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第77話 初戦、決着。
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果敢に攻撃を続けるティッキーに対し、守勢に回りながらも、反撃のチャンスを虎視眈々と窺うミヤビ。1stセットを先取したティッキー優勢で迎えた2ndセットは、またしてもお互いの意地と意地がぶつかり合うようなシーソーゲームとなった。緊迫した状況が続くなか、カウント4-4というゲーム中盤で僅かな潮目の変化が訪れる。
サーブからの連撃でミヤビをコートの外へ追い出したティッキーだったが、ミヤビが見事な立ち回りでカウンターを成功させた。続くポイントでも、隙と呼ぶには余りにも些細な間隙を突いたミヤビがポイントを奪う。ゲーム冒頭にポイントを連取されてしまったティッキーは、相手のプレーを内心で賞賛しながらも、自分の身体に僅かばかりの小さな違和感を覚えた。
(さすがに、少し疲労があるか)
シューズの爪先で、コートをノックするように足の具合を確かめるティッキー。既に通算で、21ゲームを終えている。加えて、1ポイントのやり取りが徐々に長くなりつつある。自身の決定力が落ち始め、相手の守備がリズムに乗っている証拠だろうと推察するが、それ以上にミヤビのパフォーマンスが意外なほど落ちない。
(むしろここへ来て、威力が増している)
1stセットで熱戦を繰り広げたことで、お互いの手の内についてはおおよそ見当はついている。相手の最大火力、阻止限界点、得意なシチュエーション、苦手な場面を補う手段など、ティッキーもミヤビも出し惜しみなく晒している。それでいて、相手の戦意は未だ意気軒高。プレーの質の高さもさることながら、そのメンタルの強さにもティッキーは胸中で舌を巻いた。
(イタリアでの活動を再開して以降、ここまでの強敵はいなかったな)
ティッキーが攻撃的なスタイルを選んだのは、それが最も効率的だと感じているからだ。試合という勝負の場において、様子を見たり相手の出方を窺うということを彼女はしない。恵まれた体格を活かして先制攻撃を仕掛け、ひたすら連撃を重ねて行く。そうすることでまず相手の気持ちを守備的に追い込む。コイツはヤバイと思わせ、精神的なイニシアチブを強奪するのだ。そうすることで相手の戦意を挫き、最悪を想定させ、普段通りのプレーをさせずに押し切る。相手がどんなプレースタイルであろうと、それを貫くことで自身の覚悟を示すように。そういうプレーをするようになってから、彼女は現在まで敗北を知らない。だがその代わり、フルセットはもちろん、1試合で20ゲーム以上に渡る試合経験がティッキーは無かった。
(大したヤツだ、本当に。試合前、昔の話を持ち出したのも全く無意味だったな。人の良い日本人なら、昔を思い出そうとして少なからず隙ができると思ったが。あくまで目の前の試合に集中し、全力で掛かってくる。ここまでやって気持ちが守りに入らないのは賞賛に値する。――だが)
ティッキーがサーブを放ち、同時にネットへ向けて前進する。これまで一度もやっていなかったサーブ&ボレーでの強襲。ポイントを先行されていようと関係ない。相手のメンタルがどれほど強かろうと関係ない。攻めて攻めて攻める。付け入る隙を与えない、あくまで主導権は自分が握り、相手に譲歩するよう態度で示す。一貫してそれを突き通さなければ、世界はあっという間に、分厚い壁をもって立ち塞がるだろう。自分たちは、進むしかないのだ。
(勝つのは我々だ。我々は勝たねばならない)
ネットへ詰めたティッキーを視認したミヤビ。瞬時に判断し、もっともティッキーがボレーし辛いであろう非利き手側のボディを狙い打つ。だが、彼女がそこを狙うのをティッキーは想定済み。身体を逃がしながら、全身で翻るように打ち流す。
(運命よ、そこをどけ。私が通る――ッ!)
★
(ここで前!? どんな度胸してんの!)
予想していなかったティッキーのサーブ&ボレーによって、虚を突かれるミヤビ。ゲームカウント4-4でミヤビの2ポイント先行の場面。仮にミヤビがここを獲れば3つのブレイクポイントとなり、大きくリードできる。普通の神経なら、サーバーはサーブの有利をしっかり活かして、確実にポイントを獲ろうとするのが人情だろう。だが、ティッキーはそうしなかったし、ミヤビも相手が決して守備的にはプレーしないことは承知していた。積極的に自分からポイントを奪いに来るだろうとは思っていたが、まさかリスクの高いサーブ&ボレーを仕掛けてくるとは。咄嗟に一番攻めづらい場所を選択しリターンしたミヤビだが、直後にその選択が間違っていると気付く。相手はここまでどんな場面でもリスクを負って攻撃してくるが、決して無謀な攻撃を乱発するような相手ではない。サーブ&ボレーをする際に注意すべき足元とボディは、当然ながら意識しているはずだ。
(ドロップ? いや、違う!)
ミヤビはティッキーの挙動に反応してしまった結果、サーブの威力を利用して弾くようなリターンをボディに向けて打ってしまった。相手がボールの勢いを殺して、ネット手前に落としてくる可能性を真っ先に警戒したが、即座にそれを否定。恐らくティッキーはミヤビがドロップに反応することを予測している。サーブを打ってから次のボレーまでの時間が極めて短いサーブ&ボレーにおいても、相手は油断なくミヤビの動きを捉えているはずだ。
(拾いに行く――フリ!)
リターンを打ち終えたあと、ミヤビは一歩だけ前へ向けてステップインし、しかし二歩目を踏み出さない。ブレーキをかけて踏みとどまると、シューズが擦れてキュっと高いスキール音が短く響く。一瞬だけ前に行く素振りを見せると、ミヤビはティッキーが打つボレーを見極めた。自ら後手に回りつつも、相手の狙いを看破して後の先を奪う。案の定、ティッキーはドロップを打つ素振りを見せただけ。厚い当たりでフラット気味のボレーを、コートの奥へ向けて押し込んできた。
(届け!)
リターンの威力を利用したティッキーのボレーは、真っ直ぐで低弾道。回転よりも推進力にエネルギーを注ぎ、バウンドしたあとも失速せず球威は衰えない。ミヤビはその瞳にボールを映しながら、どんな角度でどう跳ねるのかを無意識に予測。その予測に準じた応対を反射的に導き、脳の判断を待たず身体が先に始動する。ラケットの先端でどうにかボールを捉え、柔らかい手首をしならせ辛うじて引っ張り上げた。
「ッ!」
ミヤビがラケットを振った際、ボールがフレームに引っ掛かる。クリーンな当たりではないがゆえに、ミヤビのイメージした返球ではない。打った本人さえも予測不能な推進方向と回転で、ボールが高く打ち上がる。奇しくもそれは完全にティッキーの虚を突き、更には守備範囲を越え、それでいてコートへ収まる軌道を描いた。
「オオォォッ!」
ボールがティッキーの頭上を越えた瞬間、彼女は腹の底から唸り声を上げ、反転してボールを追う。ネットに詰めたことが仇となり、ボールとの距離はかなりある。だが、彼女は微塵も諦める様子は見せず、必ずボールに追いつき、そして絶対に返球するという意志と覚悟を見せながら全力で走った。彼女の長い手足が大きく振るわれ、まるで地面を縮めるかのようにボールとの距離を詰める。だが、一度バウンドしたボールは不規則な回転で横に逸れ、ティッキーの予想した軌道を外れた。それでも、ティッキーは速度を落とさずボールを追う。
「ティッキー、よせ!」
チームベンチにいたジオが思わず叫ぶ。だが、声は届かない。コートの端へ逃げるように飛んでいくボール。その向かう先には、観客席との境目である低いコンクリートの壁と、少し高い位置で驚きの表情を浮かべて座っている観客の姿。あと少し、あと少しでラケットがボールに届くというところで、ティッキーは自分が今どこにいるかを自覚する。
だが、ティッキーが速度を落とすには、遅すぎた。
★
――仲間を募れ、ティッキー。一人で戦ってはいけない
イタリアテニス協会の役員が自分に向けて告げた言葉の意味を、ティッキーは選手活動を開始して早々に理解、痛感した。彼女が思っている以上に、八百長事件による影響は根強く残っており、それはもはや差別の大義名分と言っても過言ではないほどだった。
イタリアで行われる最大のテニストーナメントであるローマ大会を始めとして、チャレンジャー、フューチャーズといった下部大会すら開催回数は激減し、多くの企業がイタリアテニス界隈から手を引いた。資本主義経済において、金の動きが停滞することは血液が循環しなくなることに等しい。街中のテニスクラブやテニススクールは次々と廃業し、テニスコーチは職を失い、プロ選手の多くは活動を継続しようとイタリアから他国へと帰化するか、或いは引退を余儀なくされた。
しかしそれでも、ティッキー達を支援してくれる団体や人々は少なからず存在した。まず、イタリアテニス協会。次に、当時の世界トップランカーである数名の選手。彼らはテニス界の看板であるがゆえに、大会のインタビューで度々イタリアに関する質問を投げかけられた。メディアが期待したのは、イタリアを批難するような発言を現役のトップ選手がしてくれることだったが、そういった者は存外に少なかったのだ。
「八百長は許されないが、それはイタリアに限った話じゃない、だとよ」
モンテカルロで開催された地方大会からの帰り、バスに揺られながらギルがインタビュー記事を読み上げる。ティッキーはメンバーを集めて結束したあと、チームで欧州の試合を回った。安全の確保はもちろん、一人ではカバーしきれない部分を補うには、チームとして動くのが最も効率的な選択といえたからだ。イタリアテニス協会が全面的にバックアップをしてくれているが、彼らも余裕があるわけではない。当然のことながらティッキーたちに企業スポンサーは付かず、活動資金は常に火の車で、時にはホテルではなくテントを張って滞在費を節約した。
「ご立派だねぇ、そういうなら寄付のひとつでもしやがれってんだ」
後部座席でふんぞり返りながら、吐き捨てるように続けるギル。スポーツ選手は基本的に人気商売であるがゆえ、そう簡単には他者の批判を口にしない。見ようによっては彼らが味方だと言えなくもないが、少し見方を変えればあくまで積極的に敵に回ろうとしないというだけの傍観者だと言える。それがもっとも賢い態度であることは誰の目から見ても明らかだったが、当事者であるイタリアのメンバーからすれば、彼らの言葉は何の力にもなっていないと感じるのも仕方のないことだった。
「彼らはそれでいい。テニス界を牽引し続けるのが、彼らの役目だ」
しかし、ひとつ前の席に座るティッキーは気にする様子もなく、タブレット端末で何やら作業を続けている。積極的に敵になろうとしないということは、消極的ではあるが味方だとも言えると彼女は考えている。無用な混乱が起こらないよう中立を示すことが、ティッキー達にとっては好都合だ。逆に、変にイタリアの肩を持つような発言をする者がいるとしたら、それは返って危ないとさえ考えていた。
「それよりギル、今日の試合はなんだ」
作業の手を止めて振り向いたティッキーが、やや声を尖らせた。それを聞いたギルは悪戯がバレた子供のような表情を浮かべ、左隣にいるムーディに視線を向けて助けを求める。だが、ムーディは目線に気付きながらも素知らぬ顔で応じない。
「オマエならあっさり勝てる相手だった。どういうつもりだ」
ギルは試合で1stセットを先行し、そのまま押し切ろうと思えばできたのにそれをしなかったのだ。相手の実力を完全に見切り、まるで自分のプレーを誇示するようにリスクの高いショットを多用して2ndセットを落とした。相手もそれに気付いており、屈辱的な顔を浮かべながらファイナルセットに挑み、結果タイブレークにまでもつれてしまう。勝敗こそギルがしっかり制したが、どう見ても相手を舐めたプレーだったのは言うまでもない。
「色々試したかったんだって。ホラ、ウチらは練習環境が不十分だろ? 試合で勝たなきゃいけないのは分かってるけど、たまにはフルセットやって身体を慣らしておかねぇとなって。真剣勝負の場でやるフルセットは良い練習になるしさ。だからわざと――」
「お、おい、ギル」
言い訳を口にするギルは、喋りながら今日の自分のプレーにはちゃんとした正当性があったような気がしてきて、つい余計な事を口走ってしまう。右隣にいたグリードに言葉を遮られたギルが、ふとティッキーの顔を見て青ざめる。
「……いや、あの」
「二度とするなよ」
自分を落ち着かせるように唾を飲んだギルが、神妙に頷く。ティッキーは、流れる運河さえ一瞬で凍てつかせるのではないかと思えるほどの冷たい視線でギルを一瞥すると、短く言って作業を再開した。
「っべ~、死ぬかと思った」
「カンペキおめーがワリィ。あとでもう一回謝っとけよ」
小声でグリードと言葉を交わすギル。ギル自身も、八百長事件が引き起こしたイタリア人差別によって家族を失っているが、性格的に自分の試合とその事とは完全に切り離している。加えて、彼女が言った自分たちの練習環境の不十分さはチームの課題でもあり、あながち間違いとは言い難い。少しでも自分を高めるべく、機会を見つけては勝利のハードルを上げようとするのが彼女なりの工夫だった。
「しかし、試合を楽しむ余裕は、できれば持っておきたいですね」
場の空気を和ませようとしたのか、窓際のジオがそんなことを口にした。意図を察したグリードが、お追従のように「そうだな、そうだぜ」と続き、ギルもここぞとばかりに同意する。ぎこちない笑みを浮かべながら、相手もなかなかやるやつだったと心にもない適当な言葉を並べた。
「ハッキリ言っておくが」
しかし先ほどでは無いにせよ、冷たい声色のティッキーが振り向きもせず口を開く。一同――特にギルと何故かグリード――は反射的に背筋を伸ばし、リーダーの言葉を待つ。
「参加する以上、勝つのが最優先だ。試合を楽しむなどという贅沢ができると思うな。我々は常に勝利を積み重ね、その存在をアピールし続けなければならない。勝てると思った試合ならば全身全霊で勝つべきだ。練習環境を言い訳にするな。まだ工夫の余地はあるはずだ。試合に臨む以上、勝利より優先することなど他にない」
ピシャリといって、それきりティッキーは言葉を発しなかった。三人は顔を見合わせると、無言のまま「この件はここまでにしよう」と同意して、各々大人しくバスに揺られるのだった。
★
空調の効いた部屋で、ティッキーは目を覚ました。消毒液の匂いが最初に鼻をついて、それが合図となったかのように断片的な記憶が甦る。ボールを追いかけてコートの端へ向け全力で走り、届く前に転倒したのだ。その際に頭をぶつけ、脳震盪でも起こしたのだろうと自身の状況を冷静に推察した。
「……ッ!」
身体を動かそうとすると、頭に痛みが走る。するとより鮮明に、転倒したときのことが思い出された。倒れて朦朧とする意識のなか、真っ先に駆け寄ってきたのはイタリアのメンバーではなく、対戦相手の雪咲雅だった。彼女はティッキーの頭を動かさないように気を遣いながら、声を張り上げて審判に指示を飛ばしていた。その姿が、妙にハッキリと記憶に焼き付いている。
「ティッキー?」
彼女が横たわるベッドの傍には、ジオが座っていた。意識を取り戻したのを確認すると、ジオは速やかにナースコールをして医師を呼ぶ。心配そうな表情を浮かべるジオの姿が、ティッキーにはどこか叔父のように見えた。
「試合は」
「残念ですが、僕の判断で棄権しました。怪我は大したことありません」
僕の判断で、という言葉に、ティッキーはジオらしい気遣いを感じる。もし少しティッキーの意識がハッキリしていたら、恐らく彼女は続行を希望しただろう。いや、もしかすると覚えていないだけでそう言ったのかもしれない。それを、ジオが静止したような気がした。
「初戦は敗北、か。情けない」
思わず、弱音を零すティッキー。セットカウントを先行しておきながら、無理をして自滅するというのは、これまで経験したことがない。劣勢であったならまだしも、あそこで無理をする必要はどこにもなかったと、冷静な今でこそ思える。
「しかし恐らく……いや、今は休んで下さい。大会はまだ二日目です」
ジオが優しくそういうと、まるでティッキーは催眠にでもかかったかのように、再び意識を失う。緊張の糸がほどけたのか、すぐに小さな寝息を立て始めた。大会出場のためにイタリアを出発してからも、本当の意味で心を休められる時間は極僅かだったのだ。ティッキーの様子を見るに、恐らく見た目以上に疲れが溜まっていたのだろうとジオは思った。
やってきた医師に事情を説明すると、ジオは病室を出た。廊下には、赤い縁の眼鏡をかけたビアンコと、剃り込みの入った坊主頭の屈強そうな男が控えている。二人とも、ジオの父親の組織が用意してくれた心強い味方だ。
「ビアンコ、アルマージ、警護はお願いします」
二人は無言で頷き、ジオを見送った。
国際ジュニア団体戦 大会二日目
予選リーグDブロック 第2試合 日本 VS イタリア
男子ダブルス 〇イタリア(7-5、6-7、6-4)
女子ダブルス 〇日本 (6-4、6-3)
混合ダブルス 〇日本 (3-6、7-5、6-3)
男子シングルス 〇イタリア(7-5、6-2)
女子シングルス 〇日本(6-7、6-4、RET)
日本3勝2敗、イタリア2勝3敗
勝利チーム:日本
続く
サーブからの連撃でミヤビをコートの外へ追い出したティッキーだったが、ミヤビが見事な立ち回りでカウンターを成功させた。続くポイントでも、隙と呼ぶには余りにも些細な間隙を突いたミヤビがポイントを奪う。ゲーム冒頭にポイントを連取されてしまったティッキーは、相手のプレーを内心で賞賛しながらも、自分の身体に僅かばかりの小さな違和感を覚えた。
(さすがに、少し疲労があるか)
シューズの爪先で、コートをノックするように足の具合を確かめるティッキー。既に通算で、21ゲームを終えている。加えて、1ポイントのやり取りが徐々に長くなりつつある。自身の決定力が落ち始め、相手の守備がリズムに乗っている証拠だろうと推察するが、それ以上にミヤビのパフォーマンスが意外なほど落ちない。
(むしろここへ来て、威力が増している)
1stセットで熱戦を繰り広げたことで、お互いの手の内についてはおおよそ見当はついている。相手の最大火力、阻止限界点、得意なシチュエーション、苦手な場面を補う手段など、ティッキーもミヤビも出し惜しみなく晒している。それでいて、相手の戦意は未だ意気軒高。プレーの質の高さもさることながら、そのメンタルの強さにもティッキーは胸中で舌を巻いた。
(イタリアでの活動を再開して以降、ここまでの強敵はいなかったな)
ティッキーが攻撃的なスタイルを選んだのは、それが最も効率的だと感じているからだ。試合という勝負の場において、様子を見たり相手の出方を窺うということを彼女はしない。恵まれた体格を活かして先制攻撃を仕掛け、ひたすら連撃を重ねて行く。そうすることでまず相手の気持ちを守備的に追い込む。コイツはヤバイと思わせ、精神的なイニシアチブを強奪するのだ。そうすることで相手の戦意を挫き、最悪を想定させ、普段通りのプレーをさせずに押し切る。相手がどんなプレースタイルであろうと、それを貫くことで自身の覚悟を示すように。そういうプレーをするようになってから、彼女は現在まで敗北を知らない。だがその代わり、フルセットはもちろん、1試合で20ゲーム以上に渡る試合経験がティッキーは無かった。
(大したヤツだ、本当に。試合前、昔の話を持ち出したのも全く無意味だったな。人の良い日本人なら、昔を思い出そうとして少なからず隙ができると思ったが。あくまで目の前の試合に集中し、全力で掛かってくる。ここまでやって気持ちが守りに入らないのは賞賛に値する。――だが)
ティッキーがサーブを放ち、同時にネットへ向けて前進する。これまで一度もやっていなかったサーブ&ボレーでの強襲。ポイントを先行されていようと関係ない。相手のメンタルがどれほど強かろうと関係ない。攻めて攻めて攻める。付け入る隙を与えない、あくまで主導権は自分が握り、相手に譲歩するよう態度で示す。一貫してそれを突き通さなければ、世界はあっという間に、分厚い壁をもって立ち塞がるだろう。自分たちは、進むしかないのだ。
(勝つのは我々だ。我々は勝たねばならない)
ネットへ詰めたティッキーを視認したミヤビ。瞬時に判断し、もっともティッキーがボレーし辛いであろう非利き手側のボディを狙い打つ。だが、彼女がそこを狙うのをティッキーは想定済み。身体を逃がしながら、全身で翻るように打ち流す。
(運命よ、そこをどけ。私が通る――ッ!)
★
(ここで前!? どんな度胸してんの!)
予想していなかったティッキーのサーブ&ボレーによって、虚を突かれるミヤビ。ゲームカウント4-4でミヤビの2ポイント先行の場面。仮にミヤビがここを獲れば3つのブレイクポイントとなり、大きくリードできる。普通の神経なら、サーバーはサーブの有利をしっかり活かして、確実にポイントを獲ろうとするのが人情だろう。だが、ティッキーはそうしなかったし、ミヤビも相手が決して守備的にはプレーしないことは承知していた。積極的に自分からポイントを奪いに来るだろうとは思っていたが、まさかリスクの高いサーブ&ボレーを仕掛けてくるとは。咄嗟に一番攻めづらい場所を選択しリターンしたミヤビだが、直後にその選択が間違っていると気付く。相手はここまでどんな場面でもリスクを負って攻撃してくるが、決して無謀な攻撃を乱発するような相手ではない。サーブ&ボレーをする際に注意すべき足元とボディは、当然ながら意識しているはずだ。
(ドロップ? いや、違う!)
ミヤビはティッキーの挙動に反応してしまった結果、サーブの威力を利用して弾くようなリターンをボディに向けて打ってしまった。相手がボールの勢いを殺して、ネット手前に落としてくる可能性を真っ先に警戒したが、即座にそれを否定。恐らくティッキーはミヤビがドロップに反応することを予測している。サーブを打ってから次のボレーまでの時間が極めて短いサーブ&ボレーにおいても、相手は油断なくミヤビの動きを捉えているはずだ。
(拾いに行く――フリ!)
リターンを打ち終えたあと、ミヤビは一歩だけ前へ向けてステップインし、しかし二歩目を踏み出さない。ブレーキをかけて踏みとどまると、シューズが擦れてキュっと高いスキール音が短く響く。一瞬だけ前に行く素振りを見せると、ミヤビはティッキーが打つボレーを見極めた。自ら後手に回りつつも、相手の狙いを看破して後の先を奪う。案の定、ティッキーはドロップを打つ素振りを見せただけ。厚い当たりでフラット気味のボレーを、コートの奥へ向けて押し込んできた。
(届け!)
リターンの威力を利用したティッキーのボレーは、真っ直ぐで低弾道。回転よりも推進力にエネルギーを注ぎ、バウンドしたあとも失速せず球威は衰えない。ミヤビはその瞳にボールを映しながら、どんな角度でどう跳ねるのかを無意識に予測。その予測に準じた応対を反射的に導き、脳の判断を待たず身体が先に始動する。ラケットの先端でどうにかボールを捉え、柔らかい手首をしならせ辛うじて引っ張り上げた。
「ッ!」
ミヤビがラケットを振った際、ボールがフレームに引っ掛かる。クリーンな当たりではないがゆえに、ミヤビのイメージした返球ではない。打った本人さえも予測不能な推進方向と回転で、ボールが高く打ち上がる。奇しくもそれは完全にティッキーの虚を突き、更には守備範囲を越え、それでいてコートへ収まる軌道を描いた。
「オオォォッ!」
ボールがティッキーの頭上を越えた瞬間、彼女は腹の底から唸り声を上げ、反転してボールを追う。ネットに詰めたことが仇となり、ボールとの距離はかなりある。だが、彼女は微塵も諦める様子は見せず、必ずボールに追いつき、そして絶対に返球するという意志と覚悟を見せながら全力で走った。彼女の長い手足が大きく振るわれ、まるで地面を縮めるかのようにボールとの距離を詰める。だが、一度バウンドしたボールは不規則な回転で横に逸れ、ティッキーの予想した軌道を外れた。それでも、ティッキーは速度を落とさずボールを追う。
「ティッキー、よせ!」
チームベンチにいたジオが思わず叫ぶ。だが、声は届かない。コートの端へ逃げるように飛んでいくボール。その向かう先には、観客席との境目である低いコンクリートの壁と、少し高い位置で驚きの表情を浮かべて座っている観客の姿。あと少し、あと少しでラケットがボールに届くというところで、ティッキーは自分が今どこにいるかを自覚する。
だが、ティッキーが速度を落とすには、遅すぎた。
★
――仲間を募れ、ティッキー。一人で戦ってはいけない
イタリアテニス協会の役員が自分に向けて告げた言葉の意味を、ティッキーは選手活動を開始して早々に理解、痛感した。彼女が思っている以上に、八百長事件による影響は根強く残っており、それはもはや差別の大義名分と言っても過言ではないほどだった。
イタリアで行われる最大のテニストーナメントであるローマ大会を始めとして、チャレンジャー、フューチャーズといった下部大会すら開催回数は激減し、多くの企業がイタリアテニス界隈から手を引いた。資本主義経済において、金の動きが停滞することは血液が循環しなくなることに等しい。街中のテニスクラブやテニススクールは次々と廃業し、テニスコーチは職を失い、プロ選手の多くは活動を継続しようとイタリアから他国へと帰化するか、或いは引退を余儀なくされた。
しかしそれでも、ティッキー達を支援してくれる団体や人々は少なからず存在した。まず、イタリアテニス協会。次に、当時の世界トップランカーである数名の選手。彼らはテニス界の看板であるがゆえに、大会のインタビューで度々イタリアに関する質問を投げかけられた。メディアが期待したのは、イタリアを批難するような発言を現役のトップ選手がしてくれることだったが、そういった者は存外に少なかったのだ。
「八百長は許されないが、それはイタリアに限った話じゃない、だとよ」
モンテカルロで開催された地方大会からの帰り、バスに揺られながらギルがインタビュー記事を読み上げる。ティッキーはメンバーを集めて結束したあと、チームで欧州の試合を回った。安全の確保はもちろん、一人ではカバーしきれない部分を補うには、チームとして動くのが最も効率的な選択といえたからだ。イタリアテニス協会が全面的にバックアップをしてくれているが、彼らも余裕があるわけではない。当然のことながらティッキーたちに企業スポンサーは付かず、活動資金は常に火の車で、時にはホテルではなくテントを張って滞在費を節約した。
「ご立派だねぇ、そういうなら寄付のひとつでもしやがれってんだ」
後部座席でふんぞり返りながら、吐き捨てるように続けるギル。スポーツ選手は基本的に人気商売であるがゆえ、そう簡単には他者の批判を口にしない。見ようによっては彼らが味方だと言えなくもないが、少し見方を変えればあくまで積極的に敵に回ろうとしないというだけの傍観者だと言える。それがもっとも賢い態度であることは誰の目から見ても明らかだったが、当事者であるイタリアのメンバーからすれば、彼らの言葉は何の力にもなっていないと感じるのも仕方のないことだった。
「彼らはそれでいい。テニス界を牽引し続けるのが、彼らの役目だ」
しかし、ひとつ前の席に座るティッキーは気にする様子もなく、タブレット端末で何やら作業を続けている。積極的に敵になろうとしないということは、消極的ではあるが味方だとも言えると彼女は考えている。無用な混乱が起こらないよう中立を示すことが、ティッキー達にとっては好都合だ。逆に、変にイタリアの肩を持つような発言をする者がいるとしたら、それは返って危ないとさえ考えていた。
「それよりギル、今日の試合はなんだ」
作業の手を止めて振り向いたティッキーが、やや声を尖らせた。それを聞いたギルは悪戯がバレた子供のような表情を浮かべ、左隣にいるムーディに視線を向けて助けを求める。だが、ムーディは目線に気付きながらも素知らぬ顔で応じない。
「オマエならあっさり勝てる相手だった。どういうつもりだ」
ギルは試合で1stセットを先行し、そのまま押し切ろうと思えばできたのにそれをしなかったのだ。相手の実力を完全に見切り、まるで自分のプレーを誇示するようにリスクの高いショットを多用して2ndセットを落とした。相手もそれに気付いており、屈辱的な顔を浮かべながらファイナルセットに挑み、結果タイブレークにまでもつれてしまう。勝敗こそギルがしっかり制したが、どう見ても相手を舐めたプレーだったのは言うまでもない。
「色々試したかったんだって。ホラ、ウチらは練習環境が不十分だろ? 試合で勝たなきゃいけないのは分かってるけど、たまにはフルセットやって身体を慣らしておかねぇとなって。真剣勝負の場でやるフルセットは良い練習になるしさ。だからわざと――」
「お、おい、ギル」
言い訳を口にするギルは、喋りながら今日の自分のプレーにはちゃんとした正当性があったような気がしてきて、つい余計な事を口走ってしまう。右隣にいたグリードに言葉を遮られたギルが、ふとティッキーの顔を見て青ざめる。
「……いや、あの」
「二度とするなよ」
自分を落ち着かせるように唾を飲んだギルが、神妙に頷く。ティッキーは、流れる運河さえ一瞬で凍てつかせるのではないかと思えるほどの冷たい視線でギルを一瞥すると、短く言って作業を再開した。
「っべ~、死ぬかと思った」
「カンペキおめーがワリィ。あとでもう一回謝っとけよ」
小声でグリードと言葉を交わすギル。ギル自身も、八百長事件が引き起こしたイタリア人差別によって家族を失っているが、性格的に自分の試合とその事とは完全に切り離している。加えて、彼女が言った自分たちの練習環境の不十分さはチームの課題でもあり、あながち間違いとは言い難い。少しでも自分を高めるべく、機会を見つけては勝利のハードルを上げようとするのが彼女なりの工夫だった。
「しかし、試合を楽しむ余裕は、できれば持っておきたいですね」
場の空気を和ませようとしたのか、窓際のジオがそんなことを口にした。意図を察したグリードが、お追従のように「そうだな、そうだぜ」と続き、ギルもここぞとばかりに同意する。ぎこちない笑みを浮かべながら、相手もなかなかやるやつだったと心にもない適当な言葉を並べた。
「ハッキリ言っておくが」
しかし先ほどでは無いにせよ、冷たい声色のティッキーが振り向きもせず口を開く。一同――特にギルと何故かグリード――は反射的に背筋を伸ばし、リーダーの言葉を待つ。
「参加する以上、勝つのが最優先だ。試合を楽しむなどという贅沢ができると思うな。我々は常に勝利を積み重ね、その存在をアピールし続けなければならない。勝てると思った試合ならば全身全霊で勝つべきだ。練習環境を言い訳にするな。まだ工夫の余地はあるはずだ。試合に臨む以上、勝利より優先することなど他にない」
ピシャリといって、それきりティッキーは言葉を発しなかった。三人は顔を見合わせると、無言のまま「この件はここまでにしよう」と同意して、各々大人しくバスに揺られるのだった。
★
空調の効いた部屋で、ティッキーは目を覚ました。消毒液の匂いが最初に鼻をついて、それが合図となったかのように断片的な記憶が甦る。ボールを追いかけてコートの端へ向け全力で走り、届く前に転倒したのだ。その際に頭をぶつけ、脳震盪でも起こしたのだろうと自身の状況を冷静に推察した。
「……ッ!」
身体を動かそうとすると、頭に痛みが走る。するとより鮮明に、転倒したときのことが思い出された。倒れて朦朧とする意識のなか、真っ先に駆け寄ってきたのはイタリアのメンバーではなく、対戦相手の雪咲雅だった。彼女はティッキーの頭を動かさないように気を遣いながら、声を張り上げて審判に指示を飛ばしていた。その姿が、妙にハッキリと記憶に焼き付いている。
「ティッキー?」
彼女が横たわるベッドの傍には、ジオが座っていた。意識を取り戻したのを確認すると、ジオは速やかにナースコールをして医師を呼ぶ。心配そうな表情を浮かべるジオの姿が、ティッキーにはどこか叔父のように見えた。
「試合は」
「残念ですが、僕の判断で棄権しました。怪我は大したことありません」
僕の判断で、という言葉に、ティッキーはジオらしい気遣いを感じる。もし少しティッキーの意識がハッキリしていたら、恐らく彼女は続行を希望しただろう。いや、もしかすると覚えていないだけでそう言ったのかもしれない。それを、ジオが静止したような気がした。
「初戦は敗北、か。情けない」
思わず、弱音を零すティッキー。セットカウントを先行しておきながら、無理をして自滅するというのは、これまで経験したことがない。劣勢であったならまだしも、あそこで無理をする必要はどこにもなかったと、冷静な今でこそ思える。
「しかし恐らく……いや、今は休んで下さい。大会はまだ二日目です」
ジオが優しくそういうと、まるでティッキーは催眠にでもかかったかのように、再び意識を失う。緊張の糸がほどけたのか、すぐに小さな寝息を立て始めた。大会出場のためにイタリアを出発してからも、本当の意味で心を休められる時間は極僅かだったのだ。ティッキーの様子を見るに、恐らく見た目以上に疲れが溜まっていたのだろうとジオは思った。
やってきた医師に事情を説明すると、ジオは病室を出た。廊下には、赤い縁の眼鏡をかけたビアンコと、剃り込みの入った坊主頭の屈強そうな男が控えている。二人とも、ジオの父親の組織が用意してくれた心強い味方だ。
「ビアンコ、アルマージ、警護はお願いします」
二人は無言で頷き、ジオを見送った。
国際ジュニア団体戦 大会二日目
予選リーグDブロック 第2試合 日本 VS イタリア
男子ダブルス 〇イタリア(7-5、6-7、6-4)
女子ダブルス 〇日本 (6-4、6-3)
混合ダブルス 〇日本 (3-6、7-5、6-3)
男子シングルス 〇イタリア(7-5、6-2)
女子シングルス 〇日本(6-7、6-4、RET)
日本3勝2敗、イタリア2勝3敗
勝利チーム:日本
続く
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