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6:アトラスの異常な愛し方※
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「だいぶ取れたな」
タプン、タプンと水が入った桶を片手にアトラスが荷台にのってくる。
バシャバシャ、ジャッ、ジャッ・・・と。布を水に浸して絞っている気配を背中に感じながら。
御者台の下に備え付けてある樽からでも汲んできたのだろうかと。ぼんやりと考えていると肩に触れられた。正面を向かされる。
「!!」
目を見開き、動揺し、すぐさま元の体勢に戻ろうとする。が、
「服はまとめて後で浄化する・・・いや・・・」
お構いなしにパチン、パチンと。金具を外し始めた相手の、力強い手によって易々と制止された。
「新しくまた用意する。卑しい老婆どもめ」
忌々しげに告げながら。肩の装着具と外套がクルクルと丸められると、ポンッと後方に勢いよく投げられた。
続けて、胸、肘、腰、膝と。金属製の防具が外されては、次から次へと無造作に放られていく。
「ケール、もういい。御者台に戻れ。行く先はルーベに伝えてある」
「ワフッ!!」
髪と肌の汚れを清め終わったイーヌドーグが勢いよく出ていった。
「あっ・・・いや・・・だ・・・」
衣服と靴だけとなって。懸命に身をよじった。その心細さは偏に、今の自分の身体の状態を知られたくないという気持ちからに違いない。けれども、
「中の服も捨てた方がいいな」
と全く気にすることなく肌に直接手を触れられて。ゾクゾクゾクッ・・・と一気に走り抜けた。
(なん・・・だ・・・これ・・・)
相手の体温に、その存在に、その熱量に。呼応するように、悦ぶように身体が確かに反応した。
(まずい・・・)
ブルブルブルと身を震わせる。この感覚は間違いなく――
「アト・・・ラス・・・ッ・・・たの・・・む・・・」
出て行ってくれ――とはさすがに口にできずにそのまま黙りこむ。移動する獣車から外に行けなんて、誰が言えるというのか。
けれども。本当は一人になりたい。一人になって、湧き上がった劣情の。その射精へとその高みへと。目指して扱けと促してきた欲求の、本能的で衝動的な波を乗り越えたい。
「もう、いい・・・から・・・ハァハァ・・・放っといて・・・くれ・・・」
あらん限りの力を使って身をまた捻る。背を向けて。震える右手で自分の腕を握りしめた。
「たのむ・・・から・・・ハァハァ・・・」
その背後で。ザッと何かを抜いた動きと。ジーーッと衣服を裂く音がする。
汚液がところどころ付着した貫頭衣に。せっかくきれいになった顔を潜らせたくなかった相手が、器用に短剣を使って。上衣を切り開くと、スッと剥がすようにして脱がせた。
「あっ・・・いや・・・だ・・・」
ヒヤッとした外気の体感に。裸にさせられた現実をまざまざと知らされる。
「アト・・・ラス・・・おねが・・・い・・・だから・・・」
「ここか・・・」
気と熱がこもった指先に。脇腹に近い背中をそろりと触れられて。ビクンッと身体が震え上がった。
「っ!!」
そして――迷うことなく、後ろから舐められて。
「あぁっ!!」
とのけぞった。
タプン、タプンと水が入った桶を片手にアトラスが荷台にのってくる。
バシャバシャ、ジャッ、ジャッ・・・と。布を水に浸して絞っている気配を背中に感じながら。
御者台の下に備え付けてある樽からでも汲んできたのだろうかと。ぼんやりと考えていると肩に触れられた。正面を向かされる。
「!!」
目を見開き、動揺し、すぐさま元の体勢に戻ろうとする。が、
「服はまとめて後で浄化する・・・いや・・・」
お構いなしにパチン、パチンと。金具を外し始めた相手の、力強い手によって易々と制止された。
「新しくまた用意する。卑しい老婆どもめ」
忌々しげに告げながら。肩の装着具と外套がクルクルと丸められると、ポンッと後方に勢いよく投げられた。
続けて、胸、肘、腰、膝と。金属製の防具が外されては、次から次へと無造作に放られていく。
「ケール、もういい。御者台に戻れ。行く先はルーベに伝えてある」
「ワフッ!!」
髪と肌の汚れを清め終わったイーヌドーグが勢いよく出ていった。
「あっ・・・いや・・・だ・・・」
衣服と靴だけとなって。懸命に身をよじった。その心細さは偏に、今の自分の身体の状態を知られたくないという気持ちからに違いない。けれども、
「中の服も捨てた方がいいな」
と全く気にすることなく肌に直接手を触れられて。ゾクゾクゾクッ・・・と一気に走り抜けた。
(なん・・・だ・・・これ・・・)
相手の体温に、その存在に、その熱量に。呼応するように、悦ぶように身体が確かに反応した。
(まずい・・・)
ブルブルブルと身を震わせる。この感覚は間違いなく――
「アト・・・ラス・・・ッ・・・たの・・・む・・・」
出て行ってくれ――とはさすがに口にできずにそのまま黙りこむ。移動する獣車から外に行けなんて、誰が言えるというのか。
けれども。本当は一人になりたい。一人になって、湧き上がった劣情の。その射精へとその高みへと。目指して扱けと促してきた欲求の、本能的で衝動的な波を乗り越えたい。
「もう、いい・・・から・・・ハァハァ・・・放っといて・・・くれ・・・」
あらん限りの力を使って身をまた捻る。背を向けて。震える右手で自分の腕を握りしめた。
「たのむ・・・から・・・ハァハァ・・・」
その背後で。ザッと何かを抜いた動きと。ジーーッと衣服を裂く音がする。
汚液がところどころ付着した貫頭衣に。せっかくきれいになった顔を潜らせたくなかった相手が、器用に短剣を使って。上衣を切り開くと、スッと剥がすようにして脱がせた。
「あっ・・・いや・・・だ・・・」
ヒヤッとした外気の体感に。裸にさせられた現実をまざまざと知らされる。
「アト・・・ラス・・・おねが・・・い・・・だから・・・」
「ここか・・・」
気と熱がこもった指先に。脇腹に近い背中をそろりと触れられて。ビクンッと身体が震え上がった。
「っ!!」
そして――迷うことなく、後ろから舐められて。
「あぁっ!!」
とのけぞった。
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