吐きたい溜息を呑み込み、太郎は硬い表情筋を一生懸命動かす。クロードは思いっきり後ろを向いて、セイラの肩は少しだけ跳ねる。
「実は、これ……」
セイラは、恐る恐る小さなバスケットを差し出す。上掛かった布を捲くると、そこには
「……何、コレ?」
小さな瓶が、数本並んでいた。
「これは、滋養強壮薬で……」
ああ、所謂エナジードリンクだ。太郎は察する。前の世界で、自分が飲み過ぎていた、あの……
「今日、お部屋で待ってるね……きゃっ!」
セイラは耳打ちしてくる。それを、思わず振り払う。
「お前っ……うっ……」
この前、流石にフィリップとエカチェリーナとの婚約は解消されていない筈だ。それなのに、誘惑……? 思わず怒鳴ろうとすると、途端に頭痛がした。そして、
「おい、大丈夫か!?」
慌てるクロードの声を最後に、世界は一度、暗転する。
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