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032 壮行会
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こうちゃんは泣いて喜んだ。
こんな偶然があるのかと。
いや、これは偶然ではない。
みーたんの努力である。
みーたんは、あの時に背負った大きな十字架を、少しだけ下ろして休憩して良いと、神様に言われた気がしていた。
この3年間だけは。
赴任時期に差はあるものの、ほぼ3年間同じ土地で暮らせることになった。
かつてあんなに苦しんだ2人に、神様は大きな贈り物をくださった。
大学時代の仲間が壮行会を開いてくれた。
「こんなことってある???」
「なんか昔を思い出すなぁ。」
「おいっ!」
こうちゃんはみんなに言った。
「みんな、長い間、気を遣ってくれてありがとう。記憶はまだ戻らないけど、もう大丈夫だよ。あまり深く突っ込んで聞かれると、思い出せないことが苦しいことはあるけど、そのくらいだから。」
拍手がわきおこり、男子でも女子でも涙する人もいた。
「ところで2人ともお子さんもいるのに、家族はよく承諾したね。」
「子どものことは大切にケアしていこうと思ってる。」
「いや、それもそうだけど、まさか元恋人がそんな、、、」
「おいっ!無粋なこと言うなよ。」
「いや、気になるよね、みんなね。」
みーたんが聡明な声で切り出した。
「私たちはね、家族以上っていうか、いや、恋人以上家族未満、いや、うまく言えないけど、心で握手できてるの。いや、できたの。みんなのおかげで。」
「心で握手???」
「うん。他人に説明するのは難しい。でもね、信頼関係の強いやつみたいな感じかな。」
「あのー、酔ってきたので聞いちゃいますけど、不倫することはないってこと?」
「私たちが?あるわけ無いじゃない。でも私たちは、家族も愛するし、お互いのことも愛してるわよ。あっ、、、」
「今の愛してるって、すごい美しい言葉。私、泣けてきたぁ。みーたんたち、すごいよ!」
楽しくお開きになった。
みーたんもこうちゃんも友だちに嘘をついてはいない。
彼らは不倫している感覚は皆無だから。
「心で握手して愛し合ってる」とは、みーたんも良く言ったものだ。
みんなに応援され赴任するはずが、一人だけ反対する人がいた。
みーたんの母である。
無論、こうちゃんのことは知らないのに。
「旦那と子どもを置いて何年も海外に行くだなんて、どこにそんな妻や母がいるんだい!」
「お母さん、うちの家族は理解してくれてるよ。」
「それでも私は理解しないよ。なんだか嫌なんだよ。そうじゃなくても、、」
「なに?」
「あんた浮気してるだろ?ここだけの話。誰にも言わないよ。」
「え?そんなことないよ。」
「他の男と会ったりしていないかい?」
「え?誰と?なんの話?」
「それならいいけど、私の考えすぎかね。」
こうして、2人それぞれの赴任準備が進んでいった。
こんな偶然があるのかと。
いや、これは偶然ではない。
みーたんの努力である。
みーたんは、あの時に背負った大きな十字架を、少しだけ下ろして休憩して良いと、神様に言われた気がしていた。
この3年間だけは。
赴任時期に差はあるものの、ほぼ3年間同じ土地で暮らせることになった。
かつてあんなに苦しんだ2人に、神様は大きな贈り物をくださった。
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「こんなことってある???」
「なんか昔を思い出すなぁ。」
「おいっ!」
こうちゃんはみんなに言った。
「みんな、長い間、気を遣ってくれてありがとう。記憶はまだ戻らないけど、もう大丈夫だよ。あまり深く突っ込んで聞かれると、思い出せないことが苦しいことはあるけど、そのくらいだから。」
拍手がわきおこり、男子でも女子でも涙する人もいた。
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「おいっ!無粋なこと言うなよ。」
「いや、気になるよね、みんなね。」
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「私たちはね、家族以上っていうか、いや、恋人以上家族未満、いや、うまく言えないけど、心で握手できてるの。いや、できたの。みんなのおかげで。」
「心で握手???」
「うん。他人に説明するのは難しい。でもね、信頼関係の強いやつみたいな感じかな。」
「あのー、酔ってきたので聞いちゃいますけど、不倫することはないってこと?」
「私たちが?あるわけ無いじゃない。でも私たちは、家族も愛するし、お互いのことも愛してるわよ。あっ、、、」
「今の愛してるって、すごい美しい言葉。私、泣けてきたぁ。みーたんたち、すごいよ!」
楽しくお開きになった。
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