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あの試合から6ヶ月私は勉強漬けの毎日から解き放たれました
何とか華園高校に合格することが出来、花の女子高生になれました
「それにしてもよく合格出来たな」
「ほんとにね」
私の模試の最終判定はCと中途半端な結果でしたが見事40パーセントを引き当てることが出来た様です
「守は今日から練習?」
「おう、もうすぐ行ってくる」
「頑張れ高校球児」
「千陽もだけどな」
「ははは、確かに」
女子野球が発展してから高校球児は男子だけでなく女子も含まれるようになった
「女子野球部はいつから練習なんだ?」
「確か学校が始まってからだった気がする」
「そうか、まだ1週間くらい空くなら先にグランドだけでも見に行かないか?」
「そんな事してもいいのかな?」
「合格したんだから大丈夫だろ。それに1人くらいいるだろ」
「そうだよね!どんなグランドが気になってた所なんだよ」
「なら一緒に行くか。後30分もしたら出るしな」
「そうしよかな。30分後に迎えに行くわ」
「了解」
そう言って私は電話を切る
私は慌てて準備を始める
「おっす」
「おはよ」
私は電話が切れてから30分後丁度に守の家に迎えに来ていた
「お前、いくら制服がないからってジャージはねーだろ」
「別に遊びに行くわけじゃないんだからいいのよ。それよりさっさと行くわよ」
「へいへい」
そう言って私達は自転車を漕ぎ出した
「んじゃ、俺はこっちだから」
「はーい、頑張ってねー」
学校内に入って直ぐ私達は別れた
チラッと見えたが男子野球部には立派な専用のグランドが用意されている
女子の方は少し小さいが男子ほど飛距離が出ないので問題ない大きさだ
「お願いします」
私はグランドに一礼をしてから入る
そのグランドの中には私以外誰も居ないようだ
「やっぱ誰も居ないかー」
流石に春休みに来る人なんていないよね
「あら、私より早く来てる子が居るなんて」
すると後ろから声が聞こえてくる
私は振り返るとそこには見慣れた人物が立っていた
「照さん!?」
その人物は守の姉で元甲子園優勝投手の天宮照さんだった
「ヤッホー、千陽ちゃん」
守が1人くらい居ると言っていた意味が分かった
「おはようございます。照さん」
私は改めて挨拶をする
「なんで照さんがここにいるんですか?」
照さんは別に華園高校のOBでは無い
その為、ここに出入りしてはいけないはずである
「守から聞いてない?」
「いえ」
「私、ここの監督になるんだ」
「えっ!?」
私は衝撃的事実に驚く
「でも照さん、教えられるんですか?」
照さんはかなり感覚派の人なのであまり指導は上手くなかったはず
「なんとかなるでしょ」
あっ、これ教えれないヤツだ
私は直感的にそう感じたが黙っておく
「それよりさ!キャッチボールやらない?」
「やりましょ!」
私は照さんの誘いに即答する
「それにしても久々だねー」
「そうですね。照さんが高校行ってから会わなくなりましたよね」
私達はキャッチボールをしながら話す
「そうそう、野球監獄に入ってからね」
「ははは.....」
冗談だと思いたかったがどうやら本当らしい
照さんの行った高校は聖宗高校だったから野球漬けの毎日だったのだろう
じゃないとあんな絶対的強さになるわけが無い
「そう言えば千陽ちゃん」
「はい?」
「なんで華園選んだの?」
「え、近いからですよ」
「嘘だね。近さなら喜多山高校でしょ。あそこも確か野球部あったし」
「そ、それは、学力が」
「それも嘘だね。千陽ちゃんが野球我慢してまで華園選んだんだからもっと大切な理由があったんでしょ?」
「うぐ・・・」
私は図星を突かれて言い訳が思いつかない
「例えば、守と一緒の高校に行きたかったとか」
「ギクッ」
「やっぱりねー」
照さんはニヤニヤした表情でこちらを見てくる
「本人には言わないでくださいね」
「じゃー聖宗高校に練習試合でもいいから勝てたら黙っててあげる」
「え!?」
聖宗高校に勝つと言うことは全国大会優勝と同義である
「流石にそれは」
「無理なら無理で言っちゃうけど?」
「ぐっ・・・分かりました」
「頑張ってねー」
照さんは他人事のように言う
私は不純な理由で打倒聖宗高校を決意することになりました
「聖宗高校に絶対勝ーつ!!」
私はそう叫びながら全力でボールを投げつける
「おっ!いい球だね」
照さんはいい音を鳴らしながらキャッチする
「まーその前に人数揃わないとダメなんだけどね」
「そ、そうでした」
まだ学校が始まってないので今部員が居ないのは仕方なくてもこれから人が揃わないと勝つどころか試合すら出来ない
「・・・打倒聖宗高校、私も乗ります」
するといきなり声をかけられた
「!?」
振り向くとそこには中学生、下手をしたら小学生にも見える人が立っていた
「なんで皇さんがここに!?」
そう、彼女は草野球で私からホームランを打ち私のヒットを1本無くした皇さんだった
「・・・なんでって、ここの生徒だからです」
「聖宗高校に行ったんじゃ?」
「・・・聖宗高校からは声がかからなくて」
「皇さんほどの選手でも行けないんだ」
皇さんとは草野球でしか対戦した事ないがその実力は思い知った私は驚きを隠せなかった
「・・・あそこ入部に身長制限あるので」
「そうなんだ」
女子野球で身長制限するのは多分聖宗高校だけだろう
他の高校がやれば選手が集まらないからね
「・・・それでさっきのは本気ですか?」
「さっきの?」
「・・・打倒聖宗高校って」
「う、うん」
流石に照さんの口から告白されないためとは言えない
「よく来てくれたね。皇さん」
するといつの間にか近くに来ていた照さんが皇さんに声をかけた
「知り合いなんですか?」
「知ってるも何も」
「・・・私をここに呼んだのは彼女です」
「え?」
「口説くの大変だったよー」
「・・・それでほかの選手は?」
「まだ来てないねー」
「え?他の選手?」
驚く私を放って話す2人
「もうすぐ来るんじゃないかな?」
「・・・他には誰に声をかけたんですか?」
「それは集まってからのお楽しみだね。まず合格してるか分からないし」
「・・・それもそうですね」
一体この2人はなんの話しをしているのだろうか?
「・・・私もキャッチボール参加してもいいですか?」
「いいよー、てか私の代わりに相手してあげて」
そう言って照さんはグローブを外してベンチの方に歩いていった
「・・・よろしく」
「あっ、よろしくお願いします」
それを最後にキャッチボールを始めた
「失礼します」
「・・・」
キャッチボールを初めて15分くらい経ってから2人の女学生がグランドに顔を出した
「来たね、2人共」
どうやらこの2人も照さんが声をかけた選手らしい
両方とも体型はそこまで大きいとは言えない
「失礼しまーす」
「お願いしまーす」
すると新たに2人組でグランドに入ってくる
1人は少しチャラそうな子でもう1人は
「デカ」
170は優に超える身長だ
「結構集まったね」
そう言いながら照さんはベンチから出てくる
「多分、今日集まるのはこれだけだから軽く自己紹介しよっか」
その一言で部員が集まってくる
私は照さんの左側に並ぶ
自然と円形になると照さんが自己紹介を始める
「多分みんな知ってると思うけど、ここの監督になった天宮照です。よろしく」
「え?それだけ?」
あまりにも簡潔過ぎる自己紹介に思わず聞き返してしまう
「多分これから知る機会が多いと思うから私はこれだけにしとくわね。右回りで進めていこっか」
照さんの右に立っていた人にバトンが渡る
「俺の名前は京極 真琴(きょうごく まこと)」
自己紹介を始めたのはさっきグランドに入ってきた170は優に超える子だった
「右投右打ポジションはサード。好きな事はフルスイング、嫌いな事はバント。だから俺にバントのサインは出すなよ照さん」
「バントさせるのが勿体ないくらい打てるならいいわよ」
照さんは少し挑発気味に応える
「チッ、俺の自己紹介は終わりだ。ほらよ小夏」
そう言ってさっき一緒に入ってきた子にバトンが渡る
「はーい、私の名前は七瀬 小夏(ななせ こなつ)右投両打、中学の時はセカンドを守ってたけど高校ではショートをする予定です」
結構チャラそうな子ではあるが実力はどうなんだろ
次に渡されたのは前髪で目が隠れている子だ
「・・・・・・お、おとな、し・・・し、しずか(おとなし しずか)です・・・」
音無さんはかなりオドオドしながら自己紹介をする
「・・・ポ、ポジションは・・・・・・セカンドです」
それだけ言ってすぐにバトンを渡す
次は皇さんだ
「・・・私は皇 凛(すめらぎ りん)です。ポジションはライト、目標は打倒聖宗高校です。よろしくお願いします」
静かだがしっかりとした口調で目標を口にする
「あれ?皇さんってファイターズだった?」
七瀬さんが皇さんに声をかける
「・・・そうだけど」
「聖宗高校行かなかったんだ」
聖宗高校と聞いてピクッと反応するが表情は変わらない
「・・・声がかからなかったのよ」
「そうなんだ」
七瀬さんはそれだけ聞くと黙ってしまった
「はい、どうぞ」
そして次に渡されたのは音無さんと一緒に来た小柄な子だ
「ありがと、私は一色 葵(いっしき あおい)です。中学はライオンズでキャッチャーをしていました。よろしくお願いします」
ライオンズとは中学の硬式チームでかなり強い所だが、確かあそこのキャッチャーってもっと
「お前、本当にライオンズのキャッチャーか?俺が対戦した時はもっと大きいキャッチャーだったはずだが」
今度は京極さんが食いつく
私の記憶でもライオンズのキャッチャーは強肩強打が持ち味で見た目は一色さんとは全く違ったはず
「私はレギュラーじゃないから」
「補欠かよ」
興味を失せたかのようにそう吐き捨てた
「はい、次どうぞ」
一色さんからバトンが回ってくる
「次は私だね」
私はバトンを貰い自己紹介を初めて行く
「私は大空 千陽(おおぞら ちひろ)です。左投左打、ポジションは投手です。目標は私も打倒聖宗高校です」
多分理由は違うけど
心の中でそう呟いて自己紹介を終える
「お前が、あの大空か?」
「どの大空?」
またしても京極さんが話しかけてくる
「勝負しろ」
「は?」
いきなり勝負を仕掛けられて私は困惑する
「なんでいきなり!?」
「いいんじゃない?」
何故か肯定する照さん
「それじゃぁ決まりだ。さっさと用意しろ」
「え~」
勝手に勝負をすることになった私は渋々準備を始める
「えっと、キャッチャーは」
「私がやろうか?」
すぐさま一色さんが立候補する
「お願い」
なぜ京極さんがここで私に勝負を挑んだのか気になる
「えっと、1つ聞いていい?」
「あん?」
「なんで勝負しないとダメなの?」
「お前が俺に勝ったら教えてやるよ」
全く教えてくれる気はないらしい
何とか華園高校に合格することが出来、花の女子高生になれました
「それにしてもよく合格出来たな」
「ほんとにね」
私の模試の最終判定はCと中途半端な結果でしたが見事40パーセントを引き当てることが出来た様です
「守は今日から練習?」
「おう、もうすぐ行ってくる」
「頑張れ高校球児」
「千陽もだけどな」
「ははは、確かに」
女子野球が発展してから高校球児は男子だけでなく女子も含まれるようになった
「女子野球部はいつから練習なんだ?」
「確か学校が始まってからだった気がする」
「そうか、まだ1週間くらい空くなら先にグランドだけでも見に行かないか?」
「そんな事してもいいのかな?」
「合格したんだから大丈夫だろ。それに1人くらいいるだろ」
「そうだよね!どんなグランドが気になってた所なんだよ」
「なら一緒に行くか。後30分もしたら出るしな」
「そうしよかな。30分後に迎えに行くわ」
「了解」
そう言って私は電話を切る
私は慌てて準備を始める
「おっす」
「おはよ」
私は電話が切れてから30分後丁度に守の家に迎えに来ていた
「お前、いくら制服がないからってジャージはねーだろ」
「別に遊びに行くわけじゃないんだからいいのよ。それよりさっさと行くわよ」
「へいへい」
そう言って私達は自転車を漕ぎ出した
「んじゃ、俺はこっちだから」
「はーい、頑張ってねー」
学校内に入って直ぐ私達は別れた
チラッと見えたが男子野球部には立派な専用のグランドが用意されている
女子の方は少し小さいが男子ほど飛距離が出ないので問題ない大きさだ
「お願いします」
私はグランドに一礼をしてから入る
そのグランドの中には私以外誰も居ないようだ
「やっぱ誰も居ないかー」
流石に春休みに来る人なんていないよね
「あら、私より早く来てる子が居るなんて」
すると後ろから声が聞こえてくる
私は振り返るとそこには見慣れた人物が立っていた
「照さん!?」
その人物は守の姉で元甲子園優勝投手の天宮照さんだった
「ヤッホー、千陽ちゃん」
守が1人くらい居ると言っていた意味が分かった
「おはようございます。照さん」
私は改めて挨拶をする
「なんで照さんがここにいるんですか?」
照さんは別に華園高校のOBでは無い
その為、ここに出入りしてはいけないはずである
「守から聞いてない?」
「いえ」
「私、ここの監督になるんだ」
「えっ!?」
私は衝撃的事実に驚く
「でも照さん、教えられるんですか?」
照さんはかなり感覚派の人なのであまり指導は上手くなかったはず
「なんとかなるでしょ」
あっ、これ教えれないヤツだ
私は直感的にそう感じたが黙っておく
「それよりさ!キャッチボールやらない?」
「やりましょ!」
私は照さんの誘いに即答する
「それにしても久々だねー」
「そうですね。照さんが高校行ってから会わなくなりましたよね」
私達はキャッチボールをしながら話す
「そうそう、野球監獄に入ってからね」
「ははは.....」
冗談だと思いたかったがどうやら本当らしい
照さんの行った高校は聖宗高校だったから野球漬けの毎日だったのだろう
じゃないとあんな絶対的強さになるわけが無い
「そう言えば千陽ちゃん」
「はい?」
「なんで華園選んだの?」
「え、近いからですよ」
「嘘だね。近さなら喜多山高校でしょ。あそこも確か野球部あったし」
「そ、それは、学力が」
「それも嘘だね。千陽ちゃんが野球我慢してまで華園選んだんだからもっと大切な理由があったんでしょ?」
「うぐ・・・」
私は図星を突かれて言い訳が思いつかない
「例えば、守と一緒の高校に行きたかったとか」
「ギクッ」
「やっぱりねー」
照さんはニヤニヤした表情でこちらを見てくる
「本人には言わないでくださいね」
「じゃー聖宗高校に練習試合でもいいから勝てたら黙っててあげる」
「え!?」
聖宗高校に勝つと言うことは全国大会優勝と同義である
「流石にそれは」
「無理なら無理で言っちゃうけど?」
「ぐっ・・・分かりました」
「頑張ってねー」
照さんは他人事のように言う
私は不純な理由で打倒聖宗高校を決意することになりました
「聖宗高校に絶対勝ーつ!!」
私はそう叫びながら全力でボールを投げつける
「おっ!いい球だね」
照さんはいい音を鳴らしながらキャッチする
「まーその前に人数揃わないとダメなんだけどね」
「そ、そうでした」
まだ学校が始まってないので今部員が居ないのは仕方なくてもこれから人が揃わないと勝つどころか試合すら出来ない
「・・・打倒聖宗高校、私も乗ります」
するといきなり声をかけられた
「!?」
振り向くとそこには中学生、下手をしたら小学生にも見える人が立っていた
「なんで皇さんがここに!?」
そう、彼女は草野球で私からホームランを打ち私のヒットを1本無くした皇さんだった
「・・・なんでって、ここの生徒だからです」
「聖宗高校に行ったんじゃ?」
「・・・聖宗高校からは声がかからなくて」
「皇さんほどの選手でも行けないんだ」
皇さんとは草野球でしか対戦した事ないがその実力は思い知った私は驚きを隠せなかった
「・・・あそこ入部に身長制限あるので」
「そうなんだ」
女子野球で身長制限するのは多分聖宗高校だけだろう
他の高校がやれば選手が集まらないからね
「・・・それでさっきのは本気ですか?」
「さっきの?」
「・・・打倒聖宗高校って」
「う、うん」
流石に照さんの口から告白されないためとは言えない
「よく来てくれたね。皇さん」
するといつの間にか近くに来ていた照さんが皇さんに声をかけた
「知り合いなんですか?」
「知ってるも何も」
「・・・私をここに呼んだのは彼女です」
「え?」
「口説くの大変だったよー」
「・・・それでほかの選手は?」
「まだ来てないねー」
「え?他の選手?」
驚く私を放って話す2人
「もうすぐ来るんじゃないかな?」
「・・・他には誰に声をかけたんですか?」
「それは集まってからのお楽しみだね。まず合格してるか分からないし」
「・・・それもそうですね」
一体この2人はなんの話しをしているのだろうか?
「・・・私もキャッチボール参加してもいいですか?」
「いいよー、てか私の代わりに相手してあげて」
そう言って照さんはグローブを外してベンチの方に歩いていった
「・・・よろしく」
「あっ、よろしくお願いします」
それを最後にキャッチボールを始めた
「失礼します」
「・・・」
キャッチボールを初めて15分くらい経ってから2人の女学生がグランドに顔を出した
「来たね、2人共」
どうやらこの2人も照さんが声をかけた選手らしい
両方とも体型はそこまで大きいとは言えない
「失礼しまーす」
「お願いしまーす」
すると新たに2人組でグランドに入ってくる
1人は少しチャラそうな子でもう1人は
「デカ」
170は優に超える身長だ
「結構集まったね」
そう言いながら照さんはベンチから出てくる
「多分、今日集まるのはこれだけだから軽く自己紹介しよっか」
その一言で部員が集まってくる
私は照さんの左側に並ぶ
自然と円形になると照さんが自己紹介を始める
「多分みんな知ってると思うけど、ここの監督になった天宮照です。よろしく」
「え?それだけ?」
あまりにも簡潔過ぎる自己紹介に思わず聞き返してしまう
「多分これから知る機会が多いと思うから私はこれだけにしとくわね。右回りで進めていこっか」
照さんの右に立っていた人にバトンが渡る
「俺の名前は京極 真琴(きょうごく まこと)」
自己紹介を始めたのはさっきグランドに入ってきた170は優に超える子だった
「右投右打ポジションはサード。好きな事はフルスイング、嫌いな事はバント。だから俺にバントのサインは出すなよ照さん」
「バントさせるのが勿体ないくらい打てるならいいわよ」
照さんは少し挑発気味に応える
「チッ、俺の自己紹介は終わりだ。ほらよ小夏」
そう言ってさっき一緒に入ってきた子にバトンが渡る
「はーい、私の名前は七瀬 小夏(ななせ こなつ)右投両打、中学の時はセカンドを守ってたけど高校ではショートをする予定です」
結構チャラそうな子ではあるが実力はどうなんだろ
次に渡されたのは前髪で目が隠れている子だ
「・・・・・・お、おとな、し・・・し、しずか(おとなし しずか)です・・・」
音無さんはかなりオドオドしながら自己紹介をする
「・・・ポ、ポジションは・・・・・・セカンドです」
それだけ言ってすぐにバトンを渡す
次は皇さんだ
「・・・私は皇 凛(すめらぎ りん)です。ポジションはライト、目標は打倒聖宗高校です。よろしくお願いします」
静かだがしっかりとした口調で目標を口にする
「あれ?皇さんってファイターズだった?」
七瀬さんが皇さんに声をかける
「・・・そうだけど」
「聖宗高校行かなかったんだ」
聖宗高校と聞いてピクッと反応するが表情は変わらない
「・・・声がかからなかったのよ」
「そうなんだ」
七瀬さんはそれだけ聞くと黙ってしまった
「はい、どうぞ」
そして次に渡されたのは音無さんと一緒に来た小柄な子だ
「ありがと、私は一色 葵(いっしき あおい)です。中学はライオンズでキャッチャーをしていました。よろしくお願いします」
ライオンズとは中学の硬式チームでかなり強い所だが、確かあそこのキャッチャーってもっと
「お前、本当にライオンズのキャッチャーか?俺が対戦した時はもっと大きいキャッチャーだったはずだが」
今度は京極さんが食いつく
私の記憶でもライオンズのキャッチャーは強肩強打が持ち味で見た目は一色さんとは全く違ったはず
「私はレギュラーじゃないから」
「補欠かよ」
興味を失せたかのようにそう吐き捨てた
「はい、次どうぞ」
一色さんからバトンが回ってくる
「次は私だね」
私はバトンを貰い自己紹介を初めて行く
「私は大空 千陽(おおぞら ちひろ)です。左投左打、ポジションは投手です。目標は私も打倒聖宗高校です」
多分理由は違うけど
心の中でそう呟いて自己紹介を終える
「お前が、あの大空か?」
「どの大空?」
またしても京極さんが話しかけてくる
「勝負しろ」
「は?」
いきなり勝負を仕掛けられて私は困惑する
「なんでいきなり!?」
「いいんじゃない?」
何故か肯定する照さん
「それじゃぁ決まりだ。さっさと用意しろ」
「え~」
勝手に勝負をすることになった私は渋々準備を始める
「えっと、キャッチャーは」
「私がやろうか?」
すぐさま一色さんが立候補する
「お願い」
なぜ京極さんがここで私に勝負を挑んだのか気になる
「えっと、1つ聞いていい?」
「あん?」
「なんで勝負しないとダメなの?」
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