乙女ゲームの世界に池ポチャした

永遠みどり

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尖った女の子との出会い(2/2)

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 「いった、た」
 「うるさい、だまって」

──そして、着替えたものの。 この調子である。硬い地べたに座った私とベットに腰掛けた浅葱色の女の子。彼女が私の髪の毛をとかしてくれようと、しているのだが、ここ数日の影響は凄かったようで。苦戦している。 罵倒と共に。

  「わたし、わるいことした?、いったっっ」
  「名前、」
  「え?」

 ちょっとした沈黙を何とか打破しようと声掛けたら、束にまとめていた髪の毛を強く掴まれてしまう。頭皮の引っ張られるそれはなれる訳がない。

 「ペルナ……あたしの名前……」
 「ペルナちゃん」
 「ッ……はぁ?様つけないわけ? 」
 「ペルナさま」
 「キモイ」

 こ、このガキ!と思わず拳に力が入ってしまったものの、ここでちょっとでも反抗しようものならバットエンドなのは分かりきってるから必死に耐える、私!偉い!

 それにしても、何がどうして私は異世界でこんなにも孤独にならないと行けないのか。 意味不明である。 トーマスに会いたいなぁ。

 「ねぇ……とーま……いったぁい!」
 「ばかおんな!!!!」

 ちょっとだけ知ってるかなと思った。そしたら急に……いや。もしかしなくても私が言葉を発する事すべてに嫌を思っているのか、ビンタしてきた。なんなのよ!もう!

 最後にごりっと、私の髪の毛を雑すぎるほど、梳かしたかと思うと、扉の方目掛けて歩いていく、ペルナ。扉に手をかけて、そのまま出ていくのかと思いきや……私の方を見て「あかんべー」をしてきた。

 なん、なのよ!もー! 異世界初めての女の子にも、意味不明に嫌われるとか!本当になんなの!?わたし、なにか悪いことした!?現世も異世界も!どうしてこんなに私は理不尽な扱いを受けなきゃ行けないの!? 

 なんて、ブツブツとしていると、ペルナちゃんとすれ違う形で2人の男が現れる。 1人は……ウィンストンの野郎。 もう1人は私の神様、仏様、ウーロン様。

 「……あ、あの。洋服ありがとうございました」
 「あ……あぁ。 今すれ違ったがペルナは悪いやつじゃないんだ許してやれ」

 まるで、どこかで聞いたことのあるようなセリフを聞いて白目を向きそうになる。 貴方にとっては悪いやつじゃないのかもしれないけど!私にとっては十分、悪い子よ! ウィンストンの野郎もだけどね!!!

……それにしても、今回はいったいなんの用で2人揃って来たのだろうか。その私の考えを読んだかのように、後ろの方で不機嫌ダダ漏れで突っ立っていたウィンストンが前に出てくる。 

 「近日中にお前を条件付きで釈放することに決まった。早くて明日の明朝だ」

…………え。

近日中に……釈放!? ついにこのお城から離れる事が出来るの!

 「……少しでも殿「まぁ、なんだ。俺の引退した元騎士の老夫婦が営んでいる宿があってな。彼らの監視の元、下町で様子を見ることに決まったんだ」」

 ウィンストンがなにか言おうとしたのを遮るように、ウーロンがウィンストンの肩をポンっとするように前に出て、そんな事を伝えてくれる。

 ……下町ってことは。城下町!?いいね! ついに異世界って感じになってきたじゃないの!こんな窮屈て惨めな思いしかしないお城なんて、いくら綺麗でも嫌よ!嫌すぎる!

 「少しでも不穏な気配をみせでもしたらその首はないものだと思え」
 「ウィス……そろそろ殿下の迎えでは」

 相変わらず、癪に障る物言いしかしてこないウィンストンをそれとなく私から遠ざけてくれるウーロン様はやっぱり私の神様だ。

 そしてウィンストンは懐中時計を見てから、再度私を強く睨んでわざとらしく足音を立てて居なくなる。しかし奇妙な事に最後に「ひとつ、情報を得られただけ良しとしましょう」と喉をくつくつ鳴らしていたのが気持ち悪すぎた。ほんとなんなんだこの男。

 それからウーロンが肩をやれやれ、と言うように1度竦めると、私の頭を、軽く撫でてきた。 大きな手があまりにも居心地良くて、思わず目を閉じてしまう。

 「所でお前さんも名前ないの不便だろう? オジョウサンって名前はどうだ」


……は?


 ウーロン様に私の名前決めてもらえのか?と少しばかりワクワクしながら、思ったのも束の間。その名前に私は一時停止をせざるを得なかった。

 オジョウサン……? 本気で言ってる?え?オ•ジョウサン? いや、どう足掻いても無理あるでしょ……え?

 「ぷっ」

 困惑していると、扉の方から笑いが聞こえてきた。ぱっと見るとさっき居なくなったと思ったばかりの……浅葱色の……パルン、ペイン……あ。ペルナ、ちゃん。

 「流石にないよ、それは。ウーロンさん。……罪人もどきに名前いらないよ。ムギとか」
 「はっはは、それはいいな。ペルナ。お前さんは名前のセンスある」
 「いや、ウーロンさんがないだけ……あ、早く。さっきそこでお父さんにあったんだけど呼んでたよ」
 「あ、忘れてた。では行こう。ペルナもどうせ行くだろ?」
 「もちろん……ご褒美もらわなきゃ」

 2人の会話を、目線で追いかけながら聞いてると、話がまとまったのか扉の外に出ていく。 最後にウーロン様が「また後で」と言ってくれたから私もちょっとだけ手を振ってみた。


……そして本当にどうして、ペルナちゃんは。さっきまで私に目もくれなかったのに閉める寸前に、オマケのように私に舌を出してくるんですかね!まったくもう!

 まぁ!マシな名前を流れでくれたから許すけど! それに城を出たら会うことなんて無いだろうし!


──そして私は下町への期待を胸に、身をベッドに投げ出したの出会った。
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