相席中@14日

釜借 イサキ

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@???日目

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ここ最近、一時期来なくなっていたこの場所に入り浸っている。

この場所がお気に入りで、この場所にずっといて……名前も知らない変な老婆に出会ったのは、丁度去年の、今よりも少しだけ早い時期。

あの頃のように、あの頃と同じ場所、同じくらいの時間帯……

スポーツバッグを持ったジャージ姿の少年は、ベンチに腰掛けると、スケッチブックを膝に置く。

そのバッグには、すすけたライオンの編みぐるみがくくりつけられている。

最近入部したばかりでまだ慣れない部活で散しごき抜かれた後、今度は夏休みの宿題である絵画を仕上げようと、久方ぶりにこの公園に立ち寄った次第だ。

目の前に広がる景色を見ながら、少年は懸命にそれをスケッチブックに写しとる。

決して絵を描くのが得意ではない少年は、慣れない手つきで一つ一つ、大切に線を描く。

『不器用でいいんだよ。不器用でも、不器用は不器用なりに頑張ってりゃあ、それなりに形になってくるんだよ。』

いつの日か聞いた老婆の言葉を思い出しながら、少年はただひたすらと鉛筆を滑らせる。

あの後、一生懸命編みぐるみを編んでみて、何とか綺麗な、可愛らしい熊の編みぐるみを編めるようになった。

だからといって、特に何か良いことがあったわけではないし、老婆の言っていたことを理解できた訳でもない。

しかし、それでいいのだと、少年は思う。

老婆の言うことが理解できなくても、出来るようになったことはある。

それが、少年の中で、老婆の言葉を確証付ける1つの目安になっていく。

できないことはできないし、分からないことは分からない。

だからこそ、できなかったことができるようになって、分からないことが分かるようになるだけで、少年にとっては十分すぎるほどの進歩なのだ。

ふと、少年は手を止めると、スポーツバッグに手を突っ込む。

そこから一体、熊の編みぐるみを取り出す。

『あなたが教えてくれた編みぐるみ、僕はこんなに上手に編めるようになりました。』

そう、伝えたい人がいる。

最近めっきり来る機会が少なくなってしまったこの公園に通う理由は少年にとって、最早これだけなのかもしれない。

酷暑の中、優しい風が、少年の頬をそっと撫でる。

「よお、ガキんちょぉ……久しいねえ」

風に乗って、久し振りに聞こえたしわがれた声に、少年は嬉しそうに振り返る。

「こんにちは!」

昼下がりの公園のベンチには、久方ぶりに2つの影が並んでいる。

陽の光に照らされた公園は、いつもと変わらず、喧騒に包まれていた。

【相席中@14日間 完】
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