理解されないモノたちへ~オカルト研究会④

釜借 イサキ

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エピローグ 分からないの、その先へ

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 あれから数日後の昼下がり、昼食を求める学生たちも、疎らになりつつある。試験期間中、試験を無事に終えた学生たちは、一人、一人と、群れから抜けていく。
「おはよー」
「……早……いね……今日は。」
まだ朝方。理屈を返す、アイツはいない。きっとまだ、病室のベッドで眠っているのだろう。
「ふう、早くご飯ご飯。」
「……そうだね。」
一人、足りない。いつまで経っても慣れない。どうしても、一つ、人影を探してしまう。
 食事もそこそこに、二人はいつもの病院に向かう。眠ったままの友達の姿は、少しだけ伸びた髪を除けばあの日のままだ。心拍を示す電子音だけが、彼の生存を示す、唯一の指標だ。見舞いに来る人はそれなりにいるらしく、品は日に日に一つ、また一つと増えていく。そして、それは定期的に整理されていった。
「……また、来るから。」
その言葉に、照れも皮肉も返ってこない。二人は、病院を後にする。
 部室に帰る。やっぱり、一人足りない。
「……ったく、浮かない顔してるんじゃないわよ。」
「ただいまっス!」
帰ってきた二人組を、二体の怪異はいつもの調子で迎え入れる。
『……それを言うならおかえりだろ。』
言いかけた言葉を、周はそっと飲み込む。多分これは、自分の役割じゃない。静かに、そこに足を踏み入れる。
「今日はなにするー? ババ抜き?」
「いや、大貧民が良いっスよ! 周さんすぐ負けるし!」
「おい、お前なあ……」
「……あんたら元気ね。」
ささやかな日常は、今日も、そこにある。
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