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May
5月13日(月) 大会メンバー
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空き教室の一角。
黒板のない教室後方には机と椅子とが積まれた状態でたくさん並べられており、空気は少し埃っぽい。
そんな中で集められたのは、俺を含めた十人のメンバーだ。
「……さて、じゃあ早速今年の大会に出るレギュラーを決めようか」
上座に座る二人のうち、重々しく語ったのは右の初老の男性。
体育の教諭として勤めている彼は、我がバドミントン部の監督でもある。
「とは言っても、今までの練習風景や部内戦の結果から、先日行った部内戦の上位を順に選出するのが良いと俺は思うんだが……どうだ?」
いきなりの確信をつく一言だった。
しかし、ここに集められたのは曲がりなりにも前回のレギュラー陣。
その殆どが、動揺することなく監督の提案に肯定している。
「――お前たちもそれでいいのか?」
そう問われた対象は、団体戦複に出場していた三年生の二人。
この場で唯一のレギュラー落ちでもある彼らだが、その表情は「しょうがない」とでも言いたげな様子で笑っていた。
「仕方ないですよ、アイツらは強かったですし」
「きちんとその強さを認めて退くのも、先輩の役目ってやつだと思ってます」
殊勝な発言に、聞いていた俺たちはこぞって目を伏せる。
彼らだって、努力をしていなかったわけではない。
必死に練習し、前よりももっと上達して先日の部内戦に挑んだはずだ。
それでも負けてしまったのは、ただ少し、成長の伸びが足りなかっただけ。
「……なら、これで決定だな」
腕を組み、重々しく告げた監督の言葉をきっかけに、この場で唯一の参加を認められた女性――選手のデータ管理をしてくれている香織先輩は、自身のノートへ決定事項を書き写す。
「で、次は個人戦の選出になるわけだが……。せっかくだ、ダブルスは残りの三年生で二枠取ろう」
「……! ありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます!」
先ほどの先輩たちは勢いよく頭を下げた。
「僕からも、ありがとうございます……!」
部長も同様に謝意を示す。
三年生最後の大会――それを悔いなく締めくくって欲しいという監督の思いから生まれた計らいだろう。
これで、団体戦・個人戦を合わせて所属する三年生は大会に全員出場したことになった。
「他にはどうだ? 下の代でイキのいい奴はいないのか?」
続く監督の質問にも、部長が代表して答える。
「一ペアだけ――一年生の小栗・塩原を僕は推します」
癖なのか、クイっとブリッジごと指で上げられた眼鏡。
そのレンズが光に反射し、まるで切れ者のような風貌となっていた。
その姿は無視するとして……言い分には俺も納得する点がある。
通称オグシオペア。ひと昔前に活躍した女性バドミントンペアと同じ呼ばれ方をしている彼らだが、その実力は一年生ながらに部内戦で五位に入賞するほどだ。対戦相手の当たりが悪かったためにそんな順位ではあったが、トーナメント次第では三位でもおかしくはなかったと俺は思っている。
「……先生はどう思う?」
監督は自身の隣に座る若い男性――ウチの指導コーチにも話を伺った。
「えぇ、私も彼の意見に賛成です。オグシオ――失礼、小栗・塩原ペアには光るものがある。出場させてみるのも良いかと思います」
「他の奴らも……反対意見はなさそうだな。なら、良かろう」
こうして、つつがなく決まった個人戦ダブルス。
残すは、個人戦シングルスのメンバーだけである。
「そして最後に個人戦シングルスとなるわけだが……佐久間、畔上、お前たちは出るよな?」
「はい、迷惑でなければそのつもりでした」
「俺も部長と同じです」
質問というよりはもはや確認に近い言い回し。
それに二人して答えると、監督は満足そうに頷いてくれた。
「でも残りがなぁ……どうするかなぁ……」
再び悩むような声が発せられるが、その含む意味は先ほどのダブルス時と比べても少し異なっている。
シングルスはダブルスのメンバーに比べても、選手が潤沢なのだ。
それ故に、選択肢も多数。逆に誰を選出すればいいのか迷うのは仕方がないことだと思う。
だからこそ、俺はある目的を果たすために挙手した。
「先生、俺からいいですか?」
「おっ、なんだ……言ってみろ」
発言を許可され、多くの視線がこちらに向く。
立ち上がり、軽く息を吐いた俺はおもむろにこう提案した。
「その個人戦シングルスなのですが、俺は二年生の蔵敷宙を推薦します」
「蔵敷……?」
「蔵敷って、あの蔵敷か?」
監督とコーチ、二人そろって疑問符を浮かべているが、ウチの部活に蔵敷という生徒は一人しかいない。
「えぇ、その思い浮かべている人物で間違いないです」
頷く俺に、しかし推薦理由が全く思い浮かばないようで監督はこう問う。
「……部内戦順位は?」
「六位です」
凛とした声。もちろん、俺ではない。
急な横やりに驚いて目を向ければ、香織先輩がノートを片手に参加していた。
「六位――悪くはない……」
「清水さん、彼のデータをコピーして持ってきてくれる?」
コーチにお願いされた彼女は、すぐさま教室を出ていく――かと思いきや、別に持ってきていたらしいファイルから用紙を取り出して、この場の全員に配り始める。
俺も受け取って見てみれば、それはついさっき頼まれたばかりのそらのデータだ。
でも何で、こんなものが予め用意されているんだ……?
「内容を見てもらえれば分かりますが、畔上くんと同様に私マネージャーの清水も蔵敷そらくんを個人戦の選手として推薦します」
そして、展開は思わぬ方向へと流れる。
予想だにしなかった援護射撃に、俺も含めた一同が騒然とした。
けれど、仮にも彼女は全選手のデータを一手に担ってきた存在。
その目利きには誰もが一目置いている。とても無視できる内容ではない。
まずは、と提出されたデータを見て、そして俺たちは二度驚くこととなった。
「シングルスの平均勝率八割――!?」
「それでいてダブルスの勝率は二割って……随分と偏った子ですね」
二人の指導者の呟きに頷いた香織先輩は、淡々と自己分析したであろう内容を語り始める。
「そうなんです。そのせいで全体の勝率は五割と著しく下がっていますが、あくまでも彼はダブルスが弱いだけ。シングルスにおいても、敗戦の多くはレギュラー陣と戦った時であり、逆に言えば、それ以外では勝っています」
他にもまとめられたデータ――そこから見える意外な事実に、文字を追う目は止まらない。
ようやく全員が目を通し終え、顔を上げるタイミングで彼女はこう締めくくる。
「不思議と目に付かず、目立ってもいない選手でしたが確信を持ってこう言えます――数字上では、彼は強い」
思いがけない事柄を前にして、誰一人として声を上げる者はいなかった。
深く考えていたり、放心したり、静かに唇を噛みしめたり……色んな心情が渦巻いているのだろうが。
「…………畔上」
「はい」
突然の名指しに、反射的に返事をする。
「お前、これは知ってたのか?」
掲げられたのは、データのまとめられた紙。
だがしかし、その問いに対して俺は頭を振って答えた。
「体感的には理解していました。アイツとは多分ですが、一番俺が戦っていると思います。部活のあるなしに関係なく、プライベートなどでも。だから、戦績と評価のされなさに違和感はありました。……ただ、ここまでだとは思ってもいませんでしたけど」
一年。その歳月を経て、ようやく彼の力が認められようとしている。
まぁ、それを本人に伝えれば、きっと否定し、はぐらかそうとするだろうけど。
「…………捨ておくには惜しい素材、か」
ポツリと監督は呟いた。
「俺は試してみる価値があると思う。反対意見のある者は?」
声高に発せられた言葉。
だが、先ほどの衝撃が抜け切れていないのか、それとも本当に反対する気がないのか、誰一人として否定的な意見は挙がらない。
「それじゃあ、これで今年の夏の大会メンバーとする。以上、解散!」
監督の言葉を皮切りに教室を出れば、火照った体を冷やそうとシャツの胸元を前後に引っ張っる。
この燻る熱は果たして気候的なものなのか、感情的なものなのか。
光陰矢の如し。
二年生に進級したかと思えば、もう季節は『三年生最後の夏』と呼ばれる時期に差し掛かろうとしていた。
もう、大会は近い。
黒板のない教室後方には机と椅子とが積まれた状態でたくさん並べられており、空気は少し埃っぽい。
そんな中で集められたのは、俺を含めた十人のメンバーだ。
「……さて、じゃあ早速今年の大会に出るレギュラーを決めようか」
上座に座る二人のうち、重々しく語ったのは右の初老の男性。
体育の教諭として勤めている彼は、我がバドミントン部の監督でもある。
「とは言っても、今までの練習風景や部内戦の結果から、先日行った部内戦の上位を順に選出するのが良いと俺は思うんだが……どうだ?」
いきなりの確信をつく一言だった。
しかし、ここに集められたのは曲がりなりにも前回のレギュラー陣。
その殆どが、動揺することなく監督の提案に肯定している。
「――お前たちもそれでいいのか?」
そう問われた対象は、団体戦複に出場していた三年生の二人。
この場で唯一のレギュラー落ちでもある彼らだが、その表情は「しょうがない」とでも言いたげな様子で笑っていた。
「仕方ないですよ、アイツらは強かったですし」
「きちんとその強さを認めて退くのも、先輩の役目ってやつだと思ってます」
殊勝な発言に、聞いていた俺たちはこぞって目を伏せる。
彼らだって、努力をしていなかったわけではない。
必死に練習し、前よりももっと上達して先日の部内戦に挑んだはずだ。
それでも負けてしまったのは、ただ少し、成長の伸びが足りなかっただけ。
「……なら、これで決定だな」
腕を組み、重々しく告げた監督の言葉をきっかけに、この場で唯一の参加を認められた女性――選手のデータ管理をしてくれている香織先輩は、自身のノートへ決定事項を書き写す。
「で、次は個人戦の選出になるわけだが……。せっかくだ、ダブルスは残りの三年生で二枠取ろう」
「……! ありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます!」
先ほどの先輩たちは勢いよく頭を下げた。
「僕からも、ありがとうございます……!」
部長も同様に謝意を示す。
三年生最後の大会――それを悔いなく締めくくって欲しいという監督の思いから生まれた計らいだろう。
これで、団体戦・個人戦を合わせて所属する三年生は大会に全員出場したことになった。
「他にはどうだ? 下の代でイキのいい奴はいないのか?」
続く監督の質問にも、部長が代表して答える。
「一ペアだけ――一年生の小栗・塩原を僕は推します」
癖なのか、クイっとブリッジごと指で上げられた眼鏡。
そのレンズが光に反射し、まるで切れ者のような風貌となっていた。
その姿は無視するとして……言い分には俺も納得する点がある。
通称オグシオペア。ひと昔前に活躍した女性バドミントンペアと同じ呼ばれ方をしている彼らだが、その実力は一年生ながらに部内戦で五位に入賞するほどだ。対戦相手の当たりが悪かったためにそんな順位ではあったが、トーナメント次第では三位でもおかしくはなかったと俺は思っている。
「……先生はどう思う?」
監督は自身の隣に座る若い男性――ウチの指導コーチにも話を伺った。
「えぇ、私も彼の意見に賛成です。オグシオ――失礼、小栗・塩原ペアには光るものがある。出場させてみるのも良いかと思います」
「他の奴らも……反対意見はなさそうだな。なら、良かろう」
こうして、つつがなく決まった個人戦ダブルス。
残すは、個人戦シングルスのメンバーだけである。
「そして最後に個人戦シングルスとなるわけだが……佐久間、畔上、お前たちは出るよな?」
「はい、迷惑でなければそのつもりでした」
「俺も部長と同じです」
質問というよりはもはや確認に近い言い回し。
それに二人して答えると、監督は満足そうに頷いてくれた。
「でも残りがなぁ……どうするかなぁ……」
再び悩むような声が発せられるが、その含む意味は先ほどのダブルス時と比べても少し異なっている。
シングルスはダブルスのメンバーに比べても、選手が潤沢なのだ。
それ故に、選択肢も多数。逆に誰を選出すればいいのか迷うのは仕方がないことだと思う。
だからこそ、俺はある目的を果たすために挙手した。
「先生、俺からいいですか?」
「おっ、なんだ……言ってみろ」
発言を許可され、多くの視線がこちらに向く。
立ち上がり、軽く息を吐いた俺はおもむろにこう提案した。
「その個人戦シングルスなのですが、俺は二年生の蔵敷宙を推薦します」
「蔵敷……?」
「蔵敷って、あの蔵敷か?」
監督とコーチ、二人そろって疑問符を浮かべているが、ウチの部活に蔵敷という生徒は一人しかいない。
「えぇ、その思い浮かべている人物で間違いないです」
頷く俺に、しかし推薦理由が全く思い浮かばないようで監督はこう問う。
「……部内戦順位は?」
「六位です」
凛とした声。もちろん、俺ではない。
急な横やりに驚いて目を向ければ、香織先輩がノートを片手に参加していた。
「六位――悪くはない……」
「清水さん、彼のデータをコピーして持ってきてくれる?」
コーチにお願いされた彼女は、すぐさま教室を出ていく――かと思いきや、別に持ってきていたらしいファイルから用紙を取り出して、この場の全員に配り始める。
俺も受け取って見てみれば、それはついさっき頼まれたばかりのそらのデータだ。
でも何で、こんなものが予め用意されているんだ……?
「内容を見てもらえれば分かりますが、畔上くんと同様に私マネージャーの清水も蔵敷そらくんを個人戦の選手として推薦します」
そして、展開は思わぬ方向へと流れる。
予想だにしなかった援護射撃に、俺も含めた一同が騒然とした。
けれど、仮にも彼女は全選手のデータを一手に担ってきた存在。
その目利きには誰もが一目置いている。とても無視できる内容ではない。
まずは、と提出されたデータを見て、そして俺たちは二度驚くこととなった。
「シングルスの平均勝率八割――!?」
「それでいてダブルスの勝率は二割って……随分と偏った子ですね」
二人の指導者の呟きに頷いた香織先輩は、淡々と自己分析したであろう内容を語り始める。
「そうなんです。そのせいで全体の勝率は五割と著しく下がっていますが、あくまでも彼はダブルスが弱いだけ。シングルスにおいても、敗戦の多くはレギュラー陣と戦った時であり、逆に言えば、それ以外では勝っています」
他にもまとめられたデータ――そこから見える意外な事実に、文字を追う目は止まらない。
ようやく全員が目を通し終え、顔を上げるタイミングで彼女はこう締めくくる。
「不思議と目に付かず、目立ってもいない選手でしたが確信を持ってこう言えます――数字上では、彼は強い」
思いがけない事柄を前にして、誰一人として声を上げる者はいなかった。
深く考えていたり、放心したり、静かに唇を噛みしめたり……色んな心情が渦巻いているのだろうが。
「…………畔上」
「はい」
突然の名指しに、反射的に返事をする。
「お前、これは知ってたのか?」
掲げられたのは、データのまとめられた紙。
だがしかし、その問いに対して俺は頭を振って答えた。
「体感的には理解していました。アイツとは多分ですが、一番俺が戦っていると思います。部活のあるなしに関係なく、プライベートなどでも。だから、戦績と評価のされなさに違和感はありました。……ただ、ここまでだとは思ってもいませんでしたけど」
一年。その歳月を経て、ようやく彼の力が認められようとしている。
まぁ、それを本人に伝えれば、きっと否定し、はぐらかそうとするだろうけど。
「…………捨ておくには惜しい素材、か」
ポツリと監督は呟いた。
「俺は試してみる価値があると思う。反対意見のある者は?」
声高に発せられた言葉。
だが、先ほどの衝撃が抜け切れていないのか、それとも本当に反対する気がないのか、誰一人として否定的な意見は挙がらない。
「それじゃあ、これで今年の夏の大会メンバーとする。以上、解散!」
監督の言葉を皮切りに教室を出れば、火照った体を冷やそうとシャツの胸元を前後に引っ張っる。
この燻る熱は果たして気候的なものなのか、感情的なものなのか。
光陰矢の如し。
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