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4 騎士と破壊のお姫さま編
2-0 騎士はお姫さまを追い求め
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占い師はフードを目深にかぶったまま、手にとった紙を見ながら、占いを始めた。
さっきまで手をかざしていた水盤は、まるで鏡のよう。波紋ひとつない。
「健康運は、まったく問題ないですね」
「身体は丈夫だからね」
その上、再生の権能があるので回復もの早い。魔力が尽きても寝てれば治る。
最近は魔力が尽きることもなくなった。
膨大な自分の魔力を制御できるようになってきたことと、細かな魔力操作ができるようになってきたこと、この二点の向上がかなり大きいと思う。
「睡眠不足には注意してください。睡眠さえしっかり取っていれば問題ありません」
うん、しっかり寝れば、気持ちの部分も回復するような気がする。睡眠は大事だな。
占い師は続ける。
ふと、水盤がキラッと光ったような気がした。
占い師は水盤に手をかざし、水面を撫でる。水面をしっかり撫でているというのに、不思議と水面は凪いだ状態のままだ。
「友人運、新しい出会いがあるでしょう」
「へー」
あの水盤、ただの飾りじゃなくて、ちゃんとした占い道具なんだ。
私が水盤をよく視ようと、身を乗り出した。はずなんだけど、後ろに引かれて、ぽすんとラウの胸に背が当たる。
「女性だろうな?」
えっと、どういう心配?
「同性の友人運ですから、心配ありませんよ」
占い師の口元が、笑いをこらえるように歪んだ。
ラウの言動や行動に対して、テラや塔長は呆れた反応が多かったので、占い師の反応は新鮮に感じる。
占い師の反応を観察しながら、私は思ったことを口にした。
「私の友達、ルミアーナさんしかいないからな」
クロスフィアになるまで、友達なんていなかった。
ネージュは、館の奥に閉じこめられるようにして暮らしていたので、まず、知り合いがいない。
ネージュがこの占い師に出会っていたら、どんな結果だったのかな。
いやいや、ネージュは外出させてもらえなかったから、占い師に出会えてなかったよね。ネージュはかわいそうだったな。
不意にラウの声が耳元でした。
「フィールズ補佐官やアスター補佐官も友人だろ」
「そうか。そうだね」
ネージュという人物への思いにふけっていた私は、ラウの声で現実へと戻ってくる。
私には、ルミアーナさんや、フィールズ補佐官、マル姉さんといった友達がいる。
フィールズ補佐官の名前は、ユクレーナだ。今度、フィールズ補佐官のことも、名前呼びしてみたいな。
嫌がられたら? まぁ、そのときはそのときだ。
「仕事運も順調なんですが、少々トラブルに巻き込まれやすいようです」
「え、トラブル? 具体的には?」
私が現実の友達のことを考えている間に、占いは仕事運に入っていた。
トラブル。
仕事にトラブルは付き物だけれど、できれば避けて通りたい。
「以前から続いているトラブルは解決の目途が立ちますが、北方への出張には気をつけてください」
「え、出張? そんな予定ないけど」
出張という言葉に、ラウがピクンと反応する。
以前、別居しようと思ったことがあった。ちょうど出張に行くときで、着替えとお金を持って家を出た。
そんなことがあったので、ラウは私の出張に過敏だ。
「万が一、北方への出張が決まったら、そうですね、旦那様を連れて行けば安心でしょう」
「え、どう安心?」
フゥ。
背後でラウが息を吐く音が聞こえる。
「旦那様の嫉妬心と独占欲が爆発しないで済みます」
「出張は俺と行こうな、フィア」
「え、仕事の安心は?」
私の問に対して、二人は揃ってにっこり笑っただけだった。何それ。
私に構わず、占い師は次の占いに移る。
「金運も問題ありません。収入も安定して、無駄遣いもないので、どんどん貯まります」
「え、そうなの?」
無駄遣いどころか、私、何ひとつお金を使ってない。
衣類や食料、日用品に至るまで、ラウが注文して支払っている。
基本的に食事の準備は私がしているので、食材や食品は目録を見て選んだり、欲しい物をメモして買ってもらってる。
自分でお金を出した物といえば、ラウとお揃いで作った組み紐飾りの材料を奮発して買ったくらいだよね。
「ところで私、お給料もらってたっけ?」
「もらってるぞ」
無駄遣いどころか、一月から補佐官やってるのに、お給料をもらった覚えがない。
私の素朴な疑問に即答するラウ。
「え、でも手元にないよ」
「フィアの手元にあったら、俺が困る」
「え、なんで?」
「フィアに出ていかれたら、俺は生きていられないんだ」
そう言いながら、背後から私をギューッと抱き締め上げる困った夫。
補佐官になる前に『独立計画』なんてものを語っちゃったからな。ラウも知ってたみたいではあるけど。
そして、別居騒動だ。さっき出張という言葉に反応したことといい、まだ根に持ってるな、これ。
「だから、出ていかないって」
「もう、別々は嫌だ」
「だから、大丈夫だって」
完全に面倒臭い夫になってる。
はぁ。
「次、次に行って。早く!」
面倒臭い夫の気を逸らすため、私は占い師に次の占いを催促するのだった。
さっきまで手をかざしていた水盤は、まるで鏡のよう。波紋ひとつない。
「健康運は、まったく問題ないですね」
「身体は丈夫だからね」
その上、再生の権能があるので回復もの早い。魔力が尽きても寝てれば治る。
最近は魔力が尽きることもなくなった。
膨大な自分の魔力を制御できるようになってきたことと、細かな魔力操作ができるようになってきたこと、この二点の向上がかなり大きいと思う。
「睡眠不足には注意してください。睡眠さえしっかり取っていれば問題ありません」
うん、しっかり寝れば、気持ちの部分も回復するような気がする。睡眠は大事だな。
占い師は続ける。
ふと、水盤がキラッと光ったような気がした。
占い師は水盤に手をかざし、水面を撫でる。水面をしっかり撫でているというのに、不思議と水面は凪いだ状態のままだ。
「友人運、新しい出会いがあるでしょう」
「へー」
あの水盤、ただの飾りじゃなくて、ちゃんとした占い道具なんだ。
私が水盤をよく視ようと、身を乗り出した。はずなんだけど、後ろに引かれて、ぽすんとラウの胸に背が当たる。
「女性だろうな?」
えっと、どういう心配?
「同性の友人運ですから、心配ありませんよ」
占い師の口元が、笑いをこらえるように歪んだ。
ラウの言動や行動に対して、テラや塔長は呆れた反応が多かったので、占い師の反応は新鮮に感じる。
占い師の反応を観察しながら、私は思ったことを口にした。
「私の友達、ルミアーナさんしかいないからな」
クロスフィアになるまで、友達なんていなかった。
ネージュは、館の奥に閉じこめられるようにして暮らしていたので、まず、知り合いがいない。
ネージュがこの占い師に出会っていたら、どんな結果だったのかな。
いやいや、ネージュは外出させてもらえなかったから、占い師に出会えてなかったよね。ネージュはかわいそうだったな。
不意にラウの声が耳元でした。
「フィールズ補佐官やアスター補佐官も友人だろ」
「そうか。そうだね」
ネージュという人物への思いにふけっていた私は、ラウの声で現実へと戻ってくる。
私には、ルミアーナさんや、フィールズ補佐官、マル姉さんといった友達がいる。
フィールズ補佐官の名前は、ユクレーナだ。今度、フィールズ補佐官のことも、名前呼びしてみたいな。
嫌がられたら? まぁ、そのときはそのときだ。
「仕事運も順調なんですが、少々トラブルに巻き込まれやすいようです」
「え、トラブル? 具体的には?」
私が現実の友達のことを考えている間に、占いは仕事運に入っていた。
トラブル。
仕事にトラブルは付き物だけれど、できれば避けて通りたい。
「以前から続いているトラブルは解決の目途が立ちますが、北方への出張には気をつけてください」
「え、出張? そんな予定ないけど」
出張という言葉に、ラウがピクンと反応する。
以前、別居しようと思ったことがあった。ちょうど出張に行くときで、着替えとお金を持って家を出た。
そんなことがあったので、ラウは私の出張に過敏だ。
「万が一、北方への出張が決まったら、そうですね、旦那様を連れて行けば安心でしょう」
「え、どう安心?」
フゥ。
背後でラウが息を吐く音が聞こえる。
「旦那様の嫉妬心と独占欲が爆発しないで済みます」
「出張は俺と行こうな、フィア」
「え、仕事の安心は?」
私の問に対して、二人は揃ってにっこり笑っただけだった。何それ。
私に構わず、占い師は次の占いに移る。
「金運も問題ありません。収入も安定して、無駄遣いもないので、どんどん貯まります」
「え、そうなの?」
無駄遣いどころか、私、何ひとつお金を使ってない。
衣類や食料、日用品に至るまで、ラウが注文して支払っている。
基本的に食事の準備は私がしているので、食材や食品は目録を見て選んだり、欲しい物をメモして買ってもらってる。
自分でお金を出した物といえば、ラウとお揃いで作った組み紐飾りの材料を奮発して買ったくらいだよね。
「ところで私、お給料もらってたっけ?」
「もらってるぞ」
無駄遣いどころか、一月から補佐官やってるのに、お給料をもらった覚えがない。
私の素朴な疑問に即答するラウ。
「え、でも手元にないよ」
「フィアの手元にあったら、俺が困る」
「え、なんで?」
「フィアに出ていかれたら、俺は生きていられないんだ」
そう言いながら、背後から私をギューッと抱き締め上げる困った夫。
補佐官になる前に『独立計画』なんてものを語っちゃったからな。ラウも知ってたみたいではあるけど。
そして、別居騒動だ。さっき出張という言葉に反応したことといい、まだ根に持ってるな、これ。
「だから、出ていかないって」
「もう、別々は嫌だ」
「だから、大丈夫だって」
完全に面倒臭い夫になってる。
はぁ。
「次、次に行って。早く!」
面倒臭い夫の気を逸らすため、私は占い師に次の占いを催促するのだった。
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