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3:アトラスの謎と猛烈な求愛と
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((ちょっ・・・アトラス!!))
周囲を気にした小声で。すぐさま手を引っ込めようとする動きは、手首を掴む意思の強い相手の手で見事に遮られた。一体、何を考えているのか。
((よせって!!))
この行為もまた初めてではない。布で拭えばいい話を。いつだって食後は自分の汚れた指を舐めたがるのだ。
だが、今までは野宿に近い状態だったのだ。酒場に二人で入ったのは今夜が初めてなのに。
((アトラス!!))
引こうとする手とそうはさせまいとする相手とで。グッ、グッ、グッとちょっとした攻防戦に展開する。
((離せって!!))
ペロリペロリと指の間まで舌が這い、ゾクゾクとした疼きが走る。その体感に堪えながらもなんとか手を取り戻そうとする。人前なのだ。まさか、ここでもするなんて。あり得ない。
『気にするな。お前の手をきれいにしているだけだ』
そう毎回言う唇は。今はしゃぶることにやたらと集中している。
((アトラス!!))
左手で相手の手を掴んで引き離そうとした途端、スッと身を引いた。急いで両手を戻してホッと脱力する。
「なに考えているんだ・・・ここをどこだと思っているんだ」
二人だけの時ならまだしも。一体、どういう神経をしているのか。
「オレは誰に見られてもかまわないが、お前が嫌なようだからやめた」
その返事に。何を言うか。それだったらもっと早くやめろと。いや、そもそもするなと――睨みつけると同時に、背後から声がした。
「お待たせしましたぁ~ お持ち帰りの袋がご用意できましたぁ~」
「行くぞ」
立ち上がったアトラスがアマリアから木の長い棒を受け取る。革の布端が両端に紐で括られるようにして、膨らんだ大きな袋がぶら下がっている。咄嗟に手を出した。
「オレが持つ」
「大丈夫だ」
断れられると同時に、空いている左手で当然のように肩を抱かれた。
「是非とも是非とも、またおいで下さいませぇえ~」
「ちょっと、アトラス・・・」
熱い視線で見送られる中、抗議の意思を示す。この体勢のまま歩み続けることに抵抗がある。店を出てから強い口調で告げた。
「一人で歩けるって・・・何度も言ってるじゃないか。離せって」
肩を抱かれて歩いている者など。いなくはないが多くもない。けれども。そもそもが、そんな風に親しい間柄を他の者へと見せつけるような立ち振る舞いは好まないのか。恥ずかしくて嫌なのだ。
それに加えて、弱き者を守る闘士だったのか、傭兵のような仕事にでも就いていたのか。とにかく自分が庇護される側になるのもまた、どうにも落ち着かない気持ちにさせられてたまらない。
「アトラス、頼むから離せって・・・」
「ダメだ。テセウス・・・わかるか」
「なにをだ?」
頑なで力強くて。いつだって抗えないその体勢のまま、相手に尋ねる。アトラスが答えた。
「誰かがお前に少しでも手出しをしたら、オレはそいつに何をするかわからない」
周囲を気にした小声で。すぐさま手を引っ込めようとする動きは、手首を掴む意思の強い相手の手で見事に遮られた。一体、何を考えているのか。
((よせって!!))
この行為もまた初めてではない。布で拭えばいい話を。いつだって食後は自分の汚れた指を舐めたがるのだ。
だが、今までは野宿に近い状態だったのだ。酒場に二人で入ったのは今夜が初めてなのに。
((アトラス!!))
引こうとする手とそうはさせまいとする相手とで。グッ、グッ、グッとちょっとした攻防戦に展開する。
((離せって!!))
ペロリペロリと指の間まで舌が這い、ゾクゾクとした疼きが走る。その体感に堪えながらもなんとか手を取り戻そうとする。人前なのだ。まさか、ここでもするなんて。あり得ない。
『気にするな。お前の手をきれいにしているだけだ』
そう毎回言う唇は。今はしゃぶることにやたらと集中している。
((アトラス!!))
左手で相手の手を掴んで引き離そうとした途端、スッと身を引いた。急いで両手を戻してホッと脱力する。
「なに考えているんだ・・・ここをどこだと思っているんだ」
二人だけの時ならまだしも。一体、どういう神経をしているのか。
「オレは誰に見られてもかまわないが、お前が嫌なようだからやめた」
その返事に。何を言うか。それだったらもっと早くやめろと。いや、そもそもするなと――睨みつけると同時に、背後から声がした。
「お待たせしましたぁ~ お持ち帰りの袋がご用意できましたぁ~」
「行くぞ」
立ち上がったアトラスがアマリアから木の長い棒を受け取る。革の布端が両端に紐で括られるようにして、膨らんだ大きな袋がぶら下がっている。咄嗟に手を出した。
「オレが持つ」
「大丈夫だ」
断れられると同時に、空いている左手で当然のように肩を抱かれた。
「是非とも是非とも、またおいで下さいませぇえ~」
「ちょっと、アトラス・・・」
熱い視線で見送られる中、抗議の意思を示す。この体勢のまま歩み続けることに抵抗がある。店を出てから強い口調で告げた。
「一人で歩けるって・・・何度も言ってるじゃないか。離せって」
肩を抱かれて歩いている者など。いなくはないが多くもない。けれども。そもそもが、そんな風に親しい間柄を他の者へと見せつけるような立ち振る舞いは好まないのか。恥ずかしくて嫌なのだ。
それに加えて、弱き者を守る闘士だったのか、傭兵のような仕事にでも就いていたのか。とにかく自分が庇護される側になるのもまた、どうにも落ち着かない気持ちにさせられてたまらない。
「アトラス、頼むから離せって・・・」
「ダメだ。テセウス・・・わかるか」
「なにをだ?」
頑なで力強くて。いつだって抗えないその体勢のまま、相手に尋ねる。アトラスが答えた。
「誰かがお前に少しでも手出しをしたら、オレはそいつに何をするかわからない」
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