勇者の皆さん、いつ魔王城に着くんでっか? ――戦わんでも始まらん、せやけど請求は止まらん世界で――

角砂糖

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第二章 秘宝探しのため、更に遅延の危機

第十一話:これまでの登場人物紹介 〜魔王によるデモやんへの説明〜

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魔王城・応接室。
 机の上には分厚いファイルが積まれ、表紙にはこう書かれていた。

《勇者ローン関係者一覧表(2025年度版)》

 舎弟デモやんは正座していた。
 その前に立つのは、魔王ガイゼル=ロウ。
 手には赤ペン。

「……ええかデモやん。おまえ、最近“誰が誰か分からん”ゆうて現場で泣いとったな?」
「ひぃ……は、はいぃ……」
「せやから今日は特別に、“これまでの登場人物まとめ講習会”や。」
「ま、また長そうなタイトルぉ……!」

 ガイゼルは一枚目の書類を開いた。


【勇者アルグレイ】

・金髪のリーダー。
・“光の勇者”とか名乗っとるけど、最近は会議と宴ばっか。
・半年出発してへんくせに、「士気は上がってる」と言い張るタイプ。
・請求額:延滞利息7万ルミン。

「口だけ光ってる勇者」ってワシの帳簿には書いてある。

「……いやそれ悪口やないですか!?」
「事実記録や。」


【氷結のセレナ】

・副リーダー格の女騎士。
・正論を言うが勇者には弱い。
・“猫姫”と出会ってから更にスケジュールがズレた戦犯。
・請求額:遅延補佐費2万ルミン+“猫特約”1,000ルミン。

「猫特約ってなんですか魔王様!?」
「猫を助けると発生する特例や。情けに金利がつく。」
「こわぁぁ……!!」


【ルゥ神官】

・回復担当。皮肉屋。
・書類読むのは早いが“読んでも理解しない”タイプ。
・魔王の請求書を一度燃やした。
・請求額:精神的損害2万ルミン。

ワシの怒りが燃えたんや。



【ミナト】

・元勇者パーティの天才魔法少年。
・有能すぎてクビになった。
・現在は「風影の灯」という別チーム所属。
・泣かされた回数:舎弟の接触時に1。
・保護者:月影。

「あの子は仕事の領域外や。今後は請求禁止。」

「ひぃぃ! 領域外て……!」


【月影】

・くのいち。落ち着いた姐さん枠。
・説教で幹部級の悪魔も沈黙。
・笑顔で怖い。静かに怒る。
・請求不可能。むしろ逆に徴収される。

「あの人に関わったら負債が増える。ワシの経験則や。」

「も、もう名前聞くだけで胃が痛いですぅ……」
「せやから近づくな言うたやろ。」


【レーア】

・異世界技術者。無表情で理屈っぽい。
・“おうちワープ”とかいう転送装置を勝手に設置。
・あれの光熱費、誰が払ってると思う? ワシや。
・請求額:設備負担金15万ルミン(未回収)。


【静月】

・月影の流派違いのくのいち。
・一見クールだが情に厚い。
・料理上手、毒も作れる。
・舎弟を見た瞬間に「生き急ぐのは感心しませんね」と言った。
・請求なし。代わりに“人情警告”一枚。


【リュミナ(人間不信のエルフ)】

・森ごと結界張った張本人。
・ワシが直で話して、なんとか“柔らかい目”にした。
・まだ請求対象やけど、今後は“友好交渉中”。

「敵に回すと不便、味方にすると静かに怖い」タイプや。


【レティシア姫(現・猫)】

・隣国の姫。呪いで猫化。
・勇者を引き止める遅延要因その2。
・ワシの書類では“猫姫案件”として管理。
・請求額:世界進行阻害費3万ルミン。

「可愛いけど高くつく」ってメモもある。


【勇者パーティ共通】

・共通傾向:“寄り道体質”。
・行動理由:人助け、恋愛、猫、会議、飲み会。
・成果:ゼロ。
・請求総額:現在32万ルミン(更新中)。


「……はぁ……全員請求対象ですやん……」
「せや。つまりおまえの仕事、まだまだ終わらんいうことや。」
「もう嫌やぁぁぁぁ!」

 デモやんが頭を抱える。
 魔王は書類を閉じ、ふっと笑った。

「まぁでもな、ワシはこいつら嫌いやないで。」
「え?」
「遅れても逃げても、物語は動いとる。
 ワシが請求書出し続ける限り、誰かが何かしよる。
 ――それが“世界の経済”っちゅうもんや。」

 その言葉に、デモやんは少しだけ顔を上げた。
「……魔王様、ええこと言いますねぇ。」
「せやろ? ほな次の回収行ってこい。」
「話の締め早っ!!」
「仕事はスピードや。」

 魔王の笑みが光る。
 また一枚、請求書が世界に飛んでいった。
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