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オレはもうお前の知ってるクローンじゃない
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それは3Pと称しながらも、その行為がいつだって2対1に分かれることを。
ハチ―オ公爵にはウシノフゥーン男爵、クリーオ伯爵にはウッスー子爵と。
自分を間に挟みながらどんなプレイをこなそうとも、結局は彼らは彼らの想う相手を愛していたのです。
自分は彼らの愛を燃え上らせるための小道具にすぎないと。
一種のお約束のアダルトおもちゃなんだと。
そう感じたクローンはハチ―オ公爵邸をそっと出て行きました。
(3Pっていうのは平等の愛にはならない…2匹が強く惹かれあえば必ず、誰か1匹が寂しい思いをするんだ)
トボトボと横歩きをしながらクローンは悟りました。
もし、ハチ―オが太鼓判を押してくれたように。
オリジナルもカキーノタァーネも「3P、OK、バッチコーイ」と同意して、コトに及べたとしても、きっと2対1に分かれて最終的に寂しい思いをする1匹は自分なんだと。
そんな風に嘆き悲しみ、悶々と悩み、歩き続け、やがて大きな池を見下ろせる崖の上にいました。
そしてまるで、それはそれはどこぞの刑事ドラマのように。
気がつけば、崖でポーズをしっかりと決めて考えていた自分にクローンは自身でも驚いてしまいます。
するとそこへ、シャカシャカッ、シャカシャカッ…とものすごい勢いで、
「なにをやってるんだ、クローン!! そんなことはダメだっ!!」
と叫びながら、クローンが崖から身を投げようとしていると勘違いしたオリジナルが横むきで駆け寄ってきました。
「お前、なにを考えてるんだっ!!」
なんとか身投げを止めようと必死になるオリジナル。
身投げする気など微塵もなかったものの、いきなり現れたオリジナルの鬼のような形相にクローンも動揺します。
「オレのことなんか、ほっといてくれよ!!
オレはもう、お前の知ってるクローンじゃないんだ!!」
「なにを言ってるんだよ、お前はお前だろ!!
どれだけ探したと思っているんだっ!!」
「オレがどんな汚れた生活してたか、知ってるのかよ!!
この体は、もう何千匹といってもいいほどのオスを知ってんだよっ!!
オレなんか、オレなんかっ!!」
と即座に意味もなく話を盛ったクローンをオリジナルが必死に掴もうとし、クローンがその手をなぎ払い、互いのチョキの手をカチカチ、カチカチといわせながら、崖の上で激しくもみ合います。
その時です。びゅおんっと一陣の風が吹きました。
「あっ!!」
クローンのこぶりな体が宙に舞い上がります。
オリジナルがその体を捕えようと、気合を入れないとパーにはならない、しかも、こんな時だというのにチョキのままでいる手をクローンに向かって必死に差し出しました。
ですが伸ばしたチョキは無情にも届かず、ヒューッとクローンの体は落下していってしまったのです。
「クローーン!!」
ぼっちゃーーんっと豪快に池に落ちてしまった小柄ボディ。
シャカシャカッ、シャカシャカッ…とオリジナルが崖の急斜面をジグザグ横歩きで懸命に下りていきます。
「クローーン!!」
もともとはキノボリベンケイガニやフタバカクガニといった木に登るタイプに近い、陸生カニなのです。
こんな大量の水の中に落っこちてしまってはどうしようもありません。
(あぁ…どうしよう…)
オリジナルが青ざめていると「なにを困っているのですか?」と池の中から、キラキラと輝く女神さまが現れました。
「大事なカニーオ・クローンを池に落としてしまったのです、どうしていいのか…」
「それはお気の毒に、ワタクシが探してきてあげましょう」
女神さまはそう言うと池に消え、しばらくしてからクローンを手に出てきました。
「あなたが落としたのはこの金でできたカニーオ・クローンですか? それとも銀でできたカニーオ・クローンですか?」
尋ねられてよく見ると、女神さまの片方の手には金色に、もう片方の手には銀色にしっかりとコーディングされたクローンが握られているではありませんか。
ハチ―オ公爵にはウシノフゥーン男爵、クリーオ伯爵にはウッスー子爵と。
自分を間に挟みながらどんなプレイをこなそうとも、結局は彼らは彼らの想う相手を愛していたのです。
自分は彼らの愛を燃え上らせるための小道具にすぎないと。
一種のお約束のアダルトおもちゃなんだと。
そう感じたクローンはハチ―オ公爵邸をそっと出て行きました。
(3Pっていうのは平等の愛にはならない…2匹が強く惹かれあえば必ず、誰か1匹が寂しい思いをするんだ)
トボトボと横歩きをしながらクローンは悟りました。
もし、ハチ―オが太鼓判を押してくれたように。
オリジナルもカキーノタァーネも「3P、OK、バッチコーイ」と同意して、コトに及べたとしても、きっと2対1に分かれて最終的に寂しい思いをする1匹は自分なんだと。
そんな風に嘆き悲しみ、悶々と悩み、歩き続け、やがて大きな池を見下ろせる崖の上にいました。
そしてまるで、それはそれはどこぞの刑事ドラマのように。
気がつけば、崖でポーズをしっかりと決めて考えていた自分にクローンは自身でも驚いてしまいます。
するとそこへ、シャカシャカッ、シャカシャカッ…とものすごい勢いで、
「なにをやってるんだ、クローン!! そんなことはダメだっ!!」
と叫びながら、クローンが崖から身を投げようとしていると勘違いしたオリジナルが横むきで駆け寄ってきました。
「お前、なにを考えてるんだっ!!」
なんとか身投げを止めようと必死になるオリジナル。
身投げする気など微塵もなかったものの、いきなり現れたオリジナルの鬼のような形相にクローンも動揺します。
「オレのことなんか、ほっといてくれよ!!
オレはもう、お前の知ってるクローンじゃないんだ!!」
「なにを言ってるんだよ、お前はお前だろ!!
どれだけ探したと思っているんだっ!!」
「オレがどんな汚れた生活してたか、知ってるのかよ!!
この体は、もう何千匹といってもいいほどのオスを知ってんだよっ!!
オレなんか、オレなんかっ!!」
と即座に意味もなく話を盛ったクローンをオリジナルが必死に掴もうとし、クローンがその手をなぎ払い、互いのチョキの手をカチカチ、カチカチといわせながら、崖の上で激しくもみ合います。
その時です。びゅおんっと一陣の風が吹きました。
「あっ!!」
クローンのこぶりな体が宙に舞い上がります。
オリジナルがその体を捕えようと、気合を入れないとパーにはならない、しかも、こんな時だというのにチョキのままでいる手をクローンに向かって必死に差し出しました。
ですが伸ばしたチョキは無情にも届かず、ヒューッとクローンの体は落下していってしまったのです。
「クローーン!!」
ぼっちゃーーんっと豪快に池に落ちてしまった小柄ボディ。
シャカシャカッ、シャカシャカッ…とオリジナルが崖の急斜面をジグザグ横歩きで懸命に下りていきます。
「クローーン!!」
もともとはキノボリベンケイガニやフタバカクガニといった木に登るタイプに近い、陸生カニなのです。
こんな大量の水の中に落っこちてしまってはどうしようもありません。
(あぁ…どうしよう…)
オリジナルが青ざめていると「なにを困っているのですか?」と池の中から、キラキラと輝く女神さまが現れました。
「大事なカニーオ・クローンを池に落としてしまったのです、どうしていいのか…」
「それはお気の毒に、ワタクシが探してきてあげましょう」
女神さまはそう言うと池に消え、しばらくしてからクローンを手に出てきました。
「あなたが落としたのはこの金でできたカニーオ・クローンですか? それとも銀でできたカニーオ・クローンですか?」
尋ねられてよく見ると、女神さまの片方の手には金色に、もう片方の手には銀色にしっかりとコーディングされたクローンが握られているではありませんか。
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