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さぁ悪いおじいさんの登場です

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 こうして――
 鬼だろうと妖しげな整形外科医だろうとなんだろうと。
 またしてもイチコロにしたおじいさんが笑みを浮かべながら質問に答えます。
 至福の時ぃいぃと鬼たちは夢心地で過ごしました。
 もっといて下さいよぉと必死で懇願すれば、妻が心配して待っていますのでと断られ、さらに妻に何かあった時はよろしくお願いしますと続けられて。
 心よりお待ちしておりますと返すしかありません。
 いつも通りにお金を一切使うことなく、おじいさんはおばあさんの元へと帰りました。

 めでたしめでたし。

 で終わるはずがなく。
 この話はここから本当に意外な展開を見せたのです。

「マジか…」

 端末画面を見ていた悪いおじいさんが呟きました。
 場所は隣の…ではなくてキングアルファなおじいさんの村からやや離れた町にある、集合住宅の一室でした。
 本音を言うと本家本元のおじいさんとおばあさんの住む村か、もしくは一番近い町に住みたかったのですが、あまりにも田舎でネットが繋がらないので断念しました。
 さらに言えば、おじいさんの家へと容易に覗き見に行ける距離がよかったのですが、仮に行ったとしても文字通り鬼のような警備セキュリティで迂闊には近寄れません。
 そこをなんとかして侵入できたとしても凶悪な猛犬に襲われるか、おばあさんを狙った大罪で人知れず殺められて地面に埋められるかの世界です。
 それほどまでの危険リスクを冒すぐらいだったらと。
 毎日毎分、安定したネット環境でぬくぬくと専用の掲示板を見てはおじいさんとおばあさんの情報をチェックしていたのです。
 ですから、気持ちだけが隣の悪いおじいさんでした。

「みんな、すごい反応してるけどさ…」

 その気持ちだけ隣の悪いおじいさんが掲示板を隅から隅まで眺めます。
 キングアルファなおじいさんと極上グレートオメガなおばあさんの話題スレッドは書きこみの最大数をわずか半日たらずで越えてしまうため、常に複数の新しいスレッドがあがっているような人気ぶりでした。
 もちろん当人たちは露とも知りません。
 そして先ほど目にしたスレッドには森の中にある某整形外科に話題のおじいさんがどうやら行ったらしいとのことでした。
 もしかして美容整形をしたのかと疑えば、同じように疑問に思った人がすぐさま質問し、小さなできものを取っただけらしいですよとレスがあります。
 絶対にこの掲示板を作ったのは整形外科の関係者だなと悪いおじいさん、ワルオは確信しました。
 病院の自作自演の可能性もあります。
 なぜなら診察室におじいさんの来院写真が飾ってあったというのですから、いい宣伝も宣伝です。

「ほんとかなぁ…」

 疑わしいと思っても、その来院写真をこの目で見たいという欲望がムクムクと湧き上がります。
 見たいかと聞かれれば、もちのろんで見たいです。
 とってもとってもとってもとってもとってもとっても、見たいのよ。
 おじいさん、おじいさん、おじいさぁーん、りぃーん(りぃーん)。
 そんな風に思わずノリのいい曲にしたくなるほど大スキでライバル視している存在なのです。
 少し躊躇いましたが問い合わせをすると予約を最短で取りました。
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