24 / 25
エピローグ 分からないの、その先へ
1
しおりを挟む
あれから数日後の昼下がり、昼食を求める学生たちも、疎らになりつつある。試験期間中、試験を無事に終えた学生たちは、一人、一人と、群れから抜けていく。
「おはよー」
「……早……いね……今日は。」
まだ朝方。理屈を返す、アイツはいない。きっとまだ、病室のベッドで眠っているのだろう。
「ふう、早くご飯ご飯。」
「……そうだね。」
一人、足りない。いつまで経っても慣れない。どうしても、一つ、人影を探してしまう。
食事もそこそこに、二人はいつもの病院に向かう。眠ったままの友達の姿は、少しだけ伸びた髪を除けばあの日のままだ。心拍を示す電子音だけが、彼の生存を示す、唯一の指標だ。見舞いに来る人はそれなりにいるらしく、品は日に日に一つ、また一つと増えていく。そして、それは定期的に整理されていった。
「……また、来るから。」
その言葉に、照れも皮肉も返ってこない。二人は、病院を後にする。
部室に帰る。やっぱり、一人足りない。
「……ったく、浮かない顔してるんじゃないわよ。」
「ただいまっス!」
帰ってきた二人組を、二体の怪異はいつもの調子で迎え入れる。
『……それを言うならおかえりだろ。』
言いかけた言葉を、周はそっと飲み込む。多分これは、自分の役割じゃない。静かに、そこに足を踏み入れる。
「今日はなにするー? ババ抜き?」
「いや、大貧民が良いっスよ! 周さんすぐ負けるし!」
「おい、お前なあ……」
「……あんたら元気ね。」
ささやかな日常は、今日も、そこにある。
「おはよー」
「……早……いね……今日は。」
まだ朝方。理屈を返す、アイツはいない。きっとまだ、病室のベッドで眠っているのだろう。
「ふう、早くご飯ご飯。」
「……そうだね。」
一人、足りない。いつまで経っても慣れない。どうしても、一つ、人影を探してしまう。
食事もそこそこに、二人はいつもの病院に向かう。眠ったままの友達の姿は、少しだけ伸びた髪を除けばあの日のままだ。心拍を示す電子音だけが、彼の生存を示す、唯一の指標だ。見舞いに来る人はそれなりにいるらしく、品は日に日に一つ、また一つと増えていく。そして、それは定期的に整理されていった。
「……また、来るから。」
その言葉に、照れも皮肉も返ってこない。二人は、病院を後にする。
部室に帰る。やっぱり、一人足りない。
「……ったく、浮かない顔してるんじゃないわよ。」
「ただいまっス!」
帰ってきた二人組を、二体の怪異はいつもの調子で迎え入れる。
『……それを言うならおかえりだろ。』
言いかけた言葉を、周はそっと飲み込む。多分これは、自分の役割じゃない。静かに、そこに足を踏み入れる。
「今日はなにするー? ババ抜き?」
「いや、大貧民が良いっスよ! 周さんすぐ負けるし!」
「おい、お前なあ……」
「……あんたら元気ね。」
ささやかな日常は、今日も、そこにある。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
ワケあり公子は諦めない
豊口楽々亭
ファンタジー
精霊の加護により平和が守られている、エスメラルダ公国。
この国の公爵家の娘、ローゼリンド公女がある日行方不明になった。
大公子であるヘリオスとの婚約式を控えた妹のために、双子で瓜二つの兄である公子ジークヴァルトが身代わりになることに!?
妹になり代わったまま、幼馴染みのフロレンスと過ごすうち、彼女に惹かれていくジークヴァルト。
そんなある日、ローゼリンドが亡骸となって発見されて……───最愛の妹の死から始まる、死に戻りの物語!!
※なろう、カクヨムでも掲載しております。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる