飼われる側って案外良いらしい。

なつ

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2.救い?

4

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いや顔怖。やっぱり着直していいか?

整った顔面による険しい表情×3という圧力カンストな光景に、ついさっき脱ぎ捨てたばかりのシャツへ手を伸ばしそうになる。

「おい…何だよこれ」

そう言われても。

あちこち骨の浮き出た身体、細く今にも折れそうな手足、陽の光が足りない白い肌にはいくつもの濃い青や紫の痣。
誰がどう見ても異常だった。

「はァ……ある程度の薬は出しておくが、まずは飯だ。確り食え。薬は毎食後だから何も食わずに薬だけ飲もうとするなよ?」

そんな紫ヶ崎を見た須磨といえば分かってるよな?とでも言わんばかりの目。蛇に睨まれた蛙状態となり、タルアとせミュールの方を見ると2人も須磨と同じような顔をしていた。
3人とも、僅かだが今の状態となった原因が本人にもあることを分かっているのだ。

「…………………………ハイ。」

「声ちっさ。間、すご」

その後もいくつか問診という名の尋問が続き粗方紫ヶ崎の不摂生が露呈した後、「食えよ、絶対だ。絶対だからな!?」と言いながら須磨は帰っていった。

「…」

須磨というそれなりに煩いのが帰り一気にその場が静まり返った。するとどんどん疑問や不満が湧いてくる。

だって仕方ないじゃないか。お金は無いし、体は痛くてあまり動きたくないし。病院で診てもらうお金はないこともないけど、どうしても行く気にならなかった。つまり僕の気力が無かった。
こっちの事情も知らずに…何様なんだ。ああお医者様か。
そもそもこれは僕が望んだ結果だ。それを無理矢理変えようとするなんて。

「やっぱり僕、帰っていいですか。…帰りたい。帰らせてください」

こんなキラキラフワフワしたところ、ずっと居たら頭が可笑しくなりそうだった。

「紫ヶ崎君、君は須磨君の話聞いてたかな。それに暫くは療養が必要だ」

「そんなの僕の家でも出来ます」

はぁ~~~~~………と、タルアとセミュールの深い深い溜め息が聞こえた。

「君1人だと療養が療養じゃなくなりそうなんだけど?」

「同感です、背中に糸くずなんて無いものを指摘しただけで慌てて隠す貴方が1人で療養など出来ないでしょう」

ヤレヤレと首を振るセミュールに紫ヶ崎は少しイラッとした。あれは嘘か。
その後も平行線なまま無意味な言葉を投げ合い、最終的にタルアは昼食を作りにキッチンへ、セミュールは仕事があるらしくまた会社へ向かった。
紫ヶ崎はというと、ひとり檻の中で体育座りをしていた。

最悪だ…

ペットサークル、またはゲージやフェンスという名のそれは高さはさほど無いが、栄養不足かつ筋力は低下しさらに怪我をした状態の紫ヶ崎にとっては越えられそうに無い。
よって、特に求めてもいない他人の餌を待つしかないのだ。
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