きみの隣にいるだけで幸せだったと気づいたのは

haregon

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#10 何か嬉しいことがあったのだとしたら

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6限目ー。

1日の疲れ、食後の眠気、午後の陽気の三つが眠気を誘ってくる、悪魔のような時間帯だ。

授業中の教室も、およそ半分の人が寝ている。机に突っ伏したり、こくんと首だけ傾いたりと寝方は様々だが。

教室の前では、先生が黒板を指さしてあーだこーだと喋っている。正直、聞いている人はほとんどいない。

悠也も、目と耳の集中を切って「考える」モードに入った。目は閉じずにぼーっとして、頭の中でいろいろと考える。

思い浮かんでくるのは、やっぱり今日の朝のことだ。思い切って有季さんに挨拶したら、「おはよう、悠也くん」と笑顔で返してくれた。

あんな笑顔、嫌いな人には向けないよな。てことは、少なくとも僕は有季さんに嫌われていないのか?

そして、今日の有季さんは、やけにテンションが高かった気がする。これは本当に僕の気のせいかもしれないけど、授業中に珍しく発言していたし、今野さんと話してる時も、やけに会話が盛り上がっていた。

何か嬉しいことがあったのだとしたら。そしてそれが、今日の朝の挨拶だったとしたら……

思わず、隣を見てしまった。有季さんは左腕を伸ばして、その腕を枕にして横を向いて寝ている。ちょうど悠也の方に、寝顔の正面が来る形だ。

正直見てられない。口角を上げて気持ち良さそうに寝ているのを見ると、かわいすぎて変な気が起きそうだ。

いや、そもそも授業中に横を向かなきゃいいんだけど。



キーンコーンカーンコーン……

6限目が終わるチャイムが鳴ったと同時に、寝ていたほとんどの人が起き上がった。本当に寝ていたのかと思うほどの芸当だ。

しかも、ホームルームが終わると、とても騒がしい。やっと座りっぱなしの授業から開放されるのだから、当然か。

悠也も部活へ行くために、荷物を取ろうとした。いつも通り手を伸ばしかけて、思い出した。今日は、挨拶をするために、有季さんの側に荷物をかけたんだった。

改めて左手で荷物を取ろうとすると、有季さんが手を伸ばして、ふぁぁとあくびをしている。そして、ふとこっちを向いた。

やばい、僕めっちゃ見てたと思いながら、しっかりと目が合った。なんか昨日から、このパターンが多い気がする。そしてやっぱり、目のそらし方がわからない。

そして、固まったのは、有季さんもだった。

……

何ともいえない時間が、数秒流れる。

________
続く……



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