あの頃のあなたに

そら

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不思議な出来事

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 ふと目が覚めると、布団の上にいた。目を開けて一番に入ってきた景色は、白い天井だった。まだ辺りは薄暗い。今が早朝なのか、夕方なのかさえもわからない。だが、この景色は…実家だろうか。実家の、かつて自分の部屋だった場所だ。嫁いだと同時に弟の部屋になったはずだ。まだ薄暗い中、あたりを見渡し携帯電話を探す。しかし、携帯電話はどこにも見当たらなかった。
―あれ、どこかに忘れてきたかな。
暗闇に目が慣れてきて、仕方なく壁にかかったアナログ時計を見ると、時刻は5時。あれ、あれからどうしたっけ。いつの間にか岡山に帰ってきてたっけ。しばらくボーっとしていると、トン、トンと、階段を下りる音が聞こえた。あの足音は母だ。わたしもとりあえず降りてみようと、ベッドから起きだす。そこで若干の違和感を覚えたが、おそらく気のせいだろう。頭がクラクラする。すると、あることに気が付いた。不思議なことに、昔と変わらない部屋の風景だったのだ。昔とは、わたしの小学生のころ。机の上には赤いランドセルが置いてある。卒業式の日に友達からメッセージを書いてもらったランドセルはそこにはなく、つるピカのランドセルだ。
―あれ、おかしい。
わたしの頭は混乱していた。混乱しすぎてさらに頭がクラクラしていた。これは夢だろうか。わたしが低血圧だからだろうか。まさかと思い、そのまさかを確かめようと、ランドセルに手をかける。中身を確認しなければ。
―間違いない。わたしの名前だ…。
ランドセルに入っていたノートと教科書全てに、結婚する前の「三神琴音」の文字が書かれていた。
―え、え。
まさか本当にタイムスリップしたのだろうか。全身の産毛が立ち、鳥肌がたつのを感じた。時刻は5時10分。もしタイムスリップしていたら、どうなるのだろうか。タイムスリップしたことによって何が変わる?わたしがしなければいけないことは――?突然のことに頭が回らない。足の力が抜け座り込む。なんでこうなったんだろう。わたしは純平と神社に行って、願い文を書くところで、それを純平が踏んで手に取って――そのあとの記憶がない。
―うわ、こんなことってあるの。
まだ半信半疑だが、恐らく願い文がきっかけでわたしは過去に戻ったのかもしれない。現実的にはあり得ないが、もしそうだとしたら、今後どうやって生きていけばいいのだろうか。現代に戻れるのだろうか。もしかして、純平と出会って結婚する未来もこないのではないか。
そう考えると恐ろしかった。どうすることもできず泣きそうになったが、夢かもしれない。
とりあえず下に降りて確認してみよう。わたしはドキドキする胸を抑えながら、階段をゆっくりとたしかめるように下りた。
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