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重鎧騎士、路地裏で解体されるの巻
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城の一室
王子の部屋の隅。
既に“倫太郎=アレクシスの中身”という秘密を知ってしまったミラが、渚と並んで机を囲んでいた。
倫太郎は頭を抱え、深刻な顔をしている。
「……つまりだ。アレクシス王子の姿で外に出たら、秒でバレる」
「倫太郎様のままでも“どこの青年だ”と怪しまれますし……」ミラが小声で心配そうに付け加える。
「ならば、答えはひとつです」渚が凛とした笑みを浮かべた。
「“重鎧騎士のフリ”で行きましょうか」
「おおっ! それだ!」
倫太郎は思わず机を叩く。
「完全防御! 顔も見えない! 声もくぐもる! これなら絶対安全!」
――その瞬間。
廊下を通りかかった侍女たちが足を止め、耳をそばだてた。
「聞いた!? 王子様、“完全防御で絶対安全”って……」
「ま、また暗殺計画のこと!?」
「しかも渚様が“答えはひとつ”って……ひぃぃっ!」
一瞬にして「恐怖の作戦会議」として広まり、廊下はざわつきで満ちた。
数刻後
がちゃがちゃと音を立てながら、全身重鎧をまとった倫太郎が廊下を進む。
渚は無表情を装い、ミラは冷や汗を拭きながら付き添う。
(うわっ、重っ……! 視界せまっ! ……けど、これなら怪しまれないはず!)
内心で倫太郎はガッツポーズをしていた。
――が。町に入った瞬間、渚が小声で耳打ちする。
「倫太郎。このままでは買い物は無理ですわ」
「え、なんで!? 完璧じゃん!」
「……あなたの足音で、店先のリンゴが震えております」
見ると八百屋のおじさんが真っ青になり、ガタガタ震えながら絶叫していた。
「り、りんごはいかがですかあああっ!!」
「……完全に恐喝じゃねぇか!」
倫太郎は慌てて裏路地に駆け込み、ガシャガシャと鎧を脱ぎ捨てる。
渚が器用に畳み、ミラは慌てて汗を拭った。
「……なにしてんだ俺」
「大丈夫です、これで普通の学生風に見えます」渚がさらりと言う。
「い、いや……俺、学生風って……」
それでも三人はようやく平服姿に戻り、町へと繰り出した。
その頃、城内
「聞いたか? 王子様が裏路地で“重鎧を脱いだ”らしいぞ!」
「え、なにそれ……戦場ごっこか?」
「いや、裏路地で脱ぐとか怪しすぎないか……?」
「ま、まさか……銀髪の愛人との密会用に鎧で偽装を……!」
――新たな噂が瞬く間に広がる。
執事ギルバートは報告を聞いた瞬間、こめかみに手を当てた。
「アレクシス様ぁぁぁ……!」
震える指で薬瓶を開け、胃薬を三粒――いや、五粒、まとめて口に放り込むのであった。
王子の部屋の隅。
既に“倫太郎=アレクシスの中身”という秘密を知ってしまったミラが、渚と並んで机を囲んでいた。
倫太郎は頭を抱え、深刻な顔をしている。
「……つまりだ。アレクシス王子の姿で外に出たら、秒でバレる」
「倫太郎様のままでも“どこの青年だ”と怪しまれますし……」ミラが小声で心配そうに付け加える。
「ならば、答えはひとつです」渚が凛とした笑みを浮かべた。
「“重鎧騎士のフリ”で行きましょうか」
「おおっ! それだ!」
倫太郎は思わず机を叩く。
「完全防御! 顔も見えない! 声もくぐもる! これなら絶対安全!」
――その瞬間。
廊下を通りかかった侍女たちが足を止め、耳をそばだてた。
「聞いた!? 王子様、“完全防御で絶対安全”って……」
「ま、また暗殺計画のこと!?」
「しかも渚様が“答えはひとつ”って……ひぃぃっ!」
一瞬にして「恐怖の作戦会議」として広まり、廊下はざわつきで満ちた。
数刻後
がちゃがちゃと音を立てながら、全身重鎧をまとった倫太郎が廊下を進む。
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(うわっ、重っ……! 視界せまっ! ……けど、これなら怪しまれないはず!)
内心で倫太郎はガッツポーズをしていた。
――が。町に入った瞬間、渚が小声で耳打ちする。
「倫太郎。このままでは買い物は無理ですわ」
「え、なんで!? 完璧じゃん!」
「……あなたの足音で、店先のリンゴが震えております」
見ると八百屋のおじさんが真っ青になり、ガタガタ震えながら絶叫していた。
「り、りんごはいかがですかあああっ!!」
「……完全に恐喝じゃねぇか!」
倫太郎は慌てて裏路地に駆け込み、ガシャガシャと鎧を脱ぎ捨てる。
渚が器用に畳み、ミラは慌てて汗を拭った。
「……なにしてんだ俺」
「大丈夫です、これで普通の学生風に見えます」渚がさらりと言う。
「い、いや……俺、学生風って……」
それでも三人はようやく平服姿に戻り、町へと繰り出した。
その頃、城内
「聞いたか? 王子様が裏路地で“重鎧を脱いだ”らしいぞ!」
「え、なにそれ……戦場ごっこか?」
「いや、裏路地で脱ぐとか怪しすぎないか……?」
「ま、まさか……銀髪の愛人との密会用に鎧で偽装を……!」
――新たな噂が瞬く間に広がる。
執事ギルバートは報告を聞いた瞬間、こめかみに手を当てた。
「アレクシス様ぁぁぁ……!」
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