オメガの戦士はアルファに囚われる~ギリシャ神話オメガバース~

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

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7:続く謎の夢と情交後の避妊行為と

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 「急がないと?」

 「アトラス・・・そうだ・・・急がないと・・・王妃が・・・」

 こうしている間もスフィンクスの魔の手が近づいている。とするならば、説明する時間さえ惜しいような気がしてくる。すぐにでも出発した方がいいのではないかと視線を彷徨わせた。

 「王妃がなんだ?」

 「ん・・・けど・・・長くなるから・・・移動しながら、話した方がいいかなって」

 「移動?」

 「そうだ。まずは食事を荷物袋サルキィナに詰めて、獣車クーペに運んで・・・で、中で食べるか」

 「テセウス」

 「とにかく、オレの着替えはどこなんだ? 着替えないと」

 長椅子に置いてあるのかと見に行く。が、見当たらない。

 「テセウス、落ち着け」

 「時間がないんだ、アトラス」

 ここか、それともこっちかと。ウロウロと室内を探し回る。

 「食事は移動しながらにしよう。着替えは一体どこにあるんだ?」

 「テセウス」

 「一刻の猶予も許されない事態なんだ」

 「テセウス、お前が望むなら出発しよう。だが、移動とはどこにだ?」

 尋ねられて、ハッとした。冷静沈着な声の主を振り返った。

 「どこにだって・・・メデューサの岩窟だ」

 「メデューサ? メデューサって、あのメデューサか?」

 「ん、多分。で、そこに・・・王妃が棺に閉じこめられて・・・いる・・・らしい」

 「・・・グライアイがそう言ったのか?」

 「ん・・・確か、ヘパイストスの作った・・・パンドーラの棺の中にいて、それがそこにあると」

 アトラスが首を傾げて「なぜ・・・メデューサの所なんかに・・・」と考えこむような気配を見せた。

 「オレもそう思うんだけど・・・とにかく、メデューサの所で棺を取り戻さないとスフィンクスの手に渡って・・・」

 と口にして、そこで黙った。その後のことが言いづらい。

 「スフィンクス・・・の手に渡って?」

 「いや・・・だから、その・・・」

 アトラスとあんなことがあった後に、性的な話はしたくない。けれども、言わないと伝わらないだろう。じっと見つめてくる気配を感じながら、視線を床に下ろした。

 「スフィンクスの手に渡るとどうなるんだ?」

 促されて、しばらく躊躇った後に答えた。

 「だから・・・それがその・・・王妃が・・・その・・・スフィンクスに・・・その・・・要するに・・・つまり・・・望まない妊娠を・・・してしまうことになる・・・らしい」

 ハッと息をのむような気配とともに、室内が静まりかえった。

 (つ、伝わったよな・・・)

 ドクンドクンと鼓動が速まり、頬が熱くなる。自分たちの昨晩の時間を考えれば。言及したくない内容だったが、仕方ないのだ。自身の鼓動の音に気を取られながらも、相手の出方を待つ。

 「望まない妊娠・・・と言ってたのか?」

 思っていた以上に長かった沈黙を破って。尋ねてきた声はあまりにも低く、小さくて。

 (アトラス?)

 そのらしからぬ声音に。思わず、顔を上げて見つめた。

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