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11:メデューサの岩窟とペガサスと
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そのまま、まるで鳥の羽が風にでも飛ばされているかのように。ふわふわと、こちらに向かって飛んでくる。
(なんだ・・・あれは・・・)
そう思った途端、ハッと顔を上げたイーヌドーグが「ウゥゥ・・・」と一斉に唸り声を上げて身構えた。
「待って!! 魔炎はダメだ!!」
すぐさま戦闘態勢を取ろうとした魔獣を慌てて制した。
「ケール!! ルーベ!! 絶対にダメだ!! 出すな!!」
魔炎なんてとんでもない。厳しい声で命じる。
(あれって・・・)
その美しい輝きに視線が釘付けになる。邪悪な存在どころか、全くの真逆だ。
「ケール、ルーベ・・・聖なる魂だよ・・・攻撃したら、絶対にダメだ・・・わかるな?」
あまりの神々しさに、左の胸の奥に高揚すら覚えて。視線を向けたまま、二匹に命じた。
「クゥゥ・・・」
「そう、そのままで、いい子だから、そのままでいて。敵じゃないから・・・」
敵対者であるはずがない。清らかなる霊的現象なのだ。だが、なぜ、こんな不浄の地に存在するのか。
近づくにつれて、それが黄金の光をまとった、腕の長さほどのオリーブの枝であることが見て取れた。目の前の空中まで接近すると、ピタリと止まる。とユラユラと揺れながら、
『尊き血を引く方よ、驚かせてしまって、誠に申し訳ございません』
とその光る枝が言葉を発した。
『私の名はペガサス。胎内にて「その時」を待つ者。地上に肉体がまだない故に、このようなお見苦しい姿で失礼します』
それは直接、頭に響く念だ。枝葉が実際に話しているわけではない。魂が木の枝に宿っているのだ。
「君は・・・一体、何者なんだ・・・」
『はい。あなた様を長らく待っておりました。詳しくは道すがら、お話し申し上げます。時間がありません。まずは、私についてきてくれませんか?』
「ついてきて・・・って・・・それは・・・どこへ・・・?」
即座に警戒を漂わせた二匹のイーヌドーグを手で制止ながら、尋ねる。
『はい。お連れのあの勇猛なる方はゴルゴーンの三姉妹全員を仕留める気で、左の洞窟から中に入られました。ですが、パンドーラの棺は私が今出てきた場所、右の岩穴の奥にあるのです。そして、スフィンクスが運びだそうとしております』
「なんだって・・・スフィンクスが・・・」
手に渡ってはいけない存在の名前を聞かされて。青ざめると同時に、アトラスと自分しか知り得ない話をどうして、知っているのかと驚愕を感じずにはいられない。
「なぜ、そのことを知っているんだ・・・その棺のことを・・・」
『私は地上に降誕する予定の神獣です。わずか先までではありますが、未来を予見する力を持っております』
(未来を予見する力・・・を持っている・・・神獣・・・)
それほどまでに力を持った聖なる存在が、こんな汚れた魔窟に降臨するなんて、どういうことなのだろうか。だが――
『そして、本来ならば、ステュクス河の流れを下って、スフィンクスの館へと届くはずの棺を・・・この地に招き寄せたのは私です』
「えっ・・・なぜだ・・・なぜ、そんなことを・・・」
聞こえてきた言葉におののいた。
(なんだ・・・あれは・・・)
そう思った途端、ハッと顔を上げたイーヌドーグが「ウゥゥ・・・」と一斉に唸り声を上げて身構えた。
「待って!! 魔炎はダメだ!!」
すぐさま戦闘態勢を取ろうとした魔獣を慌てて制した。
「ケール!! ルーベ!! 絶対にダメだ!! 出すな!!」
魔炎なんてとんでもない。厳しい声で命じる。
(あれって・・・)
その美しい輝きに視線が釘付けになる。邪悪な存在どころか、全くの真逆だ。
「ケール、ルーベ・・・聖なる魂だよ・・・攻撃したら、絶対にダメだ・・・わかるな?」
あまりの神々しさに、左の胸の奥に高揚すら覚えて。視線を向けたまま、二匹に命じた。
「クゥゥ・・・」
「そう、そのままで、いい子だから、そのままでいて。敵じゃないから・・・」
敵対者であるはずがない。清らかなる霊的現象なのだ。だが、なぜ、こんな不浄の地に存在するのか。
近づくにつれて、それが黄金の光をまとった、腕の長さほどのオリーブの枝であることが見て取れた。目の前の空中まで接近すると、ピタリと止まる。とユラユラと揺れながら、
『尊き血を引く方よ、驚かせてしまって、誠に申し訳ございません』
とその光る枝が言葉を発した。
『私の名はペガサス。胎内にて「その時」を待つ者。地上に肉体がまだない故に、このようなお見苦しい姿で失礼します』
それは直接、頭に響く念だ。枝葉が実際に話しているわけではない。魂が木の枝に宿っているのだ。
「君は・・・一体、何者なんだ・・・」
『はい。あなた様を長らく待っておりました。詳しくは道すがら、お話し申し上げます。時間がありません。まずは、私についてきてくれませんか?』
「ついてきて・・・って・・・それは・・・どこへ・・・?」
即座に警戒を漂わせた二匹のイーヌドーグを手で制止ながら、尋ねる。
『はい。お連れのあの勇猛なる方はゴルゴーンの三姉妹全員を仕留める気で、左の洞窟から中に入られました。ですが、パンドーラの棺は私が今出てきた場所、右の岩穴の奥にあるのです。そして、スフィンクスが運びだそうとしております』
「なんだって・・・スフィンクスが・・・」
手に渡ってはいけない存在の名前を聞かされて。青ざめると同時に、アトラスと自分しか知り得ない話をどうして、知っているのかと驚愕を感じずにはいられない。
「なぜ、そのことを知っているんだ・・・その棺のことを・・・」
『私は地上に降誕する予定の神獣です。わずか先までではありますが、未来を予見する力を持っております』
(未来を予見する力・・・を持っている・・・神獣・・・)
それほどまでに力を持った聖なる存在が、こんな汚れた魔窟に降臨するなんて、どういうことなのだろうか。だが――
『そして、本来ならば、ステュクス河の流れを下って、スフィンクスの館へと届くはずの棺を・・・この地に招き寄せたのは私です』
「えっ・・・なぜだ・・・なぜ、そんなことを・・・」
聞こえてきた言葉におののいた。
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