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14:囚われて※
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肩まで浸かった途端に、ボワッと一瞬にして、毛布が焼き払われた。それなのに、身体には火傷も痛みも、何一つ起きない。それどころか――
(気持ちいい・・・)
汚された身体が清められている――そんな感覚すら覚えるほど、疲労が取り除かれ、気力が満ちていく。
肉体の細胞の奥に潜んでいた毒素が。押し出されているのか、焼き払われているのか。
時々、ピリピリと焦がされるような刺激は。その後に流れこむ上質な気によって、包み覆われ、即座に言いようのない快感へと変わる。
それは下半身の、どれだけ出し入れされたかわからないあの場所も例外ではない。そして、吸われすぎて、ジンジンと痛かった胸の先端も。身体の至る所にこびりついていた体液もまた拭い取られていく。
(あぁ・・・)
たまらずに潜り、頭まで浸った。
(これが・・・再生の泉か・・・)
息はもちろん、苦しくない。閉ざされたまぶたにすら染み入る、炎の浄化の快適さにひたすら身を委ねる。
(すごい・・・)
そうだ。本来、自分はもっと無垢だったはずなのにと。そう感じてたまらないほど。それこそ、髪の先から意識まで。回帰するかのような、一新されていくかのような効果には。ただただ、感嘆せずにはいられない。
だが、ふと。首に巻かれている貞操帯はまだしっかりとあることに、気が付いた。
(冥府の王の・・・呪符のせいなのか・・・?)
これほどまでに原初的で強烈な聖なる炎だというのに。毛布は一瞬にして燃え尽くされたというのに。
何一つ変化のない形状に。指先で触れながら、その呪術をかけた名だたる神族の底知れぬ威力を感じて、おののかされる。
そして、ハデスに想いを寄せた途端に、考えることは。今後の自分の身の振り方だ。
(やっぱり、記憶は・・・心の準備ができた時に、取り戻したいと告げよう)
今のアトラスとの日々が幸せなせいなのか、どうなのか。罪科に処された過去を知るのが怖い。知りたいという気持ちより不安が上回っている。
(そうだ。そうしよう・・・そう願い出よう)
むくっと身体を起こして、瞳を開ける。活力を取り戻した以上の、力強い精力を全身に漲らせて、前を見据えて、火の波が打ち寄せる際へと戻り始める。
(そのためには、まずは王妃だ。王妃を棺から救い出さなければ・・・)
棺を開けることができるだろうか――自身に問いかけ、大丈夫、しっかりと立ち向かっていけるとすぐさま応える。泉で、心から活性化していた。
「クゥゥン・・・」
傍らでじっと見守っていたケールが、銀色の鈴をくわえて見せた。
「あぁ・・・着替えだね。ん、ケール、鳴らしてくれる?」
人の言葉をよく理解する小型の魔獣が顔を振って、リリン、リリンと鳴らす。と岩戸が開いて、ズズーーッと。編んで作られた縦長のカゴが押し入れられた。
「どうぞ、こちらをお召し下さいませ」
頭を上げることもなく、すぐさま引っこむと、扉が閉ざされる。
小さなイーヌドーグがタッタッタッと駆け寄ると、カゴの端を噛んで、ズッ、ズッ、ズッと引っ張ってくる。
「あ、ケール、大丈夫だよ。自分でやるから」
と泉から出て、歩み寄る。と――
(えっ・・・)
その中に入っている一式を目にして、愕然とした。
(気持ちいい・・・)
汚された身体が清められている――そんな感覚すら覚えるほど、疲労が取り除かれ、気力が満ちていく。
肉体の細胞の奥に潜んでいた毒素が。押し出されているのか、焼き払われているのか。
時々、ピリピリと焦がされるような刺激は。その後に流れこむ上質な気によって、包み覆われ、即座に言いようのない快感へと変わる。
それは下半身の、どれだけ出し入れされたかわからないあの場所も例外ではない。そして、吸われすぎて、ジンジンと痛かった胸の先端も。身体の至る所にこびりついていた体液もまた拭い取られていく。
(あぁ・・・)
たまらずに潜り、頭まで浸った。
(これが・・・再生の泉か・・・)
息はもちろん、苦しくない。閉ざされたまぶたにすら染み入る、炎の浄化の快適さにひたすら身を委ねる。
(すごい・・・)
そうだ。本来、自分はもっと無垢だったはずなのにと。そう感じてたまらないほど。それこそ、髪の先から意識まで。回帰するかのような、一新されていくかのような効果には。ただただ、感嘆せずにはいられない。
だが、ふと。首に巻かれている貞操帯はまだしっかりとあることに、気が付いた。
(冥府の王の・・・呪符のせいなのか・・・?)
これほどまでに原初的で強烈な聖なる炎だというのに。毛布は一瞬にして燃え尽くされたというのに。
何一つ変化のない形状に。指先で触れながら、その呪術をかけた名だたる神族の底知れぬ威力を感じて、おののかされる。
そして、ハデスに想いを寄せた途端に、考えることは。今後の自分の身の振り方だ。
(やっぱり、記憶は・・・心の準備ができた時に、取り戻したいと告げよう)
今のアトラスとの日々が幸せなせいなのか、どうなのか。罪科に処された過去を知るのが怖い。知りたいという気持ちより不安が上回っている。
(そうだ。そうしよう・・・そう願い出よう)
むくっと身体を起こして、瞳を開ける。活力を取り戻した以上の、力強い精力を全身に漲らせて、前を見据えて、火の波が打ち寄せる際へと戻り始める。
(そのためには、まずは王妃だ。王妃を棺から救い出さなければ・・・)
棺を開けることができるだろうか――自身に問いかけ、大丈夫、しっかりと立ち向かっていけるとすぐさま応える。泉で、心から活性化していた。
「クゥゥン・・・」
傍らでじっと見守っていたケールが、銀色の鈴をくわえて見せた。
「あぁ・・・着替えだね。ん、ケール、鳴らしてくれる?」
人の言葉をよく理解する小型の魔獣が顔を振って、リリン、リリンと鳴らす。と岩戸が開いて、ズズーーッと。編んで作られた縦長のカゴが押し入れられた。
「どうぞ、こちらをお召し下さいませ」
頭を上げることもなく、すぐさま引っこむと、扉が閉ざされる。
小さなイーヌドーグがタッタッタッと駆け寄ると、カゴの端を噛んで、ズッ、ズッ、ズッと引っ張ってくる。
「あ、ケール、大丈夫だよ。自分でやるから」
と泉から出て、歩み寄る。と――
(えっ・・・)
その中に入っている一式を目にして、愕然とした。
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