1 / 1
コリウス
しおりを挟む
「聞いておきたいことがある。」
23時過ぎの夏は、クーラーをつけなければ汗ばんでしまう。
「わたしのこと、好き?」
夫は寝かかったところでの急な質問に、うとうとしながら答えてくれた。
「うん…。」
まだ眠さが残っていたため、力ない返事がかすかに聞こえた。
沈黙が続く。
梨花は寝そうな夫に悪いと思いながらも、それでも口を開く。
「私が死んだらどうする。」
淡々と質問する。
なぜそんなことを、と夫はだるそうに聞くと、この先何が起こるかわからないからと答えた。
何も答えない夫に、梨花はこれまた冷静に続けた。
「もし自分から死んだら…。」
「死ぬの⁈」
夫は驚いて飛び起きる。
上半身を起こして、こちらをまじまじと見つめている。
梨花は、しないよ、と軽く笑った。
「もししたとしたらどうする?」
「そのときは俺も後を追う。」
梨花は何も言わなかった。
「じゃあ、事故で死んだら?」
夫は少し考えた。
「梨花の分も生きるよ。」
梨花は少し安心したように、冗談ぽく笑う。
「わたしが死んだら花の世話よろしくね。」
夫の愛情がわたしに向いているか、不安だった。
付き合って2か月というスピード結婚をしたわたしたちの間に、たしかな絆はまだ結ばれていなかった。
6月も過ぎた庭は、蒸し暑い。
大きな鉄板で蒸し焼きにされているような感覚を覚えながら、ガーデニングをする。
「これなに?」
暇なのか、家から出てきた夫がわたしの手元を見ながら尋ねる。
「それはコリウス。」
「こんな色の葉っぱに、花なんかつくんだ。」
コリウスはシソのような葉っぱに小さな可愛い花をいくつも咲かせていた。
わたしは笑って答える。
「そうなの。だから、迷ってるところ。」
花をそのままにするか、摘んでカラーリーフプランツにするか、わたしは悩んでいた。
「せっかく咲いた花を摘んじゃうのももったいないよね。」
夫は無関心だという顔をした。
「ほら、花に誘われてくる虫たちもいるんだから。」
「どっちでもいいよ。」
「もう、冷たいな。花全部取っちゃうから。」
夫に抱く想いは、叶わぬ恋心なのだろうか。
彼に好意をもっている女性がわたし以外にいることを、わたしは知っている。
夫の愛を試したくて、ある質問をすることにしたのだった。
23時過ぎの夏は、クーラーをつけなければ汗ばんでしまう。
「わたしのこと、好き?」
夫は寝かかったところでの急な質問に、うとうとしながら答えてくれた。
「うん…。」
まだ眠さが残っていたため、力ない返事がかすかに聞こえた。
沈黙が続く。
梨花は寝そうな夫に悪いと思いながらも、それでも口を開く。
「私が死んだらどうする。」
淡々と質問する。
なぜそんなことを、と夫はだるそうに聞くと、この先何が起こるかわからないからと答えた。
何も答えない夫に、梨花はこれまた冷静に続けた。
「もし自分から死んだら…。」
「死ぬの⁈」
夫は驚いて飛び起きる。
上半身を起こして、こちらをまじまじと見つめている。
梨花は、しないよ、と軽く笑った。
「もししたとしたらどうする?」
「そのときは俺も後を追う。」
梨花は何も言わなかった。
「じゃあ、事故で死んだら?」
夫は少し考えた。
「梨花の分も生きるよ。」
梨花は少し安心したように、冗談ぽく笑う。
「わたしが死んだら花の世話よろしくね。」
夫の愛情がわたしに向いているか、不安だった。
付き合って2か月というスピード結婚をしたわたしたちの間に、たしかな絆はまだ結ばれていなかった。
6月も過ぎた庭は、蒸し暑い。
大きな鉄板で蒸し焼きにされているような感覚を覚えながら、ガーデニングをする。
「これなに?」
暇なのか、家から出てきた夫がわたしの手元を見ながら尋ねる。
「それはコリウス。」
「こんな色の葉っぱに、花なんかつくんだ。」
コリウスはシソのような葉っぱに小さな可愛い花をいくつも咲かせていた。
わたしは笑って答える。
「そうなの。だから、迷ってるところ。」
花をそのままにするか、摘んでカラーリーフプランツにするか、わたしは悩んでいた。
「せっかく咲いた花を摘んじゃうのももったいないよね。」
夫は無関心だという顔をした。
「ほら、花に誘われてくる虫たちもいるんだから。」
「どっちでもいいよ。」
「もう、冷たいな。花全部取っちゃうから。」
夫に抱く想いは、叶わぬ恋心なのだろうか。
彼に好意をもっている女性がわたし以外にいることを、わたしは知っている。
夫の愛を試したくて、ある質問をすることにしたのだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる