23 / 169
3:アトラスの謎と猛烈な求愛と
1
しおりを挟む
「なぁ、見ろよ。あの胸・・・たまんねぇな、あの娘・・・ヤりてぇよなぁ」
「だな。ぷるんぷるんじゃねぇかよ。くっそ・・・ムラムラくるぜ。後で待ち伏せしてみるか?」
「いいな・・・ヤっちまうか」
ガヤガヤ、わいわいと。とかく乱雑さが際立つ飲み屋で、野卑な連中がギラギラした視線をある売り子に注いでいる。とそこへ、別の売り子が料理を盛った皿を両手に抱えて通りかかった。
「あら、やだ。にーさんたち、変なこと言っちゃってぇ~ 興味あるのぉ? ねぇ、ちょっと、アマリア~!! このテーブルのおにーさんたちがあんたに掘って欲しいって言ってるわよぉ~ あははは!!」
「なっ!?」
「ナニ、言ってるんだ、お前!!」
アマリアと呼ばれた赤毛が振り返り、豊満な胸をむぎゅぅっと両手で寄せる。大胆にえぐれた丸襟の谷間を一層くっきりと強調しながら、真っ赤な唇をペロリと舌で拭った。
「あらん。いいわよぉ~ 思いっきり掘って掘って、種付けしてあげるぅぅ~」
「げっ、あいつ、ガンマか!!」
「マジかよ!! デルタじゃねぇのかよ!!」
下半身にオスの機能も兼ね揃えているとは思わなかったゲスたちが慌てて視線をそらし、事情を知っている常連がドッと笑い声を上げる。
その様は確かに愉快ではあったが、とにかく騒がしい。酒場なのだから当然だが、どこもかしこも酒臭く。
おまけに酒樽の上には乗るわ、周囲を気にせずに派手に歌うわ。一方的にわめき散らしてるわ、室内を駆け回る奇声やらなんやらとで。あちらこちらで見事に入り乱れている。
繁盛しているのはなによりだが、少しは秩序が欲しいとすら思えるほどだ。
そのけたたましさ極まる大衆酒場の片隅で。灰色のフードを目深に被ったまま、静かに・・・どころかどこか陰気臭く食事をしている二人組のことなど誰も気にもとめやしない。
(ガンマか・・・)
木の器に注がれている、予想外にも味はなかなか美味いスープを匙ですすりながら、聞こえてきた言葉を振り返った。
一見、雌性のみのデルタに見えた売り子が、孕ます側の強者としては二番手のガンマだったのだから、さぞかし驚いただろう。実際、自分も驚いている。だが、同時に我が身を振り返った。
(オレは・・・ベータだよな・・・)
大半の者が幼少の頃に呪術師のところに赴いてその属性を確かめて知った後、術がこめられた貞操帯を身に着けるのが一般的な中、自分には記憶がないのだ。
『知りたいのなら、グライアイの三姉妹についでに聞けばいい』
そう答えた相手は。口をきくこともなく、目の前でパンをちぎって食べている。思っていたよりも小食だ。その屈強な肉体ならば、もっと食べてもおかしくないというのに。
「だな。ぷるんぷるんじゃねぇかよ。くっそ・・・ムラムラくるぜ。後で待ち伏せしてみるか?」
「いいな・・・ヤっちまうか」
ガヤガヤ、わいわいと。とかく乱雑さが際立つ飲み屋で、野卑な連中がギラギラした視線をある売り子に注いでいる。とそこへ、別の売り子が料理を盛った皿を両手に抱えて通りかかった。
「あら、やだ。にーさんたち、変なこと言っちゃってぇ~ 興味あるのぉ? ねぇ、ちょっと、アマリア~!! このテーブルのおにーさんたちがあんたに掘って欲しいって言ってるわよぉ~ あははは!!」
「なっ!?」
「ナニ、言ってるんだ、お前!!」
アマリアと呼ばれた赤毛が振り返り、豊満な胸をむぎゅぅっと両手で寄せる。大胆にえぐれた丸襟の谷間を一層くっきりと強調しながら、真っ赤な唇をペロリと舌で拭った。
「あらん。いいわよぉ~ 思いっきり掘って掘って、種付けしてあげるぅぅ~」
「げっ、あいつ、ガンマか!!」
「マジかよ!! デルタじゃねぇのかよ!!」
下半身にオスの機能も兼ね揃えているとは思わなかったゲスたちが慌てて視線をそらし、事情を知っている常連がドッと笑い声を上げる。
その様は確かに愉快ではあったが、とにかく騒がしい。酒場なのだから当然だが、どこもかしこも酒臭く。
おまけに酒樽の上には乗るわ、周囲を気にせずに派手に歌うわ。一方的にわめき散らしてるわ、室内を駆け回る奇声やらなんやらとで。あちらこちらで見事に入り乱れている。
繁盛しているのはなによりだが、少しは秩序が欲しいとすら思えるほどだ。
そのけたたましさ極まる大衆酒場の片隅で。灰色のフードを目深に被ったまま、静かに・・・どころかどこか陰気臭く食事をしている二人組のことなど誰も気にもとめやしない。
(ガンマか・・・)
木の器に注がれている、予想外にも味はなかなか美味いスープを匙ですすりながら、聞こえてきた言葉を振り返った。
一見、雌性のみのデルタに見えた売り子が、孕ます側の強者としては二番手のガンマだったのだから、さぞかし驚いただろう。実際、自分も驚いている。だが、同時に我が身を振り返った。
(オレは・・・ベータだよな・・・)
大半の者が幼少の頃に呪術師のところに赴いてその属性を確かめて知った後、術がこめられた貞操帯を身に着けるのが一般的な中、自分には記憶がないのだ。
『知りたいのなら、グライアイの三姉妹についでに聞けばいい』
そう答えた相手は。口をきくこともなく、目の前でパンをちぎって食べている。思っていたよりも小食だ。その屈強な肉体ならば、もっと食べてもおかしくないというのに。
1
あなたにおすすめの小説
流れる星は海に還る
藤間留彦
BL
若頭兄×現組長の実子の弟の血の繋がらない兄弟BL。
組長の命で弟・流星をカタギとして育てた兄・一海。組長が倒れ、跡目争いが勃発。実子の存在が知れ、流星がその渦中に巻き込まれることになり──。
<登場人物>
辻倉一海(つじくらかずみ) 37歳。身長188cm。
若い頃は垂れ目で優しい印象を持たれがちだったため、長年サングラスを掛けている。 組内では硬派で厳しいが、弟の流星には甘々のブラコン。
中村流星(なかむらりゅうせい) 23歳。身長177cm。
ストリートロックファッション、両耳ピアス。育ててくれた兄には甘えん坊だが、兄以外の前では──。
表紙イラストは座頭狂様に描いて頂きました✨ ありがとうございます☺️
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
女子にモテる極上のイケメンな幼馴染(男)は、ずっと俺に片思いしてたらしいです。
山法師
BL
南野奏夜(みなみの そうや)、総合大学の一年生。彼には同じ大学に通う同い年の幼馴染がいる。橘圭介(たちばな けいすけ)というイケメンの権化のような幼馴染は、イケメンの権化ゆえに女子にモテ、いつも彼女がいる……が、なぜか彼女と長続きしない男だった。
彼女ができて、付き合って、数ヶ月しないで彼女と別れて泣く圭介を、奏夜が慰める。そして、モテる幼馴染である圭介なので、彼にはまた彼女ができる。
そんな日々の中で、今日もまた「別れた」と連絡を寄越してきた圭介に会いに行くと、こう言われた。
「そーちゃん、キスさせて」
その日を境に、奏夜と圭介の関係は変化していく。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる