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第五章 安息と騒乱――渚は笑い、倫太郎は赤面
不協和よりも強し、商人の商魂
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王都・ギルド本部
「不協和の気配が……弱まったな」
セレスが報告を終え、場には安堵の空気が流れていた。
「これでひとまずは落ち着いたか」
ガルドが腕を組み、ユリウスもふっと息をつく。
「やっと一息つけるな……」
その瞬間――。
ドゴォォォォォン!!!
ギルドの窓が揺れるほどの轟音。
理人が計測器を覗き込んで絶叫する。
「うわあああ!? 不協和の気配が逆に跳ね上がってるぅぅぅ!」
怜が眉をひそめ、素早く外へ駆け出した。
「……召喚反応! すぐ近くです!」
王城・中庭
そこに立っていたのは――ひとりの侍女。
手には黒ずんだ召喚石。
「メイド長のいびりなんてもう耐えられないんですうううう!!」
怒声とともに石が砕け、空間から不協和の歪みが噴き出した。
現れたのは巨大な異形。
「ひぃぃぃ!?」
メイド長本人は真っ先に悲鳴を上げ、ドレスの裾をつかんで全力で逃げていった。
「な……なんでそーなるんだよぉぉぉ!」
ユリウスが頭を抱える。
「よりによって侍女の反抗心から召喚ですか!」
セリナが絶句し、ガルドは重々しい声で吐き捨てた。
「……情けなさすぎる……」
怜が双剣を抜き、冷静に言い放つ。
「仕方ありません。まずは討伐です」
セレスは溜め息をつきながら短剣を構え、仲間に声をかけた。
「……王都は騒がしい。だが、止めるのは私たちの役目だ」
――その背後で、まだ逃げ続けるメイド長の悲鳴がこだましていた。
王都・中庭
「チクチク……チクチク……」
異形の裁縫魔《スレッド・ドミナ》が糸を振りまき、鋏を振り下ろす。
「ぐっ……! 盾が削れていく……!」
ガルドが踏ん張り、ユリウスが無謀に突撃して吹き飛ばされる。
「おいおい、どーすんだよこれ!」
ユリウスが転がりながら悲鳴を上げた。
「弱点いないじゃないかぁぁぁーっ!」
理人は頭を抱えて絶望の叫び。
怜は冷静に分析するが、眉根を寄せた。
「……元の世界でも、見たことがありません」
静香も険しい表情で言い添える。
「未確認ケース。初めての発生です」
セレスは淡々と双剣を構える。
「それでも、ミッション遂行に変わりはない」
クロウとアイリスも同調し、冷静に配置につく。
だが――ユリウス、セリナ、ガルドの三人は糸とモップ攻撃に翻弄されっぱなし。
「モップで殴るなーっ!」
「掃除しちゃう……あ、ああ机を拭いてる!? 違う、これは戦闘中!」
「くっ……俺は盾役だ……掃除係じゃない……!」
「チクチク……」
空から針が降り注ぎ、セリナの悲鳴が響く。
「ひぃぃっ、髪に針が絡まってほどけない!」
「クソッ、颯真がいれば弱点を突けたのに……!」
理人が叫び、仲間の視線が暗くなる。
その時――
「ほっほっ、待たせましたな!」
場外から元気な声が飛ぶ。
玉燕が両腕いっぱいに瓶を抱え、戦場へ突撃してきた。
「おぬしら、火炎瓶の威力を侮るなかれ!」
「いやいやいやいや!?」
理人が叫ぶ間もなく、玉燕は瓶を次々と投げつける。
――ボンッ! ボンッ! ボオオオオッ!
燃え広がる炎が糸束を焼き払い、《スレッド・ドミナ》が苦悶の声を上げた。
「チク……チクチクチクチィィィーーッ!!」
「効いてる!? 効いてるじゃん!」
ユリウスが歓声を上げ、セリナが目を丸くする。
「まさか……効いてる……?」
ガルドは盾を構えながら呻いた。
「……火炎瓶でレイド戦……そんな馬鹿な……」
だが事実、炎に包まれた糸が次々と切れ落ち、巨体が軋む。
セレスが即座に号令をかけた。
「全員、玉燕に合わせろ! ――一斉攻撃!」
怜が双剣で縫い目を断ち切り、理人のドローンが炎を撒き散らす。
アイリスの狙撃が結節を撃ち抜き、クロウの鎖が敵を縛る。
「――とどめだ!」
全員の連携が重なり、《スレッド・ドミナ》は炎に包まれて轟音とともに崩れ落ちた。
ユリウスは燃え残る糸を見て頭を抱えた。
「いやいやいや……まさか火炎瓶でレイド攻略することになるなんて……」
理人は膝から崩れ落ちる。
「俺の計算式……完全に無意味じゃん……」
セリナは苦笑しながらも頷く。
「でも……勝てたのは事実です」
ガルドは小さく息を吐き、呟いた。
「……玉蓮の妹、恐るべし」
玉燕は胸を張り、笑みを浮かべた。
「ほっほ、これぞ“玉家スペシャル火炎瓶”でございますな!」
静香は額に手を当て、深いため息をついた。
「……後世に残したくない戦法ですね」
不協和の怪物はまさかの“火炎瓶戦術”で討伐され、王都にまたひとつ妙な伝説が刻まれた。
村・別荘
「え? ……玉蓮の妹が?」
倫太郎はお茶を吹きかける勢いで、報告役の忍びを二度見した。
「……レイドボスを、火炎瓶で?」
渚が目を瞬かせる。
忍びは無表情のまま頷いた。
「はい。王都の討伐は、玉燕殿が投げた“特製火炎瓶”が決定打となった模様です」
「……」
沈黙。
次の瞬間――
「ぶははははははっ!!!」
巽が畳を叩いて爆笑した。
「なにそれ!? 颯真がいないからダメかと思いきや、妹の火炎瓶!? 最高にギャグじゃねぇか!」
倫太郎は頭を抱え、半泣きで叫ぶ。
「いやいやいや! そんな戦法で勝つなよ!? この世界の格調どうなってんだよぉ!」
颯真は腕を組み、冷静に結論を出した。
「……つまり、この世界では“火属性攻撃”の代替があれば攻略可能、ということだ」
「まとめるな! 真顔で攻略本書くな!」
倫太郎が即座にツッコミを入れる。
渚はため息をつきつつも、口元に笑みを浮かべた。
「……でも、これで王都は救われたのですから。結果的には良かったのでは?」
玉蓮は誇らしげに扇子を広げる。
「ほっほ。妹もなかなか商才と度胸を持っておりますな。――後で“火炎瓶セット”を商品化するといたしましょうぞ」
倫太郎はガクッと崩れ落ちた。
「やめろぉぉぉ!! そんなもん流通させんなぁぁ!!」
村にも、「玉燕がレイドボスを倒した」という報告は伝わり、王都の噂話はさらにカオスな方向へ広がっていった。
路地裏・黒衣の潜伏先
「……ぐっ……ぐぬぬ……」
黒衣の男は瓦礫に腰を下ろし、顔を覆っていた。
その肩は小刻みに震えている。
「よりによって……あの小娘に……召喚石を取り上げられて……!」
回想
メイドが怒りのままに黒衣の手から石を奪い取る。
「こんなもん、あたしが使ってやるわよぉぉぉ!!」
「や、やめ――ッ! 儀式には調整が必要なんだッ!」
黒衣の制止もむなしく、不協和が顕現してしまった。
――そして結果は、王都総動員の大騒ぎの末、 火炎瓶一発で決着。
黒衣は壁に頭を打ちつけながら、半泣きで叫ぶ。
「なぜだ……! なぜ我が計画が……火炎瓶に負けねばならんのだぁぁぁぁ!!!」
――悪の策士、涙に濡れる。
――世界を揺るがす不協和の怪物が、まさかの“燃える瓶”に敗北するとは!
――これもまた、世迷い事か!?
「……もうやだこの王都……いや、この世界……」
呻きながらも、黒衣は立ち上がる。
「だが……諦めぬ! 火炎瓶に屈する我ではない!」
……その背後で、屋台の店主がひそひそと噂していた。
「聞いたか? 黒衣の怪人、炎に弱いらしいぞ」
「やっぱり火炎瓶最強か……」
黒衣は肩を震わせ、振り返って絶叫する。
「ちがぁぁぁぁぁうッ!!!」
「不協和の気配が……弱まったな」
セレスが報告を終え、場には安堵の空気が流れていた。
「これでひとまずは落ち着いたか」
ガルドが腕を組み、ユリウスもふっと息をつく。
「やっと一息つけるな……」
その瞬間――。
ドゴォォォォォン!!!
ギルドの窓が揺れるほどの轟音。
理人が計測器を覗き込んで絶叫する。
「うわあああ!? 不協和の気配が逆に跳ね上がってるぅぅぅ!」
怜が眉をひそめ、素早く外へ駆け出した。
「……召喚反応! すぐ近くです!」
王城・中庭
そこに立っていたのは――ひとりの侍女。
手には黒ずんだ召喚石。
「メイド長のいびりなんてもう耐えられないんですうううう!!」
怒声とともに石が砕け、空間から不協和の歪みが噴き出した。
現れたのは巨大な異形。
「ひぃぃぃ!?」
メイド長本人は真っ先に悲鳴を上げ、ドレスの裾をつかんで全力で逃げていった。
「な……なんでそーなるんだよぉぉぉ!」
ユリウスが頭を抱える。
「よりによって侍女の反抗心から召喚ですか!」
セリナが絶句し、ガルドは重々しい声で吐き捨てた。
「……情けなさすぎる……」
怜が双剣を抜き、冷静に言い放つ。
「仕方ありません。まずは討伐です」
セレスは溜め息をつきながら短剣を構え、仲間に声をかけた。
「……王都は騒がしい。だが、止めるのは私たちの役目だ」
――その背後で、まだ逃げ続けるメイド長の悲鳴がこだましていた。
王都・中庭
「チクチク……チクチク……」
異形の裁縫魔《スレッド・ドミナ》が糸を振りまき、鋏を振り下ろす。
「ぐっ……! 盾が削れていく……!」
ガルドが踏ん張り、ユリウスが無謀に突撃して吹き飛ばされる。
「おいおい、どーすんだよこれ!」
ユリウスが転がりながら悲鳴を上げた。
「弱点いないじゃないかぁぁぁーっ!」
理人は頭を抱えて絶望の叫び。
怜は冷静に分析するが、眉根を寄せた。
「……元の世界でも、見たことがありません」
静香も険しい表情で言い添える。
「未確認ケース。初めての発生です」
セレスは淡々と双剣を構える。
「それでも、ミッション遂行に変わりはない」
クロウとアイリスも同調し、冷静に配置につく。
だが――ユリウス、セリナ、ガルドの三人は糸とモップ攻撃に翻弄されっぱなし。
「モップで殴るなーっ!」
「掃除しちゃう……あ、ああ机を拭いてる!? 違う、これは戦闘中!」
「くっ……俺は盾役だ……掃除係じゃない……!」
「チクチク……」
空から針が降り注ぎ、セリナの悲鳴が響く。
「ひぃぃっ、髪に針が絡まってほどけない!」
「クソッ、颯真がいれば弱点を突けたのに……!」
理人が叫び、仲間の視線が暗くなる。
その時――
「ほっほっ、待たせましたな!」
場外から元気な声が飛ぶ。
玉燕が両腕いっぱいに瓶を抱え、戦場へ突撃してきた。
「おぬしら、火炎瓶の威力を侮るなかれ!」
「いやいやいやいや!?」
理人が叫ぶ間もなく、玉燕は瓶を次々と投げつける。
――ボンッ! ボンッ! ボオオオオッ!
燃え広がる炎が糸束を焼き払い、《スレッド・ドミナ》が苦悶の声を上げた。
「チク……チクチクチクチィィィーーッ!!」
「効いてる!? 効いてるじゃん!」
ユリウスが歓声を上げ、セリナが目を丸くする。
「まさか……効いてる……?」
ガルドは盾を構えながら呻いた。
「……火炎瓶でレイド戦……そんな馬鹿な……」
だが事実、炎に包まれた糸が次々と切れ落ち、巨体が軋む。
セレスが即座に号令をかけた。
「全員、玉燕に合わせろ! ――一斉攻撃!」
怜が双剣で縫い目を断ち切り、理人のドローンが炎を撒き散らす。
アイリスの狙撃が結節を撃ち抜き、クロウの鎖が敵を縛る。
「――とどめだ!」
全員の連携が重なり、《スレッド・ドミナ》は炎に包まれて轟音とともに崩れ落ちた。
ユリウスは燃え残る糸を見て頭を抱えた。
「いやいやいや……まさか火炎瓶でレイド攻略することになるなんて……」
理人は膝から崩れ落ちる。
「俺の計算式……完全に無意味じゃん……」
セリナは苦笑しながらも頷く。
「でも……勝てたのは事実です」
ガルドは小さく息を吐き、呟いた。
「……玉蓮の妹、恐るべし」
玉燕は胸を張り、笑みを浮かべた。
「ほっほ、これぞ“玉家スペシャル火炎瓶”でございますな!」
静香は額に手を当て、深いため息をついた。
「……後世に残したくない戦法ですね」
不協和の怪物はまさかの“火炎瓶戦術”で討伐され、王都にまたひとつ妙な伝説が刻まれた。
村・別荘
「え? ……玉蓮の妹が?」
倫太郎はお茶を吹きかける勢いで、報告役の忍びを二度見した。
「……レイドボスを、火炎瓶で?」
渚が目を瞬かせる。
忍びは無表情のまま頷いた。
「はい。王都の討伐は、玉燕殿が投げた“特製火炎瓶”が決定打となった模様です」
「……」
沈黙。
次の瞬間――
「ぶははははははっ!!!」
巽が畳を叩いて爆笑した。
「なにそれ!? 颯真がいないからダメかと思いきや、妹の火炎瓶!? 最高にギャグじゃねぇか!」
倫太郎は頭を抱え、半泣きで叫ぶ。
「いやいやいや! そんな戦法で勝つなよ!? この世界の格調どうなってんだよぉ!」
颯真は腕を組み、冷静に結論を出した。
「……つまり、この世界では“火属性攻撃”の代替があれば攻略可能、ということだ」
「まとめるな! 真顔で攻略本書くな!」
倫太郎が即座にツッコミを入れる。
渚はため息をつきつつも、口元に笑みを浮かべた。
「……でも、これで王都は救われたのですから。結果的には良かったのでは?」
玉蓮は誇らしげに扇子を広げる。
「ほっほ。妹もなかなか商才と度胸を持っておりますな。――後で“火炎瓶セット”を商品化するといたしましょうぞ」
倫太郎はガクッと崩れ落ちた。
「やめろぉぉぉ!! そんなもん流通させんなぁぁ!!」
村にも、「玉燕がレイドボスを倒した」という報告は伝わり、王都の噂話はさらにカオスな方向へ広がっていった。
路地裏・黒衣の潜伏先
「……ぐっ……ぐぬぬ……」
黒衣の男は瓦礫に腰を下ろし、顔を覆っていた。
その肩は小刻みに震えている。
「よりによって……あの小娘に……召喚石を取り上げられて……!」
回想
メイドが怒りのままに黒衣の手から石を奪い取る。
「こんなもん、あたしが使ってやるわよぉぉぉ!!」
「や、やめ――ッ! 儀式には調整が必要なんだッ!」
黒衣の制止もむなしく、不協和が顕現してしまった。
――そして結果は、王都総動員の大騒ぎの末、 火炎瓶一発で決着。
黒衣は壁に頭を打ちつけながら、半泣きで叫ぶ。
「なぜだ……! なぜ我が計画が……火炎瓶に負けねばならんのだぁぁぁぁ!!!」
――悪の策士、涙に濡れる。
――世界を揺るがす不協和の怪物が、まさかの“燃える瓶”に敗北するとは!
――これもまた、世迷い事か!?
「……もうやだこの王都……いや、この世界……」
呻きながらも、黒衣は立ち上がる。
「だが……諦めぬ! 火炎瓶に屈する我ではない!」
……その背後で、屋台の店主がひそひそと噂していた。
「聞いたか? 黒衣の怪人、炎に弱いらしいぞ」
「やっぱり火炎瓶最強か……」
黒衣は肩を震わせ、振り返って絶叫する。
「ちがぁぁぁぁぁうッ!!!」
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