17 / 65
17 ようやく一息
しおりを挟む
リックの家を掃除して2週間が経過した。
虫の残骸を片付け、ヤバい物︵女子に見られたらマズい物︶を始末し終えてから、数回バ○サンを使ってからタバサも参加。
磨き粉や虫除けもガッツリ使用しながら、頑張ったと思う。
タバサが住める様に心地良い場所を作るのが最終目標だからな。
みんな力がこもったよ。
こっちの世界の掃除に必要な物品の勉強にもなったしな。
タバサと買い出しに出て、だいたいの金額もわかって来たし。
異世界始めのチュートリアルと思えば、耐えきれる。
「よし……これで掃除は終わりだな」
「やっと終わったかぁ……ありがとう、タバサ、ソブル」
「2人共、よく頑張ったな」
その瞬間、後ろから大歓声が聞こえてきた。
ここ数日で、徐々に見学者が増えてたんだよ。
暇人の集まりかと思えば、それだけではなさそうだ。
「あの家をよく掃除しきったな!!」
「無念を晴らしてくれて、ありがとぉ!!」
「仲介屋めっ!ザマァ見やがれってんだ!」
「おめでとうぉ~!!」
……歴代の購入者達だったようだ。
多分、リックと同じ流れで購入させられて、手放して……だと思う。
見た目、御屋敷かな?って感じの家が、格安で購入できるとなれば買っちゃうよね……
ただ、イエナイ事情さえクリア出来ればって話。
「おう!お疲れ!」
「なんだ、ビルまで来てたのかよ……まさかビルも引っ掛かった口か?」
「それはないが。ギルドの塩漬け案件に協力を願いに来たってだけさ」
「……いい予感は、しねぇなぁ」
掃除を完了させて、ヒャッホイ状況に来る依頼。
しかも、塩漬け依頼と来たもんだ。
完全にキレイキレイ依頼しかないだろう。
「私はダメだ。絶対に関わらん!」
タバサがNOを出した。
不潔大好き虫が大量にいるとなれば、倒れるだろうな。
「俺もタバサも、そろそろ討伐依頼に行く予定だったからなっ。腕がなまっちまうからなっ」
リック……そんな焦って拒否しなくとも。
いや、わかるぞ?
掃除オンリーでアレだけ憔悴してればなぁ。
日々コツコツ掃除する事を神とタバサに誓う位は大変だったもんなぁ。
「あっ、俺も、」
「いやぁ、ソブル。お前の腕の見せ所だ。俺への恩、忘れてねぇだろ?」
「ビルぅ……お前ぇ、そりゃあねぇだろぅ……絶対ぇ厄介なヤツだろぅがよぉ~」
「まぁ、そう言うな。お前の腕を見込んでだ。町の皆が不安視してたリックの家をここまで磨きあげたんだからな」
ん?リックとタバサが唖然としてるぞ?
「なっ……ビル……」
「まっ……町の……みんな……?」
なんか小刻みに震えているぞ?
大丈夫か?
「まぁ、そうだ。町でも有名な不良物件だからな」
だろうな。
イエナイ不良物件だ。
中心部からさほど遠くなく、庭付きであるにも関わらず手入れしていない。
しかも手頃な値段で売りに出されてる。
間違いなく、厄介な家だ。
みんな警戒してても、おかしくないな。
「俺……俺達……」
「全然……知らなかった……」
「おう。この町以外から来た奴等はまず騙されるな。あと、甘く見てた奴等がな。まっ、それも人生勉強だな」
「「あぁ……」」
「っと言う訳だ」
随分悲惨な勉強方法だな。
2人共に、膝から崩れ落ちてるよ。
「その気持ちわかるぞぉ……」
「俺らもよぉ……」
「へっ、高い勉強料だったぜ……」
一緒になって涙ぐんでる集団は、騙された側か。
そりゃ、胸に込み上げる何かもあるな。
「まっ、戦い以外の依頼だから、お前がやってくれりゃあ助かるって話なんだが?」
「話進めんのかよ……まぁ、ありがたくはあるな。住む場所も金もねぇからな~」
「だろ?採取依頼だけだと行き詰まっちまうからな?」
「だな。今からか?」
「いや、明日以降で構わんさ」
「おう。わかった」
手を上げ、別れの挨拶を交わすと、ビルは去っていった。
見学者達も解散し、抜け殻の2人だけが残っている。
「お~い、2人共。そろそろ戻って来いや」
「だって……だってよ?」
「……」
「タバサがまだどっかに飛んでるな……まぁ、そう言う訳だから、金を稼ぎに行くが……しばらく厄介になっても良いだろうか?」
「それは構わないぞ?もともと、そのつもりだったし」
どうやらリックは、かなりのお人好しだった様だ。
だから騙されるんだぞ?とは言えないな。イエナイ。
ぷふっ。
「ありがたいが、ずっとはダメだろ?俺は新婚家庭に居据わる勇気は無いからな」
「「なっ、なっ?!」」
「おっ、タバサお帰り。それでだ。蓄えがあれば、少し家に手を加えておいた方がいいぞ?これから長く暮らすんだろ?2人で」
「「あっ、いや、うっ」」
「壁や柱、建付け関係と床や水回り、屋根なんかも修理依頼しといた方がいいな。そこは、2人で話し合って行けばいいがな。今のままじゃちょっとな?」
「「あぁ……」」
「まぁ、なんだ。頑張れよ?」
「お、おう!」
「そんじゃぁ、洗濯物だな」
「ん?」
「ん?じゃねぇよ。洗濯して汚れを流しきるんだよ!」
「……だな。手伝えよ?リック」
「タバサ……わかったよぉ……」
これで今日は、良い香りの布団で眠れそうだな。
虫の残骸を片付け、ヤバい物︵女子に見られたらマズい物︶を始末し終えてから、数回バ○サンを使ってからタバサも参加。
磨き粉や虫除けもガッツリ使用しながら、頑張ったと思う。
タバサが住める様に心地良い場所を作るのが最終目標だからな。
みんな力がこもったよ。
こっちの世界の掃除に必要な物品の勉強にもなったしな。
タバサと買い出しに出て、だいたいの金額もわかって来たし。
異世界始めのチュートリアルと思えば、耐えきれる。
「よし……これで掃除は終わりだな」
「やっと終わったかぁ……ありがとう、タバサ、ソブル」
「2人共、よく頑張ったな」
その瞬間、後ろから大歓声が聞こえてきた。
ここ数日で、徐々に見学者が増えてたんだよ。
暇人の集まりかと思えば、それだけではなさそうだ。
「あの家をよく掃除しきったな!!」
「無念を晴らしてくれて、ありがとぉ!!」
「仲介屋めっ!ザマァ見やがれってんだ!」
「おめでとうぉ~!!」
……歴代の購入者達だったようだ。
多分、リックと同じ流れで購入させられて、手放して……だと思う。
見た目、御屋敷かな?って感じの家が、格安で購入できるとなれば買っちゃうよね……
ただ、イエナイ事情さえクリア出来ればって話。
「おう!お疲れ!」
「なんだ、ビルまで来てたのかよ……まさかビルも引っ掛かった口か?」
「それはないが。ギルドの塩漬け案件に協力を願いに来たってだけさ」
「……いい予感は、しねぇなぁ」
掃除を完了させて、ヒャッホイ状況に来る依頼。
しかも、塩漬け依頼と来たもんだ。
完全にキレイキレイ依頼しかないだろう。
「私はダメだ。絶対に関わらん!」
タバサがNOを出した。
不潔大好き虫が大量にいるとなれば、倒れるだろうな。
「俺もタバサも、そろそろ討伐依頼に行く予定だったからなっ。腕がなまっちまうからなっ」
リック……そんな焦って拒否しなくとも。
いや、わかるぞ?
掃除オンリーでアレだけ憔悴してればなぁ。
日々コツコツ掃除する事を神とタバサに誓う位は大変だったもんなぁ。
「あっ、俺も、」
「いやぁ、ソブル。お前の腕の見せ所だ。俺への恩、忘れてねぇだろ?」
「ビルぅ……お前ぇ、そりゃあねぇだろぅ……絶対ぇ厄介なヤツだろぅがよぉ~」
「まぁ、そう言うな。お前の腕を見込んでだ。町の皆が不安視してたリックの家をここまで磨きあげたんだからな」
ん?リックとタバサが唖然としてるぞ?
「なっ……ビル……」
「まっ……町の……みんな……?」
なんか小刻みに震えているぞ?
大丈夫か?
「まぁ、そうだ。町でも有名な不良物件だからな」
だろうな。
イエナイ不良物件だ。
中心部からさほど遠くなく、庭付きであるにも関わらず手入れしていない。
しかも手頃な値段で売りに出されてる。
間違いなく、厄介な家だ。
みんな警戒してても、おかしくないな。
「俺……俺達……」
「全然……知らなかった……」
「おう。この町以外から来た奴等はまず騙されるな。あと、甘く見てた奴等がな。まっ、それも人生勉強だな」
「「あぁ……」」
「っと言う訳だ」
随分悲惨な勉強方法だな。
2人共に、膝から崩れ落ちてるよ。
「その気持ちわかるぞぉ……」
「俺らもよぉ……」
「へっ、高い勉強料だったぜ……」
一緒になって涙ぐんでる集団は、騙された側か。
そりゃ、胸に込み上げる何かもあるな。
「まっ、戦い以外の依頼だから、お前がやってくれりゃあ助かるって話なんだが?」
「話進めんのかよ……まぁ、ありがたくはあるな。住む場所も金もねぇからな~」
「だろ?採取依頼だけだと行き詰まっちまうからな?」
「だな。今からか?」
「いや、明日以降で構わんさ」
「おう。わかった」
手を上げ、別れの挨拶を交わすと、ビルは去っていった。
見学者達も解散し、抜け殻の2人だけが残っている。
「お~い、2人共。そろそろ戻って来いや」
「だって……だってよ?」
「……」
「タバサがまだどっかに飛んでるな……まぁ、そう言う訳だから、金を稼ぎに行くが……しばらく厄介になっても良いだろうか?」
「それは構わないぞ?もともと、そのつもりだったし」
どうやらリックは、かなりのお人好しだった様だ。
だから騙されるんだぞ?とは言えないな。イエナイ。
ぷふっ。
「ありがたいが、ずっとはダメだろ?俺は新婚家庭に居据わる勇気は無いからな」
「「なっ、なっ?!」」
「おっ、タバサお帰り。それでだ。蓄えがあれば、少し家に手を加えておいた方がいいぞ?これから長く暮らすんだろ?2人で」
「「あっ、いや、うっ」」
「壁や柱、建付け関係と床や水回り、屋根なんかも修理依頼しといた方がいいな。そこは、2人で話し合って行けばいいがな。今のままじゃちょっとな?」
「「あぁ……」」
「まぁ、なんだ。頑張れよ?」
「お、おう!」
「そんじゃぁ、洗濯物だな」
「ん?」
「ん?じゃねぇよ。洗濯して汚れを流しきるんだよ!」
「……だな。手伝えよ?リック」
「タバサ……わかったよぉ……」
これで今日は、良い香りの布団で眠れそうだな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる