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3章:捕まっちゃいました~呪われたオメガの王さまmeetsカエルの王さま~
呪いから解放される条件
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『お前なんか、非力なカエル人間になってしまえ!!
愛を弄んだお前は真実の愛を得るまで呪われるがいい。
そのブサイクな見た目をまんま愛する者が現れるまでケロケロ言いながら延々と苦しめ!!』
そう、グリィム・ドゥーワにかけられた、あのはた迷惑も極地この上ない呪いは。
ある一つの条件さえ満たせば解放される可能性を残しているのだ。
ある一つの条件さえ満たせば。
けれどもそれは絶対に無理だと思っていた条件だ。
それでいて、その可能性を潰したくないと秘かに誰にも言わずに抱き続けていた一縷の望みでもある。
『ど、どうして瞳が青いとわかったのですか…ケロ』
『ん? あぁ、アレだ、アレ、例のアレ』
『例のアレ…ですか…ケロ』
『そう、だから801個の魅力の中の霊感の分野だな。
こと霊感の分野だけでも、念力が強い・洞察力が鋭い・試験の山かんで絶対に外さない・虫の知らせがハンパない・第六感が猛烈以上・あてずっぽうなのに百発百中・100万直感・100万直感の10倍・100倍・1000倍・10000倍といい気になって無節操なまでに膨らんだ結果だ』
『……』
果たして、祝福という名のもとに一体どれほど背負わされたのか。
極めすぎていて、だから神がかっているのかとなんら不思議ではなくなってくる。
と同時にむしろ不遇の域に達しているようにも感じられて。
それでいて申し分ない人間性を維持できているだなんて、もはや奇跡の人なのではないかと感心してしまう。
『ヘケロ、大丈夫だ。
オレが必ず成し遂げてみせる』
多くを告げていないというのに、自信に満ちた笑みとともにそう宣言までされて。
じわんと胸が熱くなった。
そして今現在、こうして目の前で食後のお茶の用意をされているのだ――
「それで明日の朝なのだが、ヘケロは今日の続きの落ち葉床作りを。
オレは水車を作る予定だ。
穀粉よりも鍛冶などの機械的工程に使いたいと考えている。
まぁ、そこら辺は適当にやって、昼を食べたら気分転換に馬で橋を見に行かないか」
「馬で橋を…ですか…ケロ」
馬とは気が付けばできていた馬小屋の中に気が付けば普通にいた、あの茶色い体に桃色のたてがみをしたアポロとかいう名の生き物のことだろう。
「あぁ、そうだ。
壊れていた橋の改修工事をユラークたちにさせているのだが、幅をきちんと取っているかを見ておきたい」
「えっ、ユラーク団長さんたちが…橋をですか…あ、ありがとうございます。
とても助かります…ケロ」
いつの間にそんな手配をしてくれていたのだろうか。
けれども孤島と本土を繋ぐ大切な生命線だ。
早期に直してもらえるのなら、これほどありがたいことはない。
「ん、精鋭揃いの騎士団だから新国王にそのまま譲るつもりだったのだが、宰相と少し折り合いが悪くてな。
優秀な彼らの肩身が狭くなるのも本意ではないのでオレの私兵にした」
(私兵…)
その響きを耳にしてつくづく本当に退位したのかと認識が深まってしまう。
なんだかもったいないような気がしてたまらない。
「そろそろか」
茶碗に入れた湯を茶葉の入ったポットへと手際よく移し替えて。
すぐに開いてきた様子に満足げに微笑むと一緒に持ってきて食卓の上に置いた。
「茶葉を作るのに四時間以上もかかるとは思ってもいなかった」
均等に注ぎ入れながらボソリと目の前の美貌がつぶやく。
愛を弄んだお前は真実の愛を得るまで呪われるがいい。
そのブサイクな見た目をまんま愛する者が現れるまでケロケロ言いながら延々と苦しめ!!』
そう、グリィム・ドゥーワにかけられた、あのはた迷惑も極地この上ない呪いは。
ある一つの条件さえ満たせば解放される可能性を残しているのだ。
ある一つの条件さえ満たせば。
けれどもそれは絶対に無理だと思っていた条件だ。
それでいて、その可能性を潰したくないと秘かに誰にも言わずに抱き続けていた一縷の望みでもある。
『ど、どうして瞳が青いとわかったのですか…ケロ』
『ん? あぁ、アレだ、アレ、例のアレ』
『例のアレ…ですか…ケロ』
『そう、だから801個の魅力の中の霊感の分野だな。
こと霊感の分野だけでも、念力が強い・洞察力が鋭い・試験の山かんで絶対に外さない・虫の知らせがハンパない・第六感が猛烈以上・あてずっぽうなのに百発百中・100万直感・100万直感の10倍・100倍・1000倍・10000倍といい気になって無節操なまでに膨らんだ結果だ』
『……』
果たして、祝福という名のもとに一体どれほど背負わされたのか。
極めすぎていて、だから神がかっているのかとなんら不思議ではなくなってくる。
と同時にむしろ不遇の域に達しているようにも感じられて。
それでいて申し分ない人間性を維持できているだなんて、もはや奇跡の人なのではないかと感心してしまう。
『ヘケロ、大丈夫だ。
オレが必ず成し遂げてみせる』
多くを告げていないというのに、自信に満ちた笑みとともにそう宣言までされて。
じわんと胸が熱くなった。
そして今現在、こうして目の前で食後のお茶の用意をされているのだ――
「それで明日の朝なのだが、ヘケロは今日の続きの落ち葉床作りを。
オレは水車を作る予定だ。
穀粉よりも鍛冶などの機械的工程に使いたいと考えている。
まぁ、そこら辺は適当にやって、昼を食べたら気分転換に馬で橋を見に行かないか」
「馬で橋を…ですか…ケロ」
馬とは気が付けばできていた馬小屋の中に気が付けば普通にいた、あの茶色い体に桃色のたてがみをしたアポロとかいう名の生き物のことだろう。
「あぁ、そうだ。
壊れていた橋の改修工事をユラークたちにさせているのだが、幅をきちんと取っているかを見ておきたい」
「えっ、ユラーク団長さんたちが…橋をですか…あ、ありがとうございます。
とても助かります…ケロ」
いつの間にそんな手配をしてくれていたのだろうか。
けれども孤島と本土を繋ぐ大切な生命線だ。
早期に直してもらえるのなら、これほどありがたいことはない。
「ん、精鋭揃いの騎士団だから新国王にそのまま譲るつもりだったのだが、宰相と少し折り合いが悪くてな。
優秀な彼らの肩身が狭くなるのも本意ではないのでオレの私兵にした」
(私兵…)
その響きを耳にしてつくづく本当に退位したのかと認識が深まってしまう。
なんだかもったいないような気がしてたまらない。
「そろそろか」
茶碗に入れた湯を茶葉の入ったポットへと手際よく移し替えて。
すぐに開いてきた様子に満足げに微笑むと一緒に持ってきて食卓の上に置いた。
「茶葉を作るのに四時間以上もかかるとは思ってもいなかった」
均等に注ぎ入れながらボソリと目の前の美貌がつぶやく。
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