5 / 44
第五話 鍛冶師としての本領
しおりを挟む
次の日から本格的にガテンさんのところで鍛冶の修業が始まった。修行の時間は午前中と訓練後にしてもらった。 午前中は座学があるが、座学のほとんどは魔法に関するものや戦術に関する講義とあまり関係のないものばかりでクラスの何人かは、それよりも武器の修練をしたいと言い出し、それ以降講義を受けるかどうかは任意になった。俺はその時間を利用して、こうして修行の時間に当てている。そして夜には刻印魔法の勉強とかなりハードな生活を送っている。
始めは使う工具の説明からだった。ハンマーにも様々な種類があり頭が丸いものや平たいもの、尖ったものなど用途はいまいち分からない。さらに鍛冶で最も有名な金床と大きな炉。
次に武器となる素材選びを教えてもらった。
目の前に三つの鉄塊が並んでいる。
「坊主、この中で一番質がいい鉄はどれだと思う」
というかいつの間にか俺のこと小僧呼ばわりかよ。まぁガテンさんは師匠みたいなもんだしいいか。
俺は並べられた鉄塊を見た。見た目は全く一緒。手に取ってみると何故か『武器性能』が発動した。どうやらこれ武器の素材にも反応するらしく武器と同様に攻撃力と耐久度が表示された。俺は3つの中で最も耐久度が高いものを選んだ。
「これか、悪くない。だが俺ならこれを選ぶ」
ガテンさんが選んだのは三つの中で最も耐久度が低く攻撃力の高いものだった。
「どうしてそれなんですか?」
「これが最もいい武器になるからだ」
もしかして肝心な時に感覚だったりするんだろうか? みんながみんな俺みたいに素材の性能が分かるわけじゃないのに。
「というのは嘘だ。理由としては小僧が選んだのは恐らくこの中で一番固いものだ。だがそれでは武器に加工する際どうしても加工しづらくなっちまう。それに比べこれは脆過ぎず固すぎない。つまりこの中で一番加工がしやすい」
「でもそれではすぐに武器が壊れてしまうのではないのですか?」
「そこは鍛冶師の技量でどうにでもなる」
なるほど。鍛冶師としての自信がこの鉄塊がいい武器になるという結論を生んでいるのか。
「見分け方だがその鉄塊に比べこっちの方がきめが粗いのが分かるだろう」
・・・・分からん。きめが粗いのかもしれんが大きな違いが全く分からん。それこそ長年の経験の差なのかもしれん。
それからは時間になるまで延々と三択のクイズの時間だった。始めは耐久度が最も低いものを選んでいたが徐々に間違いが増えてきた。耐久度にもセーフラインがあり恐らく平均百で前後十五程度がセーフラインだとわかった。
お昼時になり一度城に戻った。そこから4時間みっちり訓練をし、また武器屋に戻る。
始めの三日は体がへとへとになっていた。日にちを重ねるごとに慣れていき一週間もすれば疲れを感じにくくなっていた。その期間も三択クイズは続き、有に千問はやったであろう頃に
「おやじ居るか」
店の方から声がして出てみると何か獣の皮の装備をした男が入って来た。男は短剣を渡し、しばらくガテンさんと話をすると短剣を預けて店を後にした。
「修理の依頼ですか」
「ああ。流石に武器を売るだけでは商売にならんから修理も請け負っている」
ガテンさんはじっと武器を見た。一見すると修理するほどの傷があるようには見えなかった。
「小僧、お前この武器のどこを修理すればいいか分かるか?」
俺は武器を手に取り性能を見た。
鉄の短剣
「攻撃力」20/23 「耐久度」48/60
「重量」5
「特殊効果」 なし
がこれと言っておかしなところはなかった。やや耐久度が低いように感じたがそれでも使えないほどではなかった。
「分かりません」
「この武器を持ってきた男を見たか?」
「はい、見ました」
「その男の装備を見てどう思った?」
装備?装備していたのは胸には鉄製の胸当てをしていた。それ以外は獣の皮の装備をしており、特におかしなところはなかったはずだ。
「長年鍛冶師をしているとその武器を使っている奴がどんな奴なのかは大体わかるようになる。さっきの男は装備からして速度を活かした戦い方をする冒険者だ。そういうやつは決まって魔物の急所を狙って攻撃をする。だから少しでも先端が欠けていたり、丸くなると修理に出す」
ガテンさんは砥石を取り出し短剣を研ぎ始めた。その顔は真剣そのものであり、周りの音が一切聞こえていないようだった。
小一時間ほど研ぎ続けその間ガテンさんが短剣から目を離すことはなかった。完成した短剣を触らせてもらうと刃は透き通っているように美しく輝いており刃に反射され俺の顔がはっきりと映し出される。
性能を見ると元の性能よりも明らかに上がっていた。
鉄の短剣
「攻撃力」23+7/23 「耐久度」52/60
「重量」5
「特殊効果」 なし
その日は後片付けをして店を閉めた。
それから一週間同じような日々が続いた。今では鉄塊以外にも鋼塊や銅塊の見分けまでクリアした。
そしてやっと次のステップとして研磨のやり方を教わった。重要なのは正しい目利きと正しい処置。武器を見てそれがどんな人物に使われているかと、そのためにはどこを直せばいいかを考えることが重要だと教わった。
だがここで一つ問題が発生した。俺が練習をするための武器がないことだった。そこで俺はジルバルさんに頼み、訓練用の使わなくなった武器を格安で買い取ることにした。訓練でもレベルが上がるらしく現在では3レべまであがりその時のスキルポイントでは少ないが『アイテムボックスⅠ』を手に入れた。これも鍛冶師には全く関係ないが非常に便利ではある。
効果として異空間に五つまでアイテムを保管でき、同名であれば一つにまとめてくれる。
なんとか練習用の武器も手に入り武器屋に行っては延々と武器を研いでいる。ここは鍛冶師という職業のおかげか技術の呑み込みが早い。
研磨はあっという間にマスターすることが出来た
始めは使う工具の説明からだった。ハンマーにも様々な種類があり頭が丸いものや平たいもの、尖ったものなど用途はいまいち分からない。さらに鍛冶で最も有名な金床と大きな炉。
次に武器となる素材選びを教えてもらった。
目の前に三つの鉄塊が並んでいる。
「坊主、この中で一番質がいい鉄はどれだと思う」
というかいつの間にか俺のこと小僧呼ばわりかよ。まぁガテンさんは師匠みたいなもんだしいいか。
俺は並べられた鉄塊を見た。見た目は全く一緒。手に取ってみると何故か『武器性能』が発動した。どうやらこれ武器の素材にも反応するらしく武器と同様に攻撃力と耐久度が表示された。俺は3つの中で最も耐久度が高いものを選んだ。
「これか、悪くない。だが俺ならこれを選ぶ」
ガテンさんが選んだのは三つの中で最も耐久度が低く攻撃力の高いものだった。
「どうしてそれなんですか?」
「これが最もいい武器になるからだ」
もしかして肝心な時に感覚だったりするんだろうか? みんながみんな俺みたいに素材の性能が分かるわけじゃないのに。
「というのは嘘だ。理由としては小僧が選んだのは恐らくこの中で一番固いものだ。だがそれでは武器に加工する際どうしても加工しづらくなっちまう。それに比べこれは脆過ぎず固すぎない。つまりこの中で一番加工がしやすい」
「でもそれではすぐに武器が壊れてしまうのではないのですか?」
「そこは鍛冶師の技量でどうにでもなる」
なるほど。鍛冶師としての自信がこの鉄塊がいい武器になるという結論を生んでいるのか。
「見分け方だがその鉄塊に比べこっちの方がきめが粗いのが分かるだろう」
・・・・分からん。きめが粗いのかもしれんが大きな違いが全く分からん。それこそ長年の経験の差なのかもしれん。
それからは時間になるまで延々と三択のクイズの時間だった。始めは耐久度が最も低いものを選んでいたが徐々に間違いが増えてきた。耐久度にもセーフラインがあり恐らく平均百で前後十五程度がセーフラインだとわかった。
お昼時になり一度城に戻った。そこから4時間みっちり訓練をし、また武器屋に戻る。
始めの三日は体がへとへとになっていた。日にちを重ねるごとに慣れていき一週間もすれば疲れを感じにくくなっていた。その期間も三択クイズは続き、有に千問はやったであろう頃に
「おやじ居るか」
店の方から声がして出てみると何か獣の皮の装備をした男が入って来た。男は短剣を渡し、しばらくガテンさんと話をすると短剣を預けて店を後にした。
「修理の依頼ですか」
「ああ。流石に武器を売るだけでは商売にならんから修理も請け負っている」
ガテンさんはじっと武器を見た。一見すると修理するほどの傷があるようには見えなかった。
「小僧、お前この武器のどこを修理すればいいか分かるか?」
俺は武器を手に取り性能を見た。
鉄の短剣
「攻撃力」20/23 「耐久度」48/60
「重量」5
「特殊効果」 なし
がこれと言っておかしなところはなかった。やや耐久度が低いように感じたがそれでも使えないほどではなかった。
「分かりません」
「この武器を持ってきた男を見たか?」
「はい、見ました」
「その男の装備を見てどう思った?」
装備?装備していたのは胸には鉄製の胸当てをしていた。それ以外は獣の皮の装備をしており、特におかしなところはなかったはずだ。
「長年鍛冶師をしているとその武器を使っている奴がどんな奴なのかは大体わかるようになる。さっきの男は装備からして速度を活かした戦い方をする冒険者だ。そういうやつは決まって魔物の急所を狙って攻撃をする。だから少しでも先端が欠けていたり、丸くなると修理に出す」
ガテンさんは砥石を取り出し短剣を研ぎ始めた。その顔は真剣そのものであり、周りの音が一切聞こえていないようだった。
小一時間ほど研ぎ続けその間ガテンさんが短剣から目を離すことはなかった。完成した短剣を触らせてもらうと刃は透き通っているように美しく輝いており刃に反射され俺の顔がはっきりと映し出される。
性能を見ると元の性能よりも明らかに上がっていた。
鉄の短剣
「攻撃力」23+7/23 「耐久度」52/60
「重量」5
「特殊効果」 なし
その日は後片付けをして店を閉めた。
それから一週間同じような日々が続いた。今では鉄塊以外にも鋼塊や銅塊の見分けまでクリアした。
そしてやっと次のステップとして研磨のやり方を教わった。重要なのは正しい目利きと正しい処置。武器を見てそれがどんな人物に使われているかと、そのためにはどこを直せばいいかを考えることが重要だと教わった。
だがここで一つ問題が発生した。俺が練習をするための武器がないことだった。そこで俺はジルバルさんに頼み、訓練用の使わなくなった武器を格安で買い取ることにした。訓練でもレベルが上がるらしく現在では3レべまであがりその時のスキルポイントでは少ないが『アイテムボックスⅠ』を手に入れた。これも鍛冶師には全く関係ないが非常に便利ではある。
効果として異空間に五つまでアイテムを保管でき、同名であれば一つにまとめてくれる。
なんとか練習用の武器も手に入り武器屋に行っては延々と武器を研いでいる。ここは鍛冶師という職業のおかげか技術の呑み込みが早い。
研磨はあっという間にマスターすることが出来た
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
234
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる